「ピコピコの映画」も今は昔…
かつての“ゲーム映画”はあまりゲームというものを分かっておらず、プレイしたこともない人々によって作られていた――そんな試行錯誤の歴史であった、というあたりは『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』(1993年)や『ストリートファイター』(1994年)などの例をみても明らかである。
そこから時は流れ、今では大人も子供も皆ゲームをプレイするようになった。そんな時代になると、みな元ネタのゲームをプレイしているのが当たり前で、それどころかマニア自身がスタッフとなり映画版を作っている、なんていう作品も多くなってきた。『ソニック・ザ・ムービー』(2020年)なとがいい例だろう。
そして、2024年2月9日(金)に日本公開される『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(以下『FNaF』)は、その「ゲームの世界を再現する」手法はもちろん、さらに映画ならではの表現を加え、映画版を観る意味のある作品になっている。
大ヒットPCゲームシリーズ『FNaF』とは?
ゲーム版『FNaF』は、廃墟と化したダイナー&アトラクションを舞台に、打ち捨てられた巨大アニマトロニクスの人形たちが襲いかかってくる。主人公の監視員は、それを防犯カメラなどで察知し、撃退し生き残っていくというサバイバルホラーであり、外伝なども含めると10作を数え、小説やコミックなども展開している大ヒットゲームシリーズだ。
今回映画化される1作目、敵が11体に増えヌイグルミを被ることで仲間のふりが可能になる2作目、舞台をホラーアトラクションに変えた3作目などシリーズ初期作では、カメラや警備システムを用いて人形たちの接近を察知し撃退していく、という基本システムが確立されていった。
その後さらに発展を続け、4作目では守るだけでなく自らも動けるようになり、5作目ではアニマトロニクスたちのメンテ係になり、6作目ではピザ屋の経営側をプレイすることに。さらに7作目では、今までの57体のアニマトロニクスが総登場するオールスター作品となっている(なんとここまで全てPCゲーム)。8作目でVR化し、9作目ではテーマパークを舞台にオープンワールド化。アニマトロニクスを仲間にできたりと、シリーズを追うごとに新たな要素や展開を加え、進化を続けている。
驚きなのは家庭用ゲームとして発売されるのは8作目からということで、シリーズの大半がPCゲームであるのに、これだけのヒットを記録しているのは実に画期的だ。
『FNaF』は「可愛いものが怖く変化して襲ってくる」という流れを作った1本として位置づけられるだろうし、のちの蜘蛛のような足を生やした“機関車トー○ス”風の異形クリーチャーが襲ってくる「Choo-Choo Charles」など、最近のブームである「グロ怖カワイイ」ゲームの祖になっている作品であるともいえよう。
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』
過去に行方不明となった弟の未解決事件に未だ苦悩しながら、ともに暮らす妹アビーのため必死に仕事を探していたマイクは、ある日、夜間警備の依頼を引き受ける。
「簡単なことだ、モニターを監視するだけだよ」
かつては機械仕掛けのマスコットたちが人気を呼んだレストラン<フレディ・ファズベアーズ・ピザ>は、80年代に子供たちが謎の失踪を遂げ、現在は廃墟と化していた。
マイクはここで夜を過ごすうち、説明のつかない出来事に遭遇し、この夜勤がそう簡単には終わらないことに気づく。
出演:ジョシュ・ハッチャーソン、エリザベス・レイル、パイパー・ルビオ、キャット・コナー・スターリング、メアリー・スチュアート・マスターソン、マシュー・リラード他
監督:エマ・タミ
製作:ジェイソン・ブラム(『M3GAN/ミーガン』、『エクソシスト 信じる者』、『ハロウィン』シリーズほか)、スコット・カーソン
原作:ゲーム「Five Nights at Freddy’s」シリーズ/スコット・カーソン
制作年: | 2023 |
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2024年2月9日(金)より全国公開