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「瞑想的アプローチは日本の審美性に近い」N・W・レフン監督が“13時間の映画”と表現するドラマシリーズ『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』を語る!

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ライター:#佐藤久理子
「瞑想的アプローチは日本の審美性に近い」N・W・レフン監督が“13時間の映画”と表現するドラマシリーズ『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』を語る!
『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』©Amazon Studios
あのニコラス・ウィンディング・レフン監督が、ついに動画配信サービスに参戦! Amazon Prime Videoで独占配信されるドラマシリーズ『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』は、一体どんな作品なのか!? 日本のヤクザらしき描写もある本作について、カンヌ映画祭を訪れたレフン監督に語っていただいた。

「マイルズと最初に会ったとき、エルヴィス・プレスリーに似ていると感じたんだ」

ニコラス・ウィンディング・レフン監督待望のドラマ・シリーズ『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』シーズン1が、いよいよAmazon Prime Videoで2019年6月14日(金)から配信される。

『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』©Amazon Studios

本作は、レフンが『ドライブ』(2011年)や『ネオン・デーモン』(2016年)で見せた鮮烈な映像世界の延長にあるような作品だ。米L.A.を舞台に、殺し屋という裏の顔を持つ探偵が闇の世界に引き込まれていく物語で、レフンはこれを「13時間の映画」と呼ぶ。

今年のカンヌ映画祭ではワールドプレミアでエピソード4と5が披露され、主演のマイルズ・テラーらとともにレフンがマスタークラス(特別講義)も開催。この機会に独占インタビューに応じてもらい、本作への思いとともに、彼特有の日本愛についても語ってもらった。

https://www.instagram.com/p/BvzhNuBgL3h/?utm_source=ig_web_copy_link

——本シリーズは『ドライブ』や『ネオン・デーモン』といったあなたのこれまでの映画につながる世界観ですが、どんなところから思いついたのでしょうか。

『ネオン・デーモン』を作っているとき、ちょうどストリーミングでオリジナル・ドラマを作るのが成功し始めた頃で、ハリウッドではみんなストリーミングに目が行っていたんだ。僕自身は、いまはそんなにテレビを観ないけれど、興味はあった。それに何かとても長い映画を作りたいという思いもあってね。まるで、大きなキャンバスを描くような。それであるとき車に乗っていて、このタイトルとともに、ロサンゼルスを舞台に死と宗教をテーマにするアイディアが浮かんだ。Amazonに相談して、その二週間後には製作が決まったんだ。

『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』©Amazon Studios

——主演のマイルズ・テラーはどこか、50年代ハリウッド・スターを彷彿させるようなフィジカルなカリスマ性がありますが、彼のキャラクターのベースには特定のイメージがあったのでしょうか。

いや、特にそれはない。でも彼と最初に会ったとき、エルヴィス・プレスリーに似ていると感じたんだ。それでもしこの長い映画をエルヴィス・プレスリーと作れたら完璧だなと思った(笑)。とくにアメリカ人は夢中になるだろうと。

——カンヌではエピソード4と5が披露されましたが、バイオレンスとミステリーとダークなファンタジーの詰まった、とてもあなたらしい作品だと思いました。最後までこのトーンは変わらないのですよね?

基本のアイディアは、主人公が常に矛盾した状況に追い込まれる、あるいはモラルのジレンマにぶつかるということにある。それは面白いドラマになるからね。でもキャラクターに関しては後半になるにつれ、女性の登場人物が増えてくる。最初はとても男性的な雰囲気で始まって、だんだんとフェミニンになってくるんだ。だから全体の13時間を通しては、男と女のあいだでより均衡が取れた作りになっていると思う。鍵はエピソード9にあるんだけど、それはここでは言えないね(笑)。

「瞑想のようなスタイルのアプローチは日本の審美性に近い」

『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』©Amazon Studios

——このシリーズはまた、スタイルもとてもあなたらしいですね。ダークなカラーパレット、スローなテンポ、少ないセリフなど。特にゆっくりとしたリズムはストリーミングではある意味冒険かと思いますが、若い世代にも受け入れられるという思いがありますか。

うん。僕にとって大事だったのは、若い世代に違うやり方でシリーズを提供すること。従来のテレビドラマというのは、すごくスピーディだ。だから僕はここで、ほとんど瞑想のようなスタイルのアプローチをしたいと思った。それはある意味、日本の審美性に近いと思う。でも西洋の観客に対してはチャレンジだ。というのも、彼らは早いリズムに慣れているから。でも僕は自分のスタイルを彼らに提供したかった。ストリーミングという若い世代が入れ込んでいるフォームに、足を踏み入れてみたかった。自分の世界に彼らを呼ぶのではなくて。

『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』©Amazon Studios

——では、あなたにとって今回チャレンジだったことは? 映画を作るときとストリーミング・シリーズを作るときとで違いはありましたか。

いや、逆に僕は違いを意識したくはない。というのも、意識したら自分がやりたいことに素直ではいられなくなるから。唯一の違いはキャンバスの大きさの違い、つまり長さの違いだ。一本の映画は時間が限られているから、どうしてもその点で制約が出てくる。でもシリーズの場合それはない。可能性はエンドレスだ。これほど長い映画を作ったらどうなるか、それを経験してみたかった。断っておくと、僕にとってこれはあくまで映画だ。13時間の映画。テレビドラマではない。僕にとってストリーミングはテレビドラマと一緒ではないんだ。ストリーミングには未来がある。

「東京でスパイ映画を撮るというアイディアがあるよ」

『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』©Amazon Studios

——さきほど「日本的な審美性」というお話が出ましたが、あなたは日本文化に愛着を持たれていますよね。どんな点に惹かれますか。

まさに独特の審美的な面、フェティッシュなところ、静けさ。言葉で語らない、日本映画の話術にも惹かれる。それに僕は小さい頃、日本のアニメのロボットもコレクションしていたんだ(笑)。

——そういえば一時、鈴木清順の『東京流れ者』(1966年)をリメイクするという話しもありましたが。

ああ(笑)、かつて鈴木監督からオファーされたんだ。でも僕は彼の映画を純粋にリスペクトしているので辞退した。いまは東京でスパイ映画を撮るというアイディアがある。たぶん2年ぐらいかかるけれど。

https://www.instagram.com/p/Byk-RqrBl_p/?utm_source=ig_web_copy_link

——さらに、あなたが最近始めたストリーミング・サービス「byNWR」の日本版も作りたいとか。

うん、1、2年のうちに日本語版を作って始めたい。英語圏以外でも、すでにフランス語版が開設されて、スペイン、ドイツ、イタリアと続く。そのあと日本になる予定なんだ。

インタビュー:佐藤久理子

『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』シーズン1は2019年6月14日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信

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『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』シーズン1

悲劇が起きたある夜、ロサンゼルス郡保安局の巡査マーティン・ジョーンズはカルテルやヤクザ、謎の自警団といった地下組織と関わることとなる。やがてマーティンも殺人や神秘主義、復讐という現実離れした世界に引き込まれていく中、過去に犯した罪が彼に迫りつつあった。

制作年: 2019
監督:
出演: