「インカ帝国で誕生した必殺の戦闘術」とは？一子相伝の俺ジナル拳法めぐる闘い描く『フィスト・オブ・ザ・コンドル』誕生秘話＆マルコ・サロールの魅力【後編】

記事前編では、チリ映画界で未開拓だったアクション映画をイチから開拓した、マルコ・サロールと盟友エルネスト・ディアス＝エスピノーサの初期キャリアを紹介した。

『ジョン・ウィック』で大活躍のマルコ・サロールって何者？ロック様のスタントから格闘俳優へ！秘拳アクション『フィスト・オブ・ザ・コンドル』公開【前編】

 

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しかし、マルコもエルネストも“映画ビジネス”の商才には恵まれなかった。そのため、主演映画がヒットしても儲けは映画会社に渡ってしまい、この時期は厳しい生活をしていたという……。それでも、世界中の格闘アクション映画ファンから注目される存在になったマルコに、大きなチャンスが舞い込む。イギリス出身の格闘アクションスター、スコット・アドキンス主演、囚人たちが出場する地下格闘技の世界を描いた人気シリーズ第三弾『Undisputed III: Redemption』（原題：2010年／未公開）で、スコットと対決するメイン悪役のオファーである。

マルコにとっては念願のハリウッド・アクション映画の出演である。自分と同世代なうえに、高度な格闘スキルのオーナーであるスコット・アドキンスのアクションに注目していたマルコは、このオファーを快諾。本作の魅力についてはBANGER!!!に掲載した『ジョン・ウィック コンセクエンス』（2023年）の記事の中で書いているので、興味があったらぜひ読んでください！

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本作によってマルコはアドキンスと親交を深めることになり、1959年のインドシナを舞台にした格闘＆戦争アクション映画『サヴェッジ・ドッグ -闘犬-』（2017年）で再び共演し、激闘を繰り広げた。ちなみに、こちらの作品でマルコはフランス外人部隊出身の悪役を演じ、クライマックスでは「バイオレンスジャック」級の特大ジャックナイフを使い、フランスの総合格闘技サバットを取り入れたアクションを披露している。『ジョン・ウィック：コンセクエンス』でも共演した二人は、すでに4度目の共演作『Diablo（原題）』の撮影も終了済みだという！

『Undisputed III: Redemption（原題）』によって知名度をさらに広げたマルコだが、同作出演後の彼は何故か俳優業の暖簾を下ろして、世界最高の総合格闘技団体＜UFC＞のファイターになると宣言……。そう至ったのには深い理由がある。

僕とエルネストがチリでアクション映画を作ったことで、海外の映画祭では評判になったけど、ビジネス面では成功しなかったんだ……。映画ビジネスの知識がなかった僕たちは、作品がヒットしても儲からなかった。映画を作るために初期投資したお金も回収できていなかったんだ……。僕たちじゃない人たちに収益が入っていったんだ……。それで俳優業を辞めて、UFCのファイターになるためのトレーニングを開始したんだ。

Grande Chile!! Claudio Quintana gana su pelea en Lima con patada en la cabeza! pic.twitter.com/LEfu5lqscJ

— marko zaror (@markozaror) October 11, 2013

そんな時である。またしてもマルコの人生にビッグチャンスが到来する。

ある日、突然、ロバート・ロドリゲスから電話が来たんだ！ 彼から、自分が監督する『マチェーテ・キルズ』（2013年）に出演してほしいと言われたんだ！

ロバート・ロドリゲスは、マルコとエルネストが高校時代から尊敬している映画監督である。

ブルース・リーが僕に格闘技の道に進ませてくれた人なら、ロバート・ロドリゲスは映画の道に進ませてくれた人だ。

エルネストとチリでアクション映画を撮る時は、いつもロバート・ロドリゲスならどうする？ と思いながらやってきた。だから、電話から彼の声が聞こえた時は、あまりのことに信じられなかったよ（笑）。それに彼の声を聞いた瞬間、これは“過去の失敗は忘れて、映画の道に進むんだ”というサインなんだと思って、1秒も悩まずに出演を引き受けたよ！

gran momento!!! no se pierdan @MacheteKills !! esta atomica! pic.twitter.com/aeyvLLjSqa

— marko zaror (@markozaror) September 20, 2013

『マチェーテ・キルズ』でマルコはクローン人間の暗殺者サロールを演じたことで、ロドリゲスから絶大な信頼を得る。その結果、ロドリゲスが製作総指揮を務めたTVシリーズ『フロム・ダスク・ティル・ドーン ザ・シリーズ』（2014～2016年）や、彼が監督したレミーマルタンの広告映画『100 Years』（2015年）、デミ・ロヴァート「コンフィデント」のミュージックビデオ（2015年）、『アリータ：バトル・エンジェル』（2019年）に出演するようになる。

Say bye bye to @zaneholtz Richie! Don't miss his last episode were he will get destroyed by #zolo!! @DuskElRey @Elreynetwork pic.twitter.com/WuxqgaB1jB

— marko zaror (@markozaror) October 26, 2016

それらの作品の中で特に大事なのは『フロム・ダスク・ティル・ドーン ザ・シリーズ』と「コンフィデント」MV。『フロム・ダスク～』では不老不死のアステカ族の戦士ゾロを演じているのだが、まずファッションが素晴らしい。顔面にはウォーペイント、頭髪はモヒカン、ほぼ裸状態の上半身に毛皮とアーマーをまとっているファッションで移動手段はバイク！ というアグレッシブかつ頼もしいスタイルは、「北斗の拳」のメインキャラにエントリーされてもおかしくないカッコ良さ！ ミュージックビデオ「コンフィデント」では、共演のミシェル・ロドリゲスとの格闘アクションを披露している。

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