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ドイツ、ラップ、実話!
ゴールデングローブ賞外国語映画賞のほか、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンでも主要賞を獲得しているドイツの若き名匠、ファティ・アキン監督の最新作『RHEINGOLD ラインゴールド』は、まさかのラッパー成り上がり物語だ。しかも実在する人物で、ドイツでは知らない者はいない大物ラッパー「カター(Xatar)」の半生を描いた、実録ドラマである。
とはいえドイツのヒップホップ(Deutschrap)に明るい人は、そう多くないだろう。ご存知の通りヒップホップはアメリカ発の黒人文化だが、”輸入モノ”だけでなく国内アーティストも好んで聴く傾向にあるドイツでは才能あるアーティストが多数登場し、そのリアルなワルさはSNSとの相性もよく世界中に輸出されつつある。
本作が約1000万ドルの国内興行成績を記録し、アキン監督作史上最大のヒット作となったことからも、ドイツ国民の自国アーティストに対する誇りや期待ががうかがえるというもの。アキン監督自身ミュージャンを目指していたこともあり、来日時にはレコードをディグる筋金入りの音楽好きとして知られるだけに、本作に期待している映画ファンは少なくないだろう。
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