窪田「みんなが映像の中で爆発しています!日本映画はこうあるべき」
現在ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」に出演中の窪田は、撮影の合間をぬって、この日の朝、カンヌに到着したばかり。それでも長旅の疲れも見せず、「三池監督に映画の聖地カンヌに連れてきていただいて、感無量です」と高揚した様子で挨拶。すると三池監督が「カンヌ、無料?」と突っ込むなど、和気あいあいとした雰囲気で会見は始まった。
窪田は10年前に三池監督が総監督を務めたTVシリーズ「ケータイ捜査官7」(2008年~2009年)の主役に抜擢され、さらに映画『十三人の刺客』(2010年)でもタッグを組んだが、それ以来の顔合わせとなる。三池監督は「今や国民的大スターになった窪田さんがこの台本を読んで絶対にやると言ってくれたのは、良い奴だなと思いました。『ケータイ捜査官7』の主役を探していてオーディションで出会ったんですが、その後すぐに頭角を現した。そしてジェレミーが製作した『十三人の刺客』の舞台挨拶で、役所広司さんら大物俳優を前にして『すごい先輩たちを踏み台にして頑張ります』と言った歴史があるので(笑)、参加してくれてよかった」と笑わせつつも、窪田の実力を称えた。
ボクサーのレオを演じた窪田は、「19歳で三池さんとお会いして、その時、『10年後にあいつを選んだ理由が分かる』と言っていただいたのが、自分の原点になっていて。そして『初恋』で、ボクサーというすごく挑戦したかった役で、カンヌに来られた。撮影はすごく幸せな時間でした。日本のドラマではフラストレーションもたまるけれど、それを爆発させてもらった。みんなが映像の中で爆発しています!日本映画はこうであるべきと思いましたし、役者としてこうありたいと思いました」と饒舌に語った。
ヒロインのモニカ役に3,000人から選ばれた小西桜子は「監督に当たり前ですが『お芝居は下手だよ』と最初に言われたのですが、皆さん素敵な方たちで、選んでいただいて光栄でした。技術はないですが、私らしさを重視して演出していただきました」と緊張しつつ笑顔を見せた。
恩師・三池監督への想いを語る
またこの場で、内野聖陽、大森南朋、ベッキー、染谷将太ら共演者も発表された。10年ぶりに再会した三池監督の変化について「昔に比べると棘がなくなった。でも内から光る色は濃くなったのに、先端が丸くなったという印象が生意気ながらあります」と窪田が答えると、三池監督は「それは3年前に腰を痛めて、クラッチのある車に乗れなくなってしまったから。踏むと痛くて、そこから柔らかい感じが出てきちゃった」とまたもや笑わせた。
さらに窪田は「三池さんがカンヌに行ったという記事を見るたびに自分も行きたいなと思いましたし、いつになったら一緒に仕事を出来るのかなと燻っていたところもありました。でも離れたところで自分も頑張っていて、そうして再会できたのは大きいです。10年前の出会いは僕の原点。恩師としては変わらないです」と、改めて監督への敬愛の念を語った。
窪田はこの後すぐに東京に戻るため、17日の公式上映には参加できないことをとても残念がっていたが、会場周辺を散策し、ひとときのカンヌを満喫。今年のカンヌ映画祭は日本映画が少なく、長編映画はこの作品のみ。海外で高い人気を誇る三池作品だけに、上映の盛り上がりにも期待だ。
『初恋』は2020年全国公開
文・石津文子
カンヌ映画祭スペシャル2019
<日本オフィシャル・ブロードキャスター>CS映画専門チャンネル ムービープラスにて
2019年5月25日(土)カンヌ映画祭授賞式 日本独占生中継ほか、受賞作&関連作計6作品放送