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熱狂的ジャッキーファンが撮った『ライド・オン』! 監督が撮影現場で目の当たりにしたジャッキー・チェンのプロフェッショナリズムとは?

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ライター:#橋本宗洋
熱狂的ジャッキーファンが撮った『ライド・オン』! 監督が撮影現場で目の当たりにしたジャッキー・チェンのプロフェッショナリズムとは?
『ライド・オン』© 2023 BEIJING ALIBABA PICTURES CULTURE CO., LTD.,BEIJING HAIRUN PICRURES CO.,LTD. © 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.
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「スタントマンにはリスペクトしかありません」

ジャッキーの演技をたっぷりと見せつつ、『ライド・オン』はスタントマンという危険で愛すべき職業への複雑な心情も隠さない。かつての弟子であるアクションスター(演じるはウー・ジン)に誘われて参加した大作では、アクションシーンでもCGをふんだんに使う。しかしジャッキー、いやルオとしては体を張ったスタントがやりたいのだ。

『ライド・オン』© 2023 BEIJING ALIBABA PICTURES CULTURE CO., LTD.,BEIJING HAIRUN PICRURES CO.,LTD. © 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

どちらが正しいというわけではないが、時代が変化しているのは間違いない。そうした事情は、ドキュメンタリー『カンフースタントマン 龍虎武師』(2021年)でも描かれていた。

私は80年代生まれで、小さい時にジャッキーの映画をはじめ黄金時代の香港アクションを見て育ちました。それを支えたスタントマンたちがどれだけ苦労したか、命がけだったかは、映画界に入ってより詳しく知ることができました。撮影技術、裏側が分かると、余計にスタントマンの凄さが理解できるんです。彼らにはリスペクトしかありません。“今では時代遅れだよ”と言う人もいるのでしょうが、当時はそれが必要だったんです。おかげで、我々は素晴らしいシーンの数々を見ることができた。

もちろん、今の映画制作に関して言えば、危険から守ることを考えなくてはいけません。何より大事なのは人間であり、その命ですから。今は安全にアクションを撮る技術も進歩しています。安全なら、それに越したことはありません。

「若い人たちにも“こんなに凄いことをやっていたのか”と体感してほしい」

大事なのは“愛”なのだとヤン監督は言う。

映画に対する愛、アクションに対する理解がどれだけあるかでしょう。絶対に面白い映画を撮るんだというスピリット、それだけは受け継いでいかなければ。

昔のスタントマンたちもそうだったはずです。命がけのスタントができたのは、映画への限りない愛があったから。その精神さえ失わなければ、技術は変わっても素晴らしい映画が生まれ続けると思います。

『ライド・オン』© 2023 BEIJING ALIBABA PICTURES CULTURE CO., LTD.,BEIJING HAIRUN PICRURES CO.,LTD. © 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

本作には、過去のジャッキー映画へのオマージュも多数。まさに監督の“愛”を感じる場面だ。主人公ルオが出演した映画として、『プロジェクトA』、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)など過去作の名場面も。ジャッキーの歴史と劇中のエモーションが重なり、そのことでジャッキーを見続けてきた我々のハートも刺激される。

過去作の引用は、どれも大好きな場面ばかりです。劇中では映像をモニターで見るという形ですが、2つのシーンだけは画面いっぱいに映るようにしました。映画館の大きなスクリーンで、全盛期のアクションを見てほしかったんです。

若い人たちはジャッキーの偉大さを知識としては知っていても、実際に作品を観ていないかもしれない。そういう人たちに“こんなに凄いことをやっていたのか”と体感してほしい。本作が過去の名作を見るきっかけになれば。そんな思いもあるんです。

このインタビューも、『ライド・オン』という映画も、ジャッキーに対するラブレターそのものだ。70歳のジャッキーに、ありったけの愛を。

取材・文:橋本宗洋

『ライド・オン』は2024年5月31日(金)より全国公開

過去の名作ズラリ「最新作公開記念!ジャッキー特集」はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年5月放送

壮絶スタントをスクリーンで楽しむ「ジャッキー・チェン〈4K〉映画祭」は5月10日(金)より開催中

Presented by ツイン

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『ライド・オン』

香港映画界伝説のスタントマンと言われたルオ・ジーロン(ジャッキー・チェン)はケガをきっかけに第一線を退き、現在は借金取りに追われながら中国の撮影所に住み込み、愛馬・赤兎(「チートゥ」)とエキストラなどの地味な仕事をこなす日々を送っていた。

ある日、チートゥの元持ち主であった友人ワン(レイ・ロイ)の債務トラブルが原因で、チートゥが借金の肩の一部として連れ去られる危機に。困ったルオは疎遠になっていた一人娘のシャオバオ(リウ・ハオツン)を頼る事にする。法学部の学生であるシャオバオは、恋人の新米弁護士ナイホァ(グオ・チーリン)を紹介。だがシャオバオは、スタントに入れ込むあまり母と離婚した父を受け入れられずにいた。

チートゥに惚れ込んだ大企業の総裁で馬好きのホー(ユー・ロングァン)が、チートゥを買い取りたいと申し出るがルオは請け合わない。昔ながらの体を張った危険なスタントに固執する父の姿に反発したシャオバオとも溝ができてしまう。結局は裁判で負け、チートゥをホーに譲る事になったルオ。シャオバオルオ。シャオバオは、仕事に命がけで挑むことで家族に愛を伝えようとする不器用な父の為に愛馬を返して欲しいとホーに懇願するが……。

監督・脚本:ラリー・ヤン
出演:ジャッキー・チェン リウ・ハオツン グオ・チーリン ユー・ロングァン アンディ・オン ジョイ・ヨン ユー・アイレイ シー・シンユー レイ・ロイ ウー・ジン

制作年: 2023