祝・ムービープラス「特集:真冬のサメフェス」放送決定! そのラインナップの中でもとりわけ異様な存在感を放っているのは、やはり『ウィジャ・シャーク』シリーズだろう。ウィジャ盤(※ウィジャボード:西洋版コックリさん)から現れた幽霊サメを巡る、インディー系の低予算サメ映画シリーズ2作だ。
「正直なところ両方とも非常にクセが強い(マイルドな表現)」、「それでも2択でどっちが面白いか選ぶなら、絶対に『2』のほう」といった具合のイロモノ作品群だが、とにかく今回はこのオカルト系サメ映画を2本、まとめて簡単に紹介しよう。
脱力ボンクラ・パニック『ウィジャ・シャーク/霊界サメ大戦』
女子大生のジルは、友人らとの待ち合わせ中、ふと訪れた海辺で一枚のウィジャ盤を発見する。何とは無しに持ち帰り、仲間と合流した彼女は、そのままちょっとしたホームパーティーに突入。ひとしきりバーベキューを満喫したのち、手持無沙汰となったジルたちは、興味本位で拾いもののウィジャ盤を試してみることに。
が、実はそのウィジャ盤には、恐るべき人食いサメの精霊が封じ込められていた。ジルたちのお遊びをきっかけに、現世に解き放たれることとなった人食いサメは、さっそく暴走を開始。宙を漂い、神出鬼没に現れては人を襲う幽霊サメと化し、ジルの友人らを食い殺していく。ジルはこの手の超常現象に詳しい父アンソニーの助力を得て、幽霊サメ<ウィジャ・シャーク>に挑むのだが……。
はっきり言って、この1作目はマトモに楽しむには厳しい仕上がり。ド初っ端からして登場人物がダラダラと道を歩く映像や、黙々と水辺で遊ぶ映像などが数分単位で垂れ流され続ける。その上、話はなかなか本題に進まず、最初のサメの出番までがやたら遠い。そんな水増しシーンが続く中、肝心のサメによる襲撃シーンはもちろん低クオリティ。その辺の手持ちカメラを雑に回したかのようなブレッブレのサメの主観視点と、半透明のサメがスーっと画面を横切るシーンを交えて行われる恐怖のボンクラパニック演出は褒められたものではない。
同じく「幽霊サメ」をテーマに据えた低予算サメ映画の先駆者『ゴースト・シャーク』(2014年)が、幽霊サメの見せ方・活躍のさせ方においては優れた独創性を発揮しているだけに、あとからジャンル被りで出た本作のイイ加減さがなおのこと際立ってしまった格好だ。
それでも、最終盤から始まる<ジルの父親VSウィジャ・シャーク>のシーンは、それなりに笑えるものだ。謎のエネルギー弾で攻撃するサメや、突然<ミスティック・シールド>なる技で応戦するジルの父親の姿は必見。というより、これ以外に見所らしい見所はない。
副題には「大戦」なんてスケールの大きな言葉がくっついているが、実際には最後の最後以外こじんまりとしたスケールで送るインディー系パニック・ホラー映画である。