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欲に溺れた「ブラックフライデー暴動」が血の惨劇を呼ぶ!イーライ・ロスの激痛スプラッター『サンクスギビング』見どころ究極解説【後編】

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ライター:#ギンティ小林
欲に溺れた「ブラックフライデー暴動」が血の惨劇を呼ぶ!イーライ・ロスの激痛スプラッター『サンクスギビング』見どころ究極解説【後編】
『サンクスギビング』
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惨劇の始まりを告げる「ブラックフライデー暴動」

👉 伝説のフェイク予告から16年、殺人感謝祭ついに開幕!『サンクスギビング』誕生秘話から名匠ボブ・クラークの影響まで徹底解説【前編】

これまでイーライ・ロスが監督した『キャビン・フィーバー』(2002年)や『ホステル』(2005年)、『グリーン・インフェルノ』(2013年)などのホラー映画は、映画が始まってもなかなか人が死なず、アイドリングが長かった。それでいて、観客を飽きさせずグイグイと物語に引っ張っていくのがロス作品の魅力でもある。

しかし、最新作『サンクスギビング』は違う。映画の超前半にゴア描写満載の残酷蘇民祭が繰り広げられる。記事前編でも触れた、ブラックフライデーに押し寄せた何百人もの客が暴徒と化すシーンだ。

『サンクスギビング』

劇中、ブラックフライデーのプレゼントとして大型量販店が先着100名に用意したワッフルメーカー欲しさに、何百人もの客が深夜0時の開店前から店を囲みはじめる。しかし、大型量販店オーナーの娘であるジェシカ(ネル・ヴェルラーク)の友人たちが、彼女のコネを使って開店前の店に入り、店外で今か今かと眼を血走らせながら開店を待つ群衆を挑発したことから暴動が勃発!

『サンクスギビング』

『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)のダッシュしてくるゾンビ集団や、『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)の昆虫型宇宙生物バグズの大群の如き暴徒と化した客たちは、店のガラスを破壊して次々と乱入! その結果、ガラスの破片で血まみれになる方、雲霞の如く押し寄せてくる暴徒の下敷きになって人間カーペットになる方、さらにはカオスと化した店内のあちこちで死人が続出する大惨事に発展。しかも、その死に様が、ロス作品ならではの眼を背けたくなるような人体損傷サービスが大量トッピングされた仕上がり……。このツカミだけで鑑賞料金の元は充分取れる!

『サンクスギビング』

ロスは、この『ファイナル・デスティネーション』シリーズ(2000年~)に負けない大惨事の連続コンボを描くために、CGに頼らず600人のエキストラを集めて暴動シーンを演出しただけでなく、人体破壊描写も特殊メイクだけでやり遂げている。この生身の肉体と特殊メイクが織りなす残虐なハーモニーは是非、スクリーンで観て震えあがる、もしくは(ロス監督作のホラー映画の楽しみ方のひとつでもある)爆笑してほしい。

“映える”殺害写真(犠牲者予告ハッシュタグ付き)をSNSに投稿!?

ブラックフライデーの悲劇から1年が経ち、ふたたび感謝祭の季節が訪れようとしているマサチューセッツ州プリマスで、連続殺人事件が起きる。その殺され方はいずれも、人体真っぷたつ、生首切断といった残虐きわまりないもので、被害者は皆、前年のブラックフライデーの事故に関係する者だった……。

『サンクスギビング』

そして犯人は殺人を犯すたびに、持ち去った生首や死体の一部を、感謝祭ディナーのテーブルに盛りつけた画像をインスタにアップ。しかもインスタ映えする感じに。当然、バズった……。しかも、その投稿には、これから殺す者たちの名前がハッシュタグと共に記されていた。その中には大型量販店オーナーや、その娘ジェシカ、そして彼女の友人たちの名もあった……。

『サンクスギビング』

「僕たちはホラー映画の新しい言語を作らなきゃいけない」とロスが語るように、本作は殺人鬼がインスタ投稿するだけでなく、殺人を世界中にライブ配信するなどSNSを巧みに取り入れた、新しい時代のスラッシャー映画になっている。

それだけではない。彼はレザーフェイス、マイケル・マイヤーズ、ジェイソン、フレディといったレジェンド殺人鬼に匹敵する、新たな殺人鬼を生み出すことにも挑戦した。

『サンクスギビング』

次ページ:新たな殺人アイコン「ジョン・カーヴァー」誕生秘話!
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『サンクスギビング』

「感謝祭(=サンクスギビング)」発祥の地、マサチューセッツ州プリマス。1年に1度の祝祭に沸き立つ人々だったが、突如、ダイナーで働く女性が何者かに惨殺される事件が起こる。

その後も一人、また一人と消えてゆく住民たち。彼らは皆、調理器具を凶器に、感謝祭の食卓に並ぶご馳走に模した残忍なやり口で殺害されていた。

街中が恐怖のどん底に突き落とされるなか、地元の高校の仲良しグループのジェシカたちは、ジョン・カーヴァーを名乗る謎のインスタグラムの投稿にタグ付けされたことに気づく。

そこには豪華な食卓が用意され、自分たちの名札が意味深に配されていた……。

監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス ジェフ・レンデル

出演:パトリック・デンプシー アディソン・レイ
   マイロ・マンハイム ジーナ・ガーション

制作年: 2023