ジャームッシュのホラー映画愛が炸裂!
ジャームッシュとゾンビ。意外な取り合わせだなぁと思いつつ、いやいや、ジャームッシュはヴァンパイア映画も作っているではないかと思い出す。会見でも、ジャームッシュはホラー愛を語るのだった。
「子供の頃から好きだったんだよね、モンスター・ホラー。ユニバーサル・ホラーのファンだったんだ。特にドラキュラが好きだった。その後でポストモダンのホラーも見るようになって、(ジョージ・A・)ロメロとか、(ダリオ・)アルジェントとか、コンテンポラリー・ホラーとして(ジョン・)カーペンターとか観るようになった。それから、ゾンビ物にもハマるようになったんだな。」
ジャームッシュは続けて、ゾンビ映画のパイオニアのジョージ・A・ロメロについて熱い想いを語る。
「ロメロのゾンビ映画がすごかったのは、それまでモンスターというものは社会の外からやってくるものだったのを、それは社会の中にいるしかも一種の被害者としてモンスターになってしまうという考えを持ち込んだことだね。今回は、ロメロに沢山のレファレンスを貰ったよ。社会のメタファーであることと同時に神話でもあるというところなどをね。ただし、この作品はホラー・コメディとして作ったので、ロメロのようにブラッド・フィルム、スプラッターの血まみれ表現にならないようにはした。バランスが大事なんだ。それで、ゾンビをやっつけると血ではなくて灰が出るようにした。ゾンビは葬られて「Ashe to Ashe」になっているはずなんだから(笑)」
とぼけた、そしてからりとしたユーモアをまとったゾンビ映画。小さな町の小さな警察署の3人の警察官が、ゾンビだらけになっていく町で、サァ、どうする!? それにしても、彼らはなぜ「ソレ」がゾンビだとわかるのか。そんな「ホラー映画のお約束」を逆手にとって笑わせてしまう、「メタ・ゾンビ」になっているあたりに観客は爆笑するだろう。
2020年春にTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開
文・まつかわゆま
『The Dead Don’t Die(原題)』
アメリカの田舎町センターヴィル。3人だけの警察署で働くロバートソン保安官とピーターソン保安官代理は、いつもの他愛のない住人のトラブルの対応に追われていたが、突如、街にゾンビが出現し、思わぬ事態に巻き込まれていく…。
制作年: | 2019 |
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カンヌ映画祭スペシャル2019
<日本オフィシャル・ブロードキャスター>CS映画専門チャンネル ムービープラスにて
2019年5月25日(土)カンヌ映画祭授賞式 日本独占生中継ほか、受賞作&関連作計6作品放送