純然たるコメディ映画に仕上げた続編『ウィジャ・シャーク2』
続く『ウィジャ・シャーク2』は最初に述べたように、前作よりは断然面白くなっている作品だ。
前作ラストの決戦から数ヶ月後。霊体と化したジルの父アンソニーは、幽霊サメと共に地獄へ堕ちたのち、得体の知れない怪物たちを相手に孤独な戦いを続けていた。一方、現世では彼の妻クレシーダが、アンソニーを地獄から呼び戻すべく奔走中。霊媒師たちの力を借りて、この絶望的な状況を打開せんとする。
そんな中、幽霊サメの主人にして一連の騒動の黒幕でもある男、地獄の支配者カルドゥーラがついに姿を現す。彼が再び放った幽霊サメは現世で巨大化し、さらなる大混乱を招くことに……。
クライマックス以外は案外シリアス志向だった前作とは対照的に、2作目は純然たる<コメディ映画>である。唐突に始まるミュージカル・パートや、<ミスティック・シールド>絡みの小ネタをやたら推してくる構成。ちょっとしたジョークのオンパレードに、最終盤で出現する●●など、明らかにウケを狙いに来ている。悪ノリは激しく内輪ネタまみれではあるものの、独りよがりで尺稼ぎばかりしていた1作目に比べれば、はるかにマトモだ。
この2作目には複数の見所が意図的にちゃんと配置されており、少なくとも作品が視聴者の方を向いて、笑わせようとしてくれている。チープさ・冗長さは相変わらずであり、やはり手放しでは褒められない点は多々あるものの、劇的に改善されている。とりあえず前作とは雲泥の差である(ちなみに、前作から監督が代わっている)。問題は、前作からそのまま続き物のストーリーであるため、本作を楽しむためには1作目も観なければならないことなのだが。
以上が『ウィジャ・シャーク』シリーズである。1作目はオススメできないが、もしも『1』を観たならば、絶対に2作目まで観てほしい、そんなジレンマと共に紹介したいサメ映画シリーズだ。もっとも自発的に『1』を観るような者は、言われなくても既に『2』まで観ていることだろう。
文:知的風ハット
『ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦』『ウィジャ・シャーク2』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:真冬のサメフェス」で2024年2月放送