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映画『るろうに剣心』は『龍馬伝』の“その後”の物語だった?大谷翔平との意外な繋がりも!福山雅治ら共通キャスト解説&トリビア【シリーズ3作一挙TV放送】

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ライター:#谷川建司
映画『るろうに剣心』は『龍馬伝』の“その後”の物語だった?大谷翔平との意外な繋がりも!福山雅治ら共通キャスト解説&トリビア【シリーズ3作一挙TV放送】
『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会
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『るろ剣』のキャラクター造形、伝統的な時代劇の殺陣を凌駕した対決シーン

以下、物語の内容に触れています

佐藤健のほか、神谷薫を演じた武井咲、斎藤一を演じた江口洋介といったスターが剣心とともにそれぞれ新しい時代を模索する立ち位置で出てくるが、剣術が過去の遺物とみなされて閑古鳥が鳴く町道場主・薫、剣の技を生かす唯一の途として警察官となる斎藤というのも、それぞれに葛藤を抱えるキャラクター造形となっている。ちなみに、職を失った武士の主たる再就職先が警察だったのは歴史的事実で、特に薩摩の元士族が中心となった。警察官と言えば、怪しい者を呼び止めるのに「おい、コラ!」と言うが、それは薩摩の方言だ(※「ちょっと、あなた/きみ」といった意味)。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会

『龍馬伝』との連続性でいえば、他にも相楽左之助役の青木崇高は、『龍馬伝』では岡田以蔵を刑死に追い込んだ後藤象二郎役だったし、高荷恵を演じている蒼井優も長崎奉行所の隠密だったが龍馬に救われる元(もと)の役を演じていた。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会

剣心の味方だけでなく、悪役のキャスティングも魅力的なのがこのシリーズの特徴。まず第1作の悪役・武田観柳を過剰な存在感で怪演しているのは『龍馬伝』の語り部=岩崎弥太郎役だった香川照之。そして、その観柳の護衛役の外印(げいん)役が綾野剛、さらに同じく観柳の許にいて剣心との対決を心待ちにしている土佐勤王党の志士だった鵜堂刃衛(うどう じんえ)を演じているのが吉川晃司で、この上なく魅力的かつ手ごわい敵として存在感を発揮している。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会

この綾野剛、および吉川晃司と剣心役の佐藤健との一対一の対決シーンというのは、CGやワイヤーアクションに全面的に頼るのではなく、役者の身体を駆使して、昔の時代劇映画の殺陣の最高レベルの技術――たとえば『座頭市血煙り街道』(1967年)での勝新太郎vs近衛十四郎の一騎打ち等――と、香港映画のような映像テクニックと編集技術によるスピーディなアクションのいいとこ取りで、本当に真剣で斬り結んでいるような迫力あるシーンとなっていて、第1作の白眉と言えるだろう。

『るろうに剣心』©和月伸宏/集英社 © 2012 「るろうに剣心」製作委員会

『京都大火編』&『伝説の最後編』の世界観の拡大、映画としてのスケールアップ

アヘン密造・密輸で儲けるため、薫の道場を含む土地一帯を手に入れようと画策していた武田観柳という悪役に剣心らが対峙した第1作と比べると、第2作『るろうに剣心 京都大火編』、第3作『るろうに剣心 伝説の最後編』は大幅にスケールアップした。

『るろうに剣心 京都大火編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

ここでの悪役は、長州の許で剣心の後継者として人斬り家業で名を成しながら、明治新政府の正当性に疑問符を生じさせるような汚れ仕事をしてきたが故に焼き殺されたはずの志々雄真実(ししお まこと)。全身大やけどを負いながら生き延びた彼が明治政府の転覆を計ろうとし、それを剣心ら神谷道場の仲間たち、そして警察の斎藤一が協力して戦うことになる。

『るろうに剣心 京都大火編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

剣心と斎藤一が協力して戦うということは、幕末の京都にあって血で血を洗う戦いを繰り広げた勤王の志士たちと新選組とが手を組んで戦うということ。そこにさらに、旧・徳川幕府の隠密(御庭番衆)だった柏崎念至らの一党が助力するのだが、その御庭番衆から飛び出して、剣心を倒すという想いに取りつかれた四乃森蒼紫(しのもり あおし)という存在が絡む。蒼紫vs剣心、蒼紫vs念至、志々雄vs剣心+左之助+斎藤一+蒼紫という対決が『伝説の最後編』の見せ場となっている。

『るろうに剣心 伝説の最期編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

念至役の田中泯は『龍馬伝』では吉田東洋を、蒼紫役の伊勢谷友介は高杉晋作を演じていたし、藤原竜也演じる志々雄の部下=佐渡島方治を演じた遠藤賢一もまた『龍馬伝』では薩摩の小松帯刀を演じていたわけで、『るろうに剣心』の物語が、『龍馬伝』で新しい世を見ることなく死んでいった者たちがもしも明治時代に生き残ったとしたらどんな人生を送ったか、という世界観をさらに強化して示している。

『るろうに剣心 伝説の最期編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

そして、『京都大火編』のラストに登場、次の『伝説の最後編』で、迷いの生じていた剣心を鍛え直して奥義を授ける師匠・比古清十郎役に扮しているのが、『龍馬伝』での坂本龍馬=福山雅治であることは最大のポイントだ。……つまり、『龍馬伝』での龍馬と以蔵の関係というのは、友人同士であると共に、以蔵にとって龍馬は自らを導いてくれる師でもあったわけなので、その関係性も、ここでは二人がそのまま生き残っていた場合のヴァーチャルな“その後”として観ることが出来るのだ。

『るろうに剣心 伝説の最期編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

その後の『最終章』二部作と 、今後のシリーズ継続の行方

2014年に連続公開された『京都大火編』、『伝説の最後編』から7年、2021年には更なる続編としての二部作『るろうに剣心 最終章The Final』、『るろうに剣心 最終章The Beginning』が公開された。原作漫画の「人誅編」とOVA作品の「追憶編」をベースにした最終章二部作は、剣心を個人的恨みから狙う雪代縁(新田真剣佑)との戦い、そしてその背景としての幕末時代の物語が描かれた。……最終章と銘打っていた以上、更なるシリーズ製作は想定していないのだろう。

『るろうに剣心 伝説の最期編』©和月伸宏/集英社 © 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

だが、原作漫画では、まだ実写映像化されていない「北海道編」もあるし、様々な試練を経て結ばれる剣心と薫との間に生まれた緋村剣路という息子の存在もある。佐藤健主演での『るろうに剣心』の継続が難しいとなった場合も、このシリーズのファンが唸るような新たな実写映像化作品は可能ではないだろうか。

文:谷川建司

<特集:「るろうに剣心」シリーズ3作品イッキ観! >はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年7月放送

https://www.youtube.com/watch?v=qewbj6t7EEc

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