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世界が注目する2024年のアカデミー賞だが、ひと昔前までは日本で劇場公開される一部の作品を観ることはできても、受賞作、ノミネート作を網羅するなんてほぼ不可能だった。しかしいまは事情が違う! 動画配信サービスのおかげで、技術賞や短編ドキュメンタリーのようなマイナーな部門でもチェックできる作品が激増したのだ。
そこで、授賞式も間近に迫った第96回アカデミー賞のノミネート作品から、配信で観られる作品をいくつかピックアップして紹介してみよう。
『マエストロ:その音楽と愛と』
ノミネート:作品賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞、撮影賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、音響賞
作品賞、両主演賞という目玉部門も含む全7部門ノミネートとなった、アメリカが誇る作曲家・指揮者のレナード・バーンスタインと妻フェリシア・モンテアレグレの伝記映画。映画スターのブラッドリー・クーパーが『アリー/スター誕生』(2018年)に続いて主演を兼ねた監督第2作でもある。
クラシックの名指揮者であり、『ウエスト・サイド・ストーリー』のようなブロードウェイミュージカルも手掛けたバーンスタインの生涯を描くにあたって、ブラッドリー・クーパーはコンサートやミュージカルの形式を取り入れ、遊び心あふれる映像表現を追求。映像と音楽、音響と演技が渾然一体となったアグレッシブなアプローチはかなりの攻めっぷりだと思うのだが、賞レースでは思いのほか存在感を発揮できていない。しかし、クーパーの監督&俳優としての才能、そして主演女優賞候補となったキャリー・マリガンの凛とした名演技がギュッと詰まった力作であり、ゲンコツのようなインパクトを堪能して欲しい。
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