「ウェス・アンダーソンの映画作りのスピリットに魅せられた」
―俳優デビューしてすぐにティーン・アイドルとして人気を得ましたが、その後コッポラ監督との出会いが転機になりましたね。『ランブルフィッシュ』を撮っているときは、そういった予感はありましたか。
いや、撮っているときはただただ興奮していた。フランシス自身とても興奮していたし、すべてが早く進んだ。『アウトサイダー』を撮っているときに、彼から「次にこういう企画があるんだけどやらないか」と言われてね。撮影中、ミッキー・ロークが遊びに来て、一緒に出歩いたりして兄貴のような存在になったよ。
ほとんどがモノクロの映画ということもエキサイティングだったし、自分自身成長過程にあったから、熱に浮かされているような感じだったね。でも何か新鮮でユニークなものを作っているという自負はあった。フランシスは映画作りのマスターだ。いまの若い人たちがこの映画を発見して面白かったと言ってくれるのは、純粋に嬉しい。映画にとって第二の人生があるのはとてもいいことだ。
―『アステロイド・シティ』はどんな経緯で出演することになったのですか。
ウェスはもともと友人で、彼から「こういう役があるんだけど興味があるか?」と訊かれて。彼のようなユニークな映画作家から誘われたら、断るわけがないだろう(笑)。現場はとても楽しかったよ。彼の映画作りのスピリットに魅せられた。
🛸Character
— 映画『アステロイド・シティ』公式 (@asteroidcity_jp) August 10, 2023
機械工
by #マット・ディロン
オーギーが故障した車を預けた
“アステロイド・シティ”に住む機械工
“アステロイド・デイ”の式典では
花火職人としても活躍する器用な男🎆
🏜『#アステロイド・シティ』9/1(金)公開🏜 pic.twitter.com/Pf51LZ4RbO
―出来上がった映画を観て、驚かされたところはありましたか。
もちろん脚本は読んでいたけれど、他のシーンはまったく観ていなかったから、初めて観たときは驚いた。彼が創造したセットの壮大さが信じられなかった。冒頭で列車が走っているところとか、あんなスケールの架空の街を作りあげてしまうところが、すごくウェスらしい。
「マーロン・ブランドを演じることほど魅力的なことはない」
―次回作では、ご自身が敬愛するマーロン・ブランドを演じることが決まっているそうですね。
『ラスト・タンゴ・イン・パリ』でブランドと共演したマリア・シュナイダーの自伝をもとにした、『Maria(原題)』という作品だ。彼女の視点から描かれたものだけど、脚本がとてもよく書けていると思った。ブランドは自分にとって、この仕事を始めた頃からずっと尊敬の対象だったし、親交もあった。
彼の映画にすごく影響を受けてきた。彼はとても勇気のある俳優だ。本作はマリアについての映画でブランドの伝記ではないけれど、こんな機会があったらやらないわけにはいかないよ。
.@FredOL69007 .@tbarnaud dans le Biopic sur l'actrice #MariaSchneider ce sera l'actrice Anamaria Vartolomei qui jouera le rôle titre et Matt Dillon dans le rôle de Marlon Brando , le film sera réalisé par Jessica Palud un oeil féminin sera pas de trop ! pic.twitter.com/MmN9jcxql7
— Merlin Philippe (@merlinpapin3) May 24, 2023
―自分にとって偉大な存在を演じることに恐れはありませんでしたか。
もちろんあるけれど、だからこそやるんだ。ブランドだったらこういう場合、引き受けるだろう。僕は俳優で演じるのが仕事だし、彼を演じることほど魅力的なことはない。チャレンジは大好きだ。彼はフランス語も話したから、自分はフランス語も勉強しなくちゃならなかったけれど、すべてがとても刺激的だった。結果がどうなるかはわからないが、自分にとって迷うことはなかったよ。
The tumultuous events surrounding the making of ‘Last Tango in Paris,’ directed by Bernardo Bertolucci and starring Marlon Brando and Maria Schneider, will be adapted into a television series by CBS.
— Film Updates (@FilmUpdates) November 29, 2021
(https://t.co/c8Cw3roHUi) pic.twitter.com/bOvFGBU0lJ
―最近はラース・フォン・トリアーやフェルナンド・トルエバ監督(『Haunted Heart(原題)』)など、ヨーロッパ映画への出演が続いていますが、ヨーロッパ映画に興味が向いていらっしゃるのでしょうか。
僕は自分にどんな境界も、もうけないようにしている。自分自身、世界のいろいろな映画を観て育ってきたし、とくにそれが優れた監督の作品なら、国籍にかかわらず出たいと思っているよ。
取材・文:佐藤久理子