ついにジャッキー・チェン降臨!
生誕70周年、活動50周年記念作品『ライド・オン』が絶賛全国公開中のジャッキー・チェンが、ついに来日! 『ベスト・キッド』続編などの撮影を終えて駆けつけたというジャッキー。約13年ぶりにファンの前に姿を表した彼は、まさに私たちが知る“伝説”そのものだった。
そして今回、都内3会場で行われた緊急舞台挨拶の合間を縫って、ジャッキーがインタビューに応えてくれることに! 相変わらずのサービス精神で取材スタッフを労うレジェンドから、驚きの制作秘話やリスペクトする映画人など、超貴重な言葉をいただくことができたので前後編でたっぷり紹介したい。
「実は最初、僕はこの映画には反対していたんです」
――「ひさしぶりの日本語なので……」と謙遜しつつ、さすがの饒舌ぶりを披露したジャッキー。インタビュアーの小林麗菜があまりの緊張に軽いパニック状態に陥るなか、恐縮をほぐそうとカジュアルに接するジャッキー。その堂々とした佇まいからにじみ出る朗らかなオーラは、もはやそれだけで感涙ものだ。
小林:『ライド・オン』拝見しました。すごく面白くて……面白いんですけれど、私はもう号泣でした。
ジャッキー:ある意味、計算済みです(笑)。それは、やっぱり監督の予想が当たったんですね。実は最初、僕はこの映画には反対していたんです。だって“ジャッキー・チェン”を撮っても、ぜんぜん面白くないじゃないですか。
――鉄板の“ツカミ”からの衝撃発言。自分のことばかりを語られても、それで観客は満足しないのではないか? という謙遜ぶりには驚かされるが、自分は世界的スターではなく“いち映画人”なのだから、というジャッキーの芯の部分をよく表しているとも言えるだろう。そして監督のラリー・ヤンの言葉を引き合いに出し、制作に至るエピソードを明かしてくれた。
ジャッキー:ラリー・ヤン監督は、「これはジャッキー・チェンを撮るだけではなくて、映画を通して全世界のスタントマンにオマージュを捧げるんだ」と言うんです。ヤン監督は僕のファンというだけでなく、映画ファン、アクション映画ファンです。色んな映画にとても詳しくて、香港出身ではないけれど、いわく「自分は70~80年代の香港映画を観て育った」と。
それで脚本を見せてくれたんですが、まだ完成していなかった。だから「ちゃんと完成させて持ってきなよ」と。そもそも最初はOKを出すつもりがなかったわけですから、つまり「帰りなさい」と、お断りしたわけです。ところが彼は1ヶ月もしないうちに、また脚本を持ってきた。そしてそれを読んでみたら、その場で泣いてしまったんです。
スタントマンの話だけではなく親子、娘との話や、馬の話……本当に涙を流してしまいました。そこで出演を決めたんです。だから観てくださった皆さんに「泣いた」「良かった」と言っていただけるのは、すごく嬉しいんですよ。この映画、断らなくてよかったです(笑)。ヤン監督に感謝してください。
『ライド・オン』
香港映画界伝説のスタントマンと言われたルオ・ジーロン(ジャッキー・チェン)はケガをきっかけに第一線を退き、現在は借金取りに追われながら中国の撮影所に住み込み、愛馬・赤兎(「チートゥ」)とエキストラなどの地味な仕事をこなす日々を送っていた。
ある日、チートゥの元持ち主であった友人ワン(レイ・ロイ)の債務トラブルが原因で、チートゥが借金の肩の一部として連れ去られる危機に。困ったルオは疎遠になっていた一人娘のシャオバオ(リウ・ハオツン)を頼る事にする。法学部の学生であるシャオバオは、恋人の新米弁護士ナイホァ(グオ・チーリン)を紹介。だがシャオバオは、スタントに入れ込むあまり母と離婚した父を受け入れられずにいた。
チートゥに惚れ込んだ大企業の総裁で馬好きのホー(ユー・ロングァン)が、チートゥを買い取りたいと申し出るがルオは請け合わない。昔ながらの体を張った危険なスタントに固執する父の姿に反発したシャオバオとも溝ができてしまう。結局は裁判で負け、チートゥをホーに譲る事になったルオ。シャオバオルオ。シャオバオは、仕事に命がけで挑むことで家族に愛を伝えようとする不器用な父の為に愛馬を返して欲しいとホーに懇願するが……。
監督・脚本:ラリー・ヤン
出演:ジャッキー・チェン リウ・ハオツン グオ・チーリン ユー・ロングァン アンディ・オン ジョイ・ヨン ユー・アイレイ シー・シンユー レイ・ロイ ウー・ジン
制作年: | 2023 |
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全国公開中