世界初! 続編の劇場公開も決定
バーカーは元の脚本ではセノバイトを「悪魔」としていたが、制作中に彼らの立ち位置を「相手にとって天使にも悪魔にもなる存在」という扱いに変化させていく。この解釈をさらに広げたのが続編『ヘルレイザー2』である。
正体不明であった魔道士たちに、人間が「地獄」と呼ぶ監獄的異次元迷宮、そこでの看守、獄卒という役割を与え、世界観を拡大。一軒家を舞台としたホラーだった『1』を、大エピックダークファンタジーホラーへと進化させた。『1』とキャストは共通し、直接の続編としてストーリーは続くので、『1』と『2』セットで観るのもオススメである。なおバーカーは原作等で引き続き関わっている。
ビデオカメラや様々な現世の素材と融合した「仮面ライダー」の怪人的な魔道士が続々登場する『ヘルレイザー3』も、また独特の魅力がある。『1』と『2』は日本では「サイバーパンク・ホラー」として売り出され、「なぜ?」と思ったものだが、今思うと『3』にこそ、その要素があった気がする。これらの続編『2』~『4』は、2024年1月12日(金)より劇場公開される。
『ヘル・レイザー』が日本を含む世界に与えた影響
『ヘル・レイザー』シリーズは、2005年の『ヘルレイザー/ヘルワールド』(未公開)まで計8作のほとんどでブラッドレイがピンヘッドを演じた。長らくリブートされることなく続編が続いたことが、このシリーズの持つ世界観の強さを物語っている。
本作の影響はこれだけにとどまらない。地獄が開いて魔道士たちが現れるあたりは、日本のマンガ「ベルセルク」の魔人集団ゴッド・ハンドが地上に降臨する有名なシーン。あそこはモロに『ヘル・レイザー』風味だろう。このように多くの作品内の魔界召喚系のネタ元になっているはずだ。
また、オンライン対戦ホラー「Dead by Daylight」に貞子やチャッキーなどと共にピンヘッドもゲストキャラとして参戦するなど、これからもホラーアイコンとして活躍することだろう。
残念なことにクライヴ・バーカーの著作は、彼と並んで言及されるモダンホラーの帝王スティーヴン・キングと比べて、あまりにも入手困難である。これは非常にもったいないことだ。特に短編集「血の本」は『キャンディマン』(1992年)『ミッドナイト・ミートトレイン』(2008年)など、多くのホラー映画の原作となった傑作短編を収録している名作であり、『ヘル・レイザー』リバイバル公開きっかけで何とか再販を強く希望したい。パーカー再評価の流れは間違いなくあるはずである。
https://twitter.com/SWinstonSchool/status/1196371956133744640
文:多田遠志
『ヘル・レイザー〈4K〉』は2023年12月8日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
『ヘルレイザー2:ヘルバウンド』『ヘルレイザー3:ヘル・オン・アース』『ヘルレイザー4:ブラッドライン』は2024年1月12日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にて日替わり上映、ほか順次公開
【『ヘル・レイザー』ポップアップショップ】
会期:12/8(金)~2024年1/8(月)
会場:OPEN STUDIO〈FREAK’S STORE 渋谷併設ギャラリー〉
(東京都渋谷区神南1-13-1)
営業時間:【平日】12:00~20:00【土日祝】12:00~20:30
『ヘル・レイザー〈4K〉』
とある屋敷に引っ越して来た夫、ラリーと妻のジュリア。ある日、屋根裏でラリーが怪我をしたことによりおどろおどろしい姿の男が出現する。男はラリーの兄のフランク。実はフランクは極限の快楽をもたらすという謎のパズル・ボックスを手に入れ、そのパズルを解いたことで魔道士たちによって八つ裂きにされ肉体を失っていたが、ラリーが流した血によって覚醒したのだった。フランクはかつて愛人だったジュリアに生贄の血肉を捧げて復活しようと目論むが、ラリーの先妻の娘カースティは、継母の怪しい行動に勘付いていた……。
監督・原作・脚本:クライヴ・バーカー
出演:アシュレイ・ローレンス アンドリュー・ロビンソン クレア・ヒギンズ ダグ・ブラッドレイ
制作年: | 1987 |
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2023年12月8日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
『ヘルレイザー2:ヘルバウンド』『ヘルレイザー3:ヘル・オン・アース』『ヘルレイザー4:ブラッドライン』
2024年1月12日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にて日替わり上映、ほか順次公開