『あくわた』とは、なんなのか?
若者達が田舎の小屋に立ち入り、お札を剥がしたことにより“悪魔”に取り憑かれ大暴れ。血しぶき上げまくりの惨劇が巻き起こる!
「ああ、『死霊のはらわた』(1981年)だね!大好物‼」
しかし!『悪魔がはらわたでいけにえで私』(長いので以下『あくわた』)は、そんな簡単な映画じゃなかった。『死霊のはらわた』等で観られる“スプラッターホラー映画”要素の全てを冒頭10分でぶっ込んでしまっている。
「いや、これずっと続くの? それはそれで嬉しいんだけど」と思いきや『あくわた』は、セットが変わるごとに全く違う映画に変貌する。まるで映画が“何か”に都度都度、憑依されているかのような展開を見せるのだ。
バーに閉じ込められた男二人のドタバタソリッドシチュエーションコントになったと思ったら、<トロマ・エンターテインメント>総帥のロイド・カウフマンが登場し景気よく悪魔侵略のアナウンスをする様は、超B級ホラー感を醸す。
悪魔と人間が共存する世界を舞台にした差別と虐殺は『新・猿の惑星』(1971年)や『地球最後の男』(1964年)等の社会派SFを彷彿とさせ、そのくせ腸(はらわた)をマフラーにした若い悪魔たちのキャッキャウフフな青春劇も見られる。果ては(あえてはっきり書かないが)超巨大な“黒い壁”も登場。ただ、メインはあくまで内蔵と血しぶきと緑色のゲロ、そして「ギャギャギャッ!」としか言わない台詞だ。
「!!!!!!」……あまりにも混沌とした60分に圧倒され、言葉も出ない。かといって映画は崩壊しておらず、『あくわた』ワールドと名付けたくなるほどの、強烈な語り口がある。一体、どんな狂った感覚でこんな映画を作ったのよ……。
ということで今回は、本作にチラリと顔を出すロイド・カウフマンへのインタビューをお届け。折角なのでトロマのファンにも嬉しいお話も伺った。