『呪詛』、『女神の継承』、『呪呪呪』、『バチカンのエクソシスト』、『死霊館』や『インシディアス』シリーズに『ブギーマン』『悪魔の奴隷』……年末には『エクソシスト 信じる者』が控えている。もはや最近のホラー映画はオカルト祭り。今は、まさに70年代以来のオカルトブームの真っ只中といえるのではないか? ほぼ毎月、オカルトホラーが公開されているが、10月に公開される2作品は飛び抜けてぶっ飛んでいる。
日韓合作! 暴走都市伝説ホラー『オクス駅お化け』
ウェブトゥーンを基に日韓合作となった『オクス駅お化け』は、単純な合作シナジーにとどまらない、暴走都市伝説ホラーとなっている。
バズりが命のウェブニュース記者ナヨンが、地下鉄オクス駅で発生した人身事故を追いかけていくと、逃れることが困難な呪いに取り込まれている、というストーリー。次々と怪死を遂げる関係者、身体に刻まれる爪痕、謎の子供の影………。
脚本は『女優霊』、『リング』で新世代Jホラーの礎を築いた高橋洋、さらに脚本協力として、みんな大好き『コワすぎ』シリーズの白石晃士。そして韓国版『呪怨』の声も聞かれる『アパートメント』のイ・ソヨンである。
アジアン・オカルトホラーの鬼がガン首をそろえて書き上げた脚本が怖くないわけがない。
オクス駅に隠された“過去の因縁”とは?
本作は、とにかく「後がない」人々を追いかける。例えば、主人公ナヨンは取材に失敗、賠償金を会社に肩代わりしてもらう代わりにバズり記事を3つ書かなければいけないし、とある呪いの秘密を暴かないと命すら危うい状況。他の登場人物も何かしらに追いかけられている状況だ。
Jホラーにありがちなジャンプスケアの多用は避け、オクス駅に隠されたドロっとした過去の因縁、人間の憎悪、人間の浅ましさをジメジメとしながらも、隙間なく詰め込んだ80分間。拳を握りっぱなしになること間違いなしだ。
人々が明らかに成長していく様がしっかりと描かれているのもオカルトホラーとしては珍しい。“呪い”によって徹底的に打ちひしがれていく様が“おもしろい”のがアジアン・オカルトホラーの味の一つだが、『オクス駅~』は呪いに負けじと立ち向かう。
これは3人の脚本家が、それぞれの持ち味を生かした結果といえるだろう。1回目は物語を味わうことに集中し、2回目は是非「誰がどの部分を設定したのか?」と考えるのも一興だ。