• BANGER!!! トップ
  • >
  • 映画
  • >
  • 老サモ・ハンの“終活”描く!? カンフー映画『おじいちゃんはデブゴン』 認知症の最強じいさんに号泣待ったなしの名作

老サモ・ハンの“終活”描く!? カンフー映画『おじいちゃんはデブゴン』 認知症の最強じいさんに号泣待ったなしの名作

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook
ライター:#デッドプー太郎
老サモ・ハンの“終活”描く!? カンフー映画『おじいちゃんはデブゴン』 認知症の最強じいさんに号泣待ったなしの名作
『おじいちゃんはデブゴン』© 2016 Irresistible Alpha Limited, Edko Films Limited, Focus Films Limited, Good Friends Entertainment Sdn Bhd. All Rights Reserved.
1 2

ジャッキー・チェンの隣によくいるぽっちゃりさん

あなたはサモ・ハンをご存知だろうか。

『燃えよドラゴン』(1973年)冒頭でブルース・リーに挑んだ青年として注目を集め、『燃えよデブゴン』(1973年)や『スパルタンX』(1984年)、『五福星』(1984年)『プロジェクトA』(1983年)など代表作を多数持つ香港のカンフースターだ。ジャッキー・チェンの隣によくいるぽっちゃりさんといえばおわかりだろうか。

統計学的に「サモ・ハン・キンポーが隣でわちゃわちゃしているジャッキー映画はおもしろい」という事実が物語る通り70~80年代は、その体型からは想像できないアクロバティックなアクションで世界中の肥満児に夢と希望を与えた。

わがままぽっちゃりボディに加えておかっぱ頭と愛嬌のある笑顔。皆、親しみを込めて「大大兄貴(タイタイコー)」なる愛称で呼んでいた。

そんなサモ・ハン・キンポーに事件が起きたのが90年代。ハリウッド進出を機にサモ・ハンに改名、髪型もオールバックにイメチェンし、これまでの三枚目路線から貫禄たっぷりのおじさんへと変貌した。

『ラスト・シャンハイ』(2012年)『イップ・マン 葉問』(2010年)など良い作品は多数あるが、中でも個人的おすすめとして、『SPL/狼よ静かに死ね』(2005年)あたりをぜひ観てほしい。犯罪組織のボスを演じたサモ・ハンがドニー・イェンと死闘を繰り広げるのだが、これがめちゃくちゃカッコ良い。

あのデブゴンが……カッコよすぎる。当時「あの野郎、もしかして50歳を超えてモテようとしてるのか? 色気づきやがって!」という不安がよぎったが、そもそもサモ・ハンの奥さんはミス香港だ。昔からめっちゃモテていた。ただただ努力を怠らず、自分を磨き続けているだけだった。

鯉が滝を登り龍となるように、サモ・ハンはキンポーを捨てて龍となった。

良い歳の重ね方をされた人はたくさんいるが、サモ・ハンに敵う人はなかなかいない。俺が思うに、キンポーを捨てないとサモ・ハンの域に達することはできない。承認欲求や変なプライドは年齢と共に削れていくものだが、ノー・キンポーの境地へ辿り着くのはとても難しい。

そんなサモ・ハンの近年の作品で俺が強くおすすめしたいのが、今回紹介する『おじいちゃんはデブゴン』(2016年)だ。

『おじいちゃんはデブゴン』© 2016 Irresistible Alpha Limited, Edko Films Limited, Focus Films Limited, Good Friends Entertainment Sdn Bhd. All Rights Reserved.

次ページ:まるでサモ・ハンの終活のよう…哀しくも愛おしい結末に涙
1 2
Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook