悪役モブにしか見えないソーが放つ愛嬌
ソー役のマイロム・キンガリーは『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)などで屈強系モブを演じてきた人で、観客が瞬時に悪役判定できるタイプの風貌。戦闘モード時に表れる目もとメイクのせいでロード・ウォリアーズにしか見えないところなどに愛嬌を感じさせる、ぜひ顔を覚えておきたいガチムチ系アクション俳優だ。
そしてロキを演じるダニエル・オライリーはサスペンス~アクションからロマコメまで幅広く活躍しているが、ベースが絶妙にイケ気味のためワイルド系よりも嫌味系が似合ってしまう損な人。なおオーディンを演じるのは『マッドマックス2』のウェズ役で知られるヴァーノン・ウェルズで、本作の省エネ豪華キャスト枠にあたる。
アサイラムのお約束とアメコミ映画からのごっつぁんポイント
M◯U版と同じくムジョルニアをブンブン振り回したり学者チームの協力を仰いだりするソー、手際は悪くないのに不条理展開のおかげで報われないロキ、会話シーンが冗長な割にあっさり見つかる重要アイテム、思いのほか犬っぽくてかわいいフェンリル(潔い駄CGっぷり)、ものの数秒で都市が壊滅(したことに)する軽さ等々、低予算ならではのウィークポイントは多々あるものの、それがサクサクとした見やすさに繋がっているのも興味深い。
終始ダラリとした展開でカット割りもあって無いようなものだが、おかげで“何をやっているのかわからない”みたいなチャカチャカしたアクションにはなっていないので、そこは結果オーライだろう。都内の撮影スタジオに毛が生えた程度のアスガルドとか、ユーザー判定のユルいムジョルニアとか、結局フェンリルは何だったんだとか、疑問は残るものの言うほど気にはならないところが本作の最大の魅力と言えるかもしれない。
『ゴッド・オブ・サンダー ラグナロクの戦い』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年1月放送
『ゴッド・オブ・サンダー ラグナロクの戦い』
神々の世界アスガルド。囚われていたロキが牢を脱獄した。ロキは行く手を阻むオーディンを倒し、地球へと向かう。彼の目的は魔狼フェンリルを目覚めさせること。その力で“ラグナロク”を起こして世界を支配するのだ。オーディンの遺志を継いだ雷神ソーは、ロキを追って地球に降り立つ。
監督:ノア・ルーク
出演:マイロム・キンガリー ダニエル・オライリー ヴァーノン・ウェルズ
制作年: | 2022 |
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CS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年1月放送