増え続ける「◯◯フー」&残酷丁寧キル・シーン『ジョン・ウィック:パラベラム』
続くシリーズ3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年)の物語は、前作『チャプター2』の直後からスタートする。つまり、ジョン・ウィックはハードな死闘を繰り広げたばかりで、身も心もボロボロの状態。それなのに映画開始早々にはじまる戦闘シーンで、キアヌはまたしても、どう考えても長期間にわたって血が滲むような特訓をしましたよね? 明らかに前作よりも強くなっていますよね? と問い詰めたくなるぐらいにレベルアップした戦闘スキルを披露する。
実際、キアヌは今回も撮影の4カ月前から特訓をスタート。前作に引き続き射撃王タラン・バトラーのもとで射撃訓練をした結果、ショットガン(ベネリ M2 スーペル90)の弾を装填するシーンでは、片手で掴んだ4発のショットシェルを2回にわけてクイックに装填するクアッドロードというテクニックを披露。このテクを修得するための練習中、キアヌは親指の皮がむけて大変だったという。ちなみに本作でジョンがメインウェポンとして使うハンドガン、STI 2011コンバットマスターもタラン・バトラーが推薦した銃である。
さらに本作ではガン・フー以外に本を凶器にする“本フー”、乗馬しながら戦う“馬フー”、バイクに乗って戦う“バイ・フー”、ナイフを駆使する“ナイ・フー”、ベルトを武器にした“ベルト・フー”というような、新たな戦闘スキルをアピール。そのためにキアヌは射撃、柔術といった従来のメニューだけでなく乗馬、バイクの運転などの訓練も行った。
キアヌに休まる時はないが、その頑張りによって、本作はシリーズ中で最も敵の一人々々とちゃんと向き合って、丁寧かつ残酷に殺す作品に仕上がっている。
敵の一人々々を真心を込めて殺し続ける殺人マラソンと化した本作のクライマックスでは、『クライング・フリーマン』(1996年)、『DRIVE 破壊王』(1997年)、『ジェヴォーダンの獣』(2001年)に主演した格闘スター、マーク・ダカスコス、『ザ・レイド GOKUDO』(2014年)に出演したインドネシアの武術シラットのマスター、ヤヤン・ルヒアンとセセプ・アリフ・ラーマンとの格闘戦を展開。
ここでキアヌは、彼が大好きな映画『フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳』(1994年)でジェット・リーが披露したような、ベルトを武器にするベルト・フーを見せてくれる。
このようにシリーズ3作目は、銃撃戦映画および格闘アクション的にも「もうこれ以上のクオリティのアクション映画は作ることは不可能だろう」と思わせるほどの、アクション映画史に殿堂入りする作品となった。
そう思ったが、その認識は大間違いであった……。シリーズ4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は、3作目が打ち出した限界値を軽々と超えるハードコアきわまりないアクション映画となっていたのだ。
文:ギンティ小林
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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は2023年9月22日(金)より全国公開
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜めながら、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。組織内での勢力拡大を狙う若き高官、グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れた……。
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:シェイ・ハッテン マイケル・フィンチ
出演:キアヌ・リーブス
ドニー・イェン 真田広之
ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン
シャミア・アンダーソン ランス・レディック リナ・サワヤマ
スコット・アドキンス イアン・マクシェーン
制作年: | 2023 |
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2023年9月22日(金)より全国公開
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キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋に扮した大ヒットアクションの第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を映画ライターのギンティ小林が徹底解説!川本耕史、伊澤彩織のインタビューなど盛りだくさんでお届け!
MC:小林麗菜 ゲスト解説:ギンティ小林
出演:川本耕史、伊澤彩織