着陸したら爆発!? 絶体絶命の飛行機パニック
FBIニューヨーク支局の特別捜査官ディーツはその日、とある急進右派グループのアジトを制圧する。潜伏していたテロリストの無力化には成功したものの、アジト内には周辺一帯が吹き飛ぶ量の爆薬と高度計が隠されており、さらにFBI情報局はアジトから複数回、<2191>という謎の数字を傍受していた。
一連の状況から、「テロリストはフライト便<2191>の飛行機に、爆発物を仕掛けたに違いない」と推理するディーツ。その予想は的中したものの、コースタル航空<2191>便の民間機は、ほぼ同時刻に離陸を始めてしまっていた。いわく、機内の爆発物は「高度1300フィートを超えると起動を始め、着陸時に起爆する」という。絶体絶命の状況に陥った2191便のクルーは、たまたま乗り合わせていた元陸軍の爆弾処理班ギャレットと共に、爆発物の捜索を開始する。
加えて、「それほどの危険物がTSA(運輸保安局)の検査システムを易々通り抜けた」ことに疑問を抱いたディーツは、背後に軍用AIの関与を察知。調査の末に辿り着いた結論は、「かつてテスト飛行中に誤作動を起こして墜落した戦闘機と、その内部に搭載していた軍用AIをテロリストが回収し、この事件に利用している」という、にわかには信じられないものだった。
さらには軍用AIが操る無人戦闘機が、2191便を狙って追い打ちのように襲来。迎え撃つは「まさにその軍用AIのせいで親友を失った」と語る、バニング少佐の護衛機だが……。
テロリストの陰謀を阻止すべく奔走するディーツ。機内の爆発物を処理すべく奮闘するギャレット。そして、無人機の撃墜に集中するバニング少佐。三者三様に死闘を繰り広げる中、テロリストが2191便の爆破に固執する、本当の目的が明らかとなる――。
(アサイラム当社比で)見どころ多し!AI設定や力技で魅せる
さて本作、基本的には<サスペンス色が強めのフライト・パニックもの>として物語が進むが、中盤からは<SF要素の色濃い>AI設定が顔を覗かせ始める。そして本編の最初と最後には、テロリストの銃撃戦や戦闘機のドッグファイトなんて<アクション展開>が挟まる、という大盤振る舞いである。
通常ならば詰め込み過ぎだと訴えたいところだが、ほかの(とにかく中身スカスカで間延びしがちな)アサイラム映画に比べると、最低限内容が詰まっている部類である。それでも中盤はやはり冗長気味に感じられたが、当社比で見所は多い方ではないだろうか。
その他、“見方次第では”面白いシーンも多い。(最序盤だけ)聖書やらなにやらを話に絡め、さも推理もののように仕立て上げているにもかかわらず、途中から出てきた軍用AIが全部吹っ飛ばす、という構成。爆破装置の仕様に関しては一切謎であるはずの状況下で、突如「この爆発物は高度1300フィートを超えると作動するんだ!」と、断定口調で話を進め出すFBI特別捜査官の力技(のちに事実と判明)――。雑と言えば雑だが、同時に笑えもするため、さほど悪印象はない。その辺りは良い意味でアサイラム映画らしい部分だろう。
最後に、当然ながらこの映画、『エアポート』シリーズ(1970年ほか)とも特に関係はない。
文:知的風ハット
『エアポート2022 ザ・トップガンナー』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年6月放送
『エアポート2022 ザ・トップガンナー』
JFK空港発、ドミニカ行きの旅客機に爆弾が仕掛けられた。爆弾は高度1300フィートで起動し、飛行機が着陸すれば爆発する。乗り合わせていた元陸軍爆弾処理班のギャレットは、貨物室で発見した爆弾の解体に挑む。しかし、AIに操られた無人のミグ35戦闘機が飛来する。
監督:グレン・R・ミラー
出演:マイケル・パレ、マイケル・ブロデリック、アンナ・テルファー
制作年: | 2022 |
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CS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年6月放送