日本のスタント陣も大活躍! の名アクション・シーン
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の見所は、まだまだあります! というか上映時間169分の80%がアクション・シーンだった気がしてならない本作には、キアヌVSドニー・イェン、ドニーVS真田広之、真田VSマルコ・サロール、キアヌVSスコット・アドキンスなどなど全編にわたり、アクション映画ファンなら「まさか生きている間に実現するとは……」と震えてしまう奇跡のような名カードが満載! つまり天下一武道大会のような映画でもあるわけです。
ここからは、本作の名アクション・シーンを紹介。まずは映画の序盤に展開される大阪・コンチネンタルホテルでの大戦闘シーン。ここではキアヌ、ドニー・イェン、真田広之、彼の娘を演じるリナ・サワヤマ、そしてマルコ・サロールというリッチきわまりない面子が参戦。しかも、このシーンの武術指導を担当したのは、『るろうに剣心 最終章 The Final』 (2021年)やドニー主演作『レイジング・ファイア』(2021年)でアクション・コーディネーターを務めた川本耕史。
この大戦闘シーンではキアヌによる、ブルース・リーとはひと味もふた味も違うアグレッシブかつバイオレントなヌンチャクさばき、ドニーや真田による達人級のガン・フー・ファイト、そしてリナ・サワヤマのスタントダブルとして参加した伊澤彩織(『ベイビーわるきゅーれ』[2021年]主演)とマルコ・サロールの1対1の対決シーンまであるので、鑑賞している間、映画の序盤であるにも関わらず「これがクライマックスなのでは?」と思ってしまうほどの強烈なシーンとなっている。
もちろん今回も爆走“カー・フー”シーンはあります! パリ市街を1971年式のプリムス・バラクーダに乗って爆走するキアヌが、ドリフトをしながらの銃撃戦を披露するだけでなく、プリムスを運転しながら路上に落ちている拳銃を拾う、という観ているだけで指先の肉が削げた気がするスリリングなカースタントに挑戦している。
その後に繰り広げられる、ジョンと殺し屋軍団が、猛スピードで一般車が走っていくパリの凱旋門前の路上で戦うシーンも圧巻! このシーンのクレイジーさを日本に置き換えて説明させていただくと、車がビュンビュン走り去っていく首都高の路上で、何十人もの人々が走ってくる車をアタフタと避けながら銃撃&格闘戦を展開している、というあまりに常軌を逸した状況なんです。
当然、うっかり車に轢かれてしまい、ボウリングのピンのように景気よく弾き飛ばされていく刺客が続出。そんな狂気の沙汰としか思えないアクション・シーンを観ているうちに、こちらの脳がバグってしまい、いつの間にか爆笑しだすことを保証させていただきます!
膨れ上がった期待をビタイチ裏切らない狂気的アクションの数々
『ジョン・ウィック』シリーズといえば忘れてはいけないのが銃撃戦。今回、銃撃戦の中でも個人的に印象深かったのが、キアヌが映画初登場のセミオートショットガンGEN-12を駆使して展開する廃屋内での大量殺戮シーン。この銃撃戦をチャド監督は、2分以上にわたる長回し&登場人物の頭上から撮影している。これはチャド監督お気に入りのトップダウン型シューティングゲーム「THE HONG KONG MASSACRE」の画面からインスパイアされたもの。しかも、このときジョン・ウィックが持つショットガンに使用される弾薬は、『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年)でスタローンも使用していた、マグネシウムが混入されたドラゴンブレス弾。
アクション映画史的に「最もショットガンのマズルフラッシュが凄まじかった映画」といえば、おそらく『男たちの挽歌 II』(1987年)でチョウ・ユンファが使用したフランキ・スパス12の銃火だろう。しかし、本作でジョン・ウィックが使用するドラゴンブレス弾は、『男たちの挽歌 II』を凌ぐ銃火、というよりも火炎放射器、もしくは隅田川花火大会級の特大火花を吹き出すので、ショットガン・バイオレンス・ファンは期待に胸をパンパンにしていて問題なし!
さらに、パリのサクレ・クール寺院にある222段の階段では、ジョン・ウィックVS主席連合が放った殺し屋軍団との死闘が展開。階下から目的地に向かおうとするジョンに対して、階上から殺し屋たちが次々と襲い掛かってきては返り討ちに遭い、雪崩のように階段から転げ落ちていく……という完全にどうかしているこのシーンでは、映画史上最長の階段落ちを観ることができる。ちなみに、その階段落ちにトライしたのはフランス人スタントマン。
このように本作は、すべてのアクションが前人未踏かつクライマックス級。すでに映画を観た方の中には、あまりに自分たちの常識をフライングしたハードコアなアクションを大量に観すぎてしまったために、「え! そんな凄いシーン、あったっけ!? おぼえてないな……」と記憶が飛んでしまっている者もいるぐらい。そんなわけで、本作は一回きりの鑑賞ではなく、何度も観ることをオススメします! と書かなければいけない状態の本作なのに、チャド監督的にはさらに「ハワイの海中で展開する60人の殺し屋たちとの戦い」、「雪の中のスノーモービル・チェイス」も盛り込みたかったという……。この人のアクション映画に対する情熱は、常人の理解を超えすぎていて、本当に頭が下がります。
最後に大事なアドバイスを。本作のクライマックスは、ウォルター・ヒル監督のバイオレンス映画『ウォリアーズ』(1979年)にインスパイアされたシーンになっているので、未見の方は本作鑑賞前に観ておくと、本作をさらに楽しむことができます!
とにかく、シリーズ最新作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は全編にわたり奇跡のようなベストバウト、これまで観たことがないハードコアきわまりないアクション・シーンの連続! つまり、奇跡が集まって、大名行列をしているような映画なので、心して観戦してください!
文:ギンティ小林
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は2023年9月22日(金)より全国公開
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜めながら、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。組織内での勢力拡大を狙う若き高官、グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れた……。
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:シェイ・ハッテン マイケル・フィンチ
出演:キアヌ・リーブス
ドニー・イェン 真田広之
ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン
シャミア・アンダーソン ランス・レディック リナ・サワヤマ
スコット・アドキンス イアン・マクシェーン
制作年: | 2023 |
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2023年9月22日(金)より全国公開
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キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋に扮した大ヒットアクションの第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を映画ライターのギンティ小林が徹底解説!川本耕史、伊澤彩織のインタビューなど盛りだくさんでお届け!
MC:小林麗菜 ゲスト解説:ギンティ小林
出演:川本耕史、伊澤彩織