リュック・ベッソン監督が最新作を語る!
『DOGMAN ドッグマン』は不思議な映画だ。何年も犬たちと閉じ込められるという虐待を生き延びたダグラスは、犬と自由に意思疎通するドッグマンとなり、大勢の犬と暮らしている。表の顔はそっくりさんショーのショーマン、裏の顔は義賊。だが、街のマフィアと対決することになり……というストーリーで、ショーや音楽、バイオレンス・アクション、そして犬好きな人にはもちろん犬! と見どころは多様。その多様な発想の源を、リュック・ベッソン監督に聞いた。
「『ドッグマン』のアイデアは新聞記事から生まれた」
―警察犬も手なづけてしまえたら無敵で、すごいアイデアだと思います。“犬を使う”という発想はどこから生まれたんですか?
『ドッグマン』のアイデアは新聞記事から生まれた。父親に犬のケージに閉じこめられていた、5歳の男の子についての小さな記事だった。4年間も閉じこめられていたんだ。ものすごく驚いたよ。私も父親だから、どうしたらそんなことができるのかわからなかった。
それが始まりで、それから、その子にどんなことが起こるのか想像し始めたんだ。一体、どんな大人になるんだろうか? 根を切ってしまった木はどんなふうに成長できるのか? この少年が何者かになるのを見せたいというアイデアに夢中になっていたと思う。あらゆるトラウマを背負っていたとしても、彼には選択の機会がある。意地悪にもなれるし復讐もできるが、それを良いことに使いたい。いまみたいにトラブルだらけの時代にはすごく面白いんじゃないかと思ったんだ。どれだけ傷つけられたとしても、それを好転できるんだと示すことが。
―主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズは『ニトラム/NITRAM』(2021年)などイノセントな役がよく似合いますし、この映画もイノセントな感じなので、それが起用の決め手になったのかと思いました。
この役をケイレブ以上にうまく演じられる俳優はいないと思うな。彼はすごい俳優だし、キャスティングできてラッキーだった。初対面では二匹の犬がクンクン相手を嗅ぎ回るみたいな感じだったけど、すごくいいヤツで、仕事へのアプローチも格別だった。実人生では経験しないような設定だったから、5ヶ月間も車椅子で過ごして歌い方も学んでくれた。素晴らしかったよ。
『DOGMAN ドッグマン』
ある夜、警察に赤いドレスを着た男が拘置された。逮捕された際、男は負傷しており、運転していたトラックには無数の犬が乗っていた。男の処遇に困った警察は精神鑑定のため女医のエヴリンを呼ぶ。夜中に駆けつけたエヴリンに、男は静かに語りはじめる。凄まじい虐待を生き延びた経験、犬たちとの暮らし、ショーマンとしての成功、街のマフィアとの死闘を…。
脚本・監督:リュック・ベッソン
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ ジョージョー・T・ギッブス ほか
制作年: | 2023 |
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2024年3月8日(金)より新宿バルト9ほか全国公開