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配信初週に「93カ国でTOP10入り」のサメ映画とは?Netflix『セーヌ川の水面の下に』世界で数千万回再生の理由

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ライター:#BANGER!!! 編集部
配信初週に「93カ国でTOP10入り」のサメ映画とは?Netflix『セーヌ川の水面の下に』世界で数千万回再生の理由
Netflix映画『セーヌ川の水面の下に』独占配信中
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環境保護目線のサメ映画と思いきや……

今年7~8月にかけて開催されるパリ五輪でトライアスロンに使用されるセーヌ川。しっかりと時事性を確保したあたりは再生回数に寄与したはずだ。セーヌ川は「道頓堀の約6倍」という汚染度ばかりが話題にのぼるが、ここでは立派な“スリラー現場”として機能している。1メートル先も見通せないほど汚濁していて、SF寄りサメ映画としての舞台設定は十分すぎるほど。実際に生息していらしい2メートル級の巨大ナマズもチラリと登場する。

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数年前にはイギリスのテムズ川に毒を持つサメが生息しているというニュースもあったが、本作のリリスは異常な進化によって淡水に順応し、もはやエイリアン級の脅威になってしまう。しかし、凶悪な人食いサメをやっつけよう! ではなく、なんとか海に逃がそうという序盤の展開は環境問題への意識が強く、生体販売を禁止し動物虐待が厳罰化されたフランスならではと言えるかもしれない。

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つまり、あくまで悪いのは人間という考えが徹底していて、自然の脅威=倒すべき敵といったB級アニマルパニックの定型に陥っていない……のだが、それに対する“回答”は容赦がない。リリスを救おうと呼びかける環境保護活動家のミカやベン、はじめは懐疑的だが巻き込まれていくソフィアや警察のアディルたち、という“最後まで維持されそうな関係性”は、かなり衝撃的な形でバタバタと崩壊。そして、それがイマイチ地味だった主人公ソフィアの導火線に火を点ける――という展開には意外性があり、ダレがちな中盤過ぎのカンフル剤としても機能している。

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第二次大戦の遺物、金儲け興行にもチクリと皮肉

環境意識高めのアニマルパニックと思いきや、中盤以降は“サメ・ディザスター”とでも言うべき大惨事へと発展していく本作。冒頭のちょっとした伏線を最終版で大回収するのだが、まさにミミズでサメを釣り上げるようなピタゴラっぷりで、個人規模のサバイバル劇を大きく逸脱した絶望を突きつけてくれる。しかも、実は“それ”もトンデモ設定ではなく、数年前にニュースでも報じられた事実ベースだったりする。

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なお、トライアスロンを予定通り開催することと保身のことしか考えていない市長は、同じくNetflixの『ドント・ルック・アップ』(2021年)でメリル・ストリープが演じたクソ大統領をトレースしているかのような超クソぶり。開催のためには人命すら顧みない非道さは、カネ目当ての“興行”と化したスポーツの祭典をも揶揄しているように見える。参加者には何の落ち度もないが、悲しいかな権威と建前を失った興行は今後あらゆる作品でネタにされていくことだろう。

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動画配信サブスクの性質上、序盤でユーザーの興味を持続できなければ容赦なくスキップされてしまう。本作が世界中で叩き出した驚異的な再生回数は、冒頭で“サメの異常進化”をチラつかせて引き込み、その後は人物の背景描写に時間をあまり割かず、定期的に“サメ怖い”の空気を醸成してスリルを維持しつつ、中盤ではビックリ展開からの進化サメの正体を明かすことで“絶望”を与え、終盤では息つく間もなくボム(大ネタ)を投下する……というテンポの良さが勝因だろう。

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まるで監督のプラン通りに試合が進んでいくスポーツ中継を観ているかのような小気味よさで、もちろん犠牲にしている部分も多々あるのだが、最終的には全体のカタルシスにつながっているのがお見事。さらにエンドクレジットの“背景”が絶望の大オチになっているので、自動スキップを解除して最後までしっかり見届けよう。

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「特集:2週連続!サメフェス2024」はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年8月放送

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