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大型連休に最凶シリアルキラー映画が日本襲来
旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を追う刑事の戦いを、実在のシリアルキラーたちをモデルに描いたサイコスリラー『殺人鬼の存在証明』が、ゴールデンウィーク真っ最中の5月3日(金・祝)より劇場公開される。
1991年、負傷した女性が森の近くで保護される。女性の証言から、10年以上殺人を続けていた連続殺人犯の手口に酷似していることが明らかになり、既に1988年に捕まっていた犯人は誤認逮捕だったことが判明する。
新たな容疑者であるアンドレイ・ワリタ(ダニール・スピヴァコフスキ)を追い詰めた捜査責任者のイッサ(ニコ・タヴァゼ)は、尋問をする中でワリタがそれまでの連続殺人を犯した真犯人だと確信していくが、彼の口から驚愕の真実を聞かされることになる……。
実話ベースのリアルと先読みできない脚本の妙
実際の連続殺人事件からインスパイアされたという本作。といはいえ、すでに解決した具体的な事件をベースにしているわけではないので先読みは不可能だ。それでも『ゾディアック』(2006年)や『殺人の追憶』(2003年)といった過去の傑作スリラーを引き合いに出して語りたくなる、とてつもなく胸糞であると同時に最後の最後まで観客を翻弄する、ミステリーとしても非常に優れた作品に仕上がっている。
犯人像の主なモデルとなったのは、ディアゴスティーニの「マーダー・ケースブック」でもお馴染み、1970~1980年代に54人を殺害した“ソ連の赤い切り裂き魔”ことアンドレイ・チカチーロで、犯人の役名がアンドレイであるほか生年なども拝借している。また、彼を追う主人公にも実際の担当刑事と同じイッサという名を与え、関係者への緻密な取材や様々な連続殺人事件のリサーチもしたというから、これが長編デビュー作となるラド・クヴァタニア監督の根性には敬服せざるを得ない。
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