福士蒼汰＝ユウト視点で観れば楽しみ倍増！『THE HEAD』Season２「ファンカム」鑑賞は完走勢にもオススメ

ユウトのキャラクター像

若手の日本人エンジニアという設定だけあって、PCモニターの壁紙は美少女系の萌え絵で、ベルトスクロール型のゲームに興じているシーンもある。このあたりは制作陣の考える“日本人あるある”が反映されているのだろうが、スナック菓子をパクつきながらエナジードリンクを飲みキーボードを叩く姿は、世界的な“テクノロジー強者”のステレオタイプだろう。

しかし、ユウトは貨物船に偽装した研究基地に“秘密裏に”集められたスペシャリストの一人だけあり、金銭への執着やギラリとした野心を覗かせる瞬間も。とはいえ、比較的仲良しと思われる科学者グロリアと行動を共にするときなどは、オタク気味な青年らしい純朴ぶりを披露してくれる。また第1話、画期的な研究成果に対し「カンパーイ」と日本語で祝杯をあげるシーンでは、日本語に興味を持ってカンパイを連呼してくれたという共演者たちとの微笑ましいやり取りが垣間見える。

秘密研究基地におけるユウトの役割

ユウトはコンピューター・エンジニアという肩書の通り、複雑・高度な研究のためのソフトウェア管理～メンテナンスなどを担っていると思われる。コンピューターを使って行うことには一通り精通しているようで、電子データの復元や固くプロテクトされたデバイスのハッキングなども彼の専門分野のようだ。また、マギーの動向を調べてほしいというアーサーの依頼によりネット掲示板を監視するシークエンスもあり、船内における”ハイテク便利屋”のようなポジションとも言えるだろう。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season２ ©Hulu Japan

殺人事件との関係性、他キャラクターとの交流

少なくとも物語前半は、ユウトと殺人事件との直接的な関連性は見いだせない。アーサーと医師マギーの因縁関係に巻き込まれてはいるものの、一連の殺人事件が彼にとって何らかの旨味があると思わせる要素も皆無。しかし先述の通り、具体的な目的か何らかの野心がなければこの秘密研究基地に合流していないわけで、研究自体に直接関与していないのであれば、他の狙いがあると見るのが自然だ。

便利屋的なポジションゆえに複数キャラクターと絡むユウトだが、中でも年齢が近そうなザックとグロリアとは一緒にいることが多い様子。アーサーの娘で海洋生物学者のレイチェルや、保安責任者のアレックとも壁はなさそうだが、無骨な機関士や甲板員らとは疎遠のようだ。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season２ ©Hulu Japan

劇中の「気になるシーン」をプレイバック

残忍な殺人行為とは無縁のように見えるユウトだが、第一の被害者コワルスキーの死を受けて、ザックとグロリア、エイミーと密かに話し込むシーンでの微妙な表情、アーサーの強引な依頼（船内では私用でのネット使用が厳禁）を引き受けた理由と、依頼以上のことに首を突っ込む積極性も怪しいといえば怪しい。まるで最初からアーサーの”協力者”であるかのような振る舞いだ。

また、水死体の発見とレイチェルの監禁がバッティングしたときに不自然な動きをしていたエイミーと共にいたのはユウトで、彼女とは後々かなり重要なやり取りをすることになる。シリーズ後半、ユウトはコワルスキーの研究の”謎”を発見することになるが、とくにエイミーとグロリアとのシーンは彼の人間性があらわになり、その命運を決定づける重要なシークエンスなので要注目だ。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season２ ©Hulu Japan

――アーサーの行方を捜しているマギーの「調査ボード」にユウトの写真が無かったことも気になりつつ、全体を通して彼に注視してみると、かなり重要な役割を担っていることが改めてよく分かる。シリーズ後半、ユウトが事件の深層に足を踏み入れていく怒涛の展開はまさに息を呑む緊迫感なので、この「ファンカム」的鑑賞は、福士ファンはもちろんシリーズ完走勢の2周目にもオススメだ。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season１・２はHuluにて全話独占配信中（全6話）

Presented by Hulu Japan