白石晃士×金子大地&醍醐虎汰朗×Hulu
金子大地と醍醐虎汰朗が主演するHuluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』が2021年11月26日(金)より一挙配信される。本作は、2036年のスラム街“裏シブヤ”を拠点に動画配信ユニット<正義マン>として活動するミツルとカケルが、笑いあり涙あり、サスペンスあり? なドタバタ劇を繰り広げるフェイクドキュメンタリー型ドラマ。共同執筆した完全オリジナル脚本をもとに監督を務めたのは、POV方式のホラー作品を数多く手掛けてきた白石晃士だ。
細かいことは気にしないミツルとカケルが“バカパワー”で視聴者の悩み相談に応え、シリアスな問題もとにかく明るくおバカに乗り越えていく……というコメディタッチの物語ながら、そのタイトル通り“未来社会への警鐘”というテーマも見え隠れする本作。現代人の理解を超えた価値観やギリギリ実現しそうなテクノロジー描写など、絶妙なさじ加減の未来世界描写にも要注目だ。
今回は、そんな『未来世紀SHIBUYA』で主人公のミツルを演じる金子大地にインタビューを敢行。恋愛ドラマから青春群像劇、ぶっ飛んだコメディ作品まで幅広く活躍する期待の若手俳優に、斬新な“動画配信×ドラマ”から得たもの、そして白石組の撮影秘話などを語ってもらった。
「未来が良くなっていたらいいなと、切に思います」
―今回、未来人を演じてみていかがでしたか?
未来に生きている若者を演じるのは難しかったです。これまで演じたことがない役柄でしたが、周りの皆さんのおかげで楽しく撮影することができました。
―醍醐虎汰朗さんとの共演も非常に清々しい印象でした。
虎汰朗くんがいてくれたおかげで、この難役を演じられました。現場ではいつも助けられていたので、本当に尊敬しています。
―宇野祥平さん演じる、裏シブヤでもひときわ個性的な“マネキンおじさん”は強烈なキャラクターでしたね。
宇野さんはすごかったですね。共演させていただくのが楽しみだったんですが、想像を超えるお芝居とリアルな反応が素晴らしかったです。
―カリスマWeTuber・キリタ役の藤森慎吾さんの印象はいかがでしたか?
藤森さんはハマり役ですよね。コテコテのお芝居でも通用するような世界観をお持ちなので、見事に“絶対に怪しい”という印象を与えていました。
―本作の舞台は2036年の渋谷で、格差がさらに拡大したディストピア世界です。もしご自身がその世界に生きていたらどうですか?
正直なところ、2036年がどうなっているか想像もできません(笑)。でも2021年現在も格差はあると思います。だからこそ、未来が良くなっていたらいいなと切に思います。
―新型コロナウイルスによって私たちの生活は大きく変化しましたが、現在の状況についてどうお考えですか?
変化についていきたいと思う反面、変わっていく寂しさもあります。この作品は未来の話ですが、便利になったりするのはいいけれど、本当に大切なものを忘れてはいけないとも思います。何もかもが“個性”という言葉で尊重されるのはどうなんだろう、とか。
「白石晃士監督にしか作れない“白石ワールド”を信じて演じました」
―本作のミツル役は難役だったということですが、特に大変だった撮影エピソードを教えてください。
これまでカメラを意識して芝居することがあまりなかったので、そこは難しかったですね。本作は全てスマートフォンで撮影しているんですが、やっぱりワンカット長回しの撮影には緊張感がありました。“新しいことをやっている”という感覚もあり、刺激的な撮影でした。
―本作は白石晃士監督作ですが、白石組に参加されていかがでしたか?
白石監督の作品は、とにかく攻めた作品が多いので楽しみでしたが、最初に台本を読んだ時はびっくりしました。これを演じられるのか!? と思いましたが、自分に近い役だけをやっても幅が広がらないので、僕も攻めていこう! と思ったんです。
―なかでも特に驚いたのは、どのような部分ですか?
自分が発したことのないような台詞の言い回しが多かったことですね。ミツルはすごく明るいキャラクターで、シーン毎にギアを上げていく作業は新鮮でした。体力は必要でしたが、この役を通じて見えてくるものがあるんじゃないかと思っていました。
―そんなミツルを演じている瞬間は、どんな感覚でしたか?
他の人とは少しツボが違うというか、大胆に演じるように意識しました。あえてチープな笑いがあったり、すごくシュールだったり、白石監督にしか作れない“白石ワールド”を信じて演じました。
―白石監督らしいホラーテイストあふれるエピソードもありますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
白石監督はとにかく楽しんで撮影していました。衣装から何から、全て白石監督のアイデアなんです。最終的に仕上がった映像を見て、まんまと白石監督の罠にはめられたなと思いました(笑)。
―いちばん強烈に印象に残っている撮影エピソードを教えて下さい。
台本36ページ分をワンシーン・ワンカットで撮影すると聞いた時はさすがに驚きました。舞台じゃん! と(笑)。うまくいけば1発OKですが、1回でも台詞を噛んだら、すぐにやり直しです。でも白石監督は笑顔で「覚えてきてね」と(笑)。最終的に何分割かにされていましたが、とても刺激的でした。
「僕が動画配信しても人気出ないだろうな、と思いながら演じました(笑)」
―ミツル役は相当カメラを意識して演技されたとのことですが、もしカメラが回っていなかったら、どんな人物だと思いますか?
内面はカケルの方がしっかり者で、ミツルが足を引っ張っています。でもミツルはキャパが広くて、客観的に周りを見ていて包容力があるので、ちょっとお兄さんなキャラクターを意識しました。ミツルもカケルも親がいない環境で育っていて、だからこそ明るく振る舞っているんです。
―役作りでいちばん意識されたことは何ですか?
とにかく純粋に明るく演じることです。バカをやるのって意外とキャパが広くないとできないことだと思うので、キャパの広さを軸のひとつとして意識しました。あとは個性が尊重される未来世界という設定で、ビジュアル的にもジェンダーレスな男子だったので、食事制限はしましたね。
―俳優としての成長や発見はありましたか?
これまでと違う一面を見せられたのではないかなと。ミツル役は僕の中で、かなり攻めた役になったと思います。
―本作は「WeTube」が重要なファクターとなっていますが、動画配信サービスにはどのようなイメージを持ちましたか?
基本的にカメラ目線で撮影するYouTuberさんたちは、自分のやりたいことを自ら発信しているので、改めてすごいなと思いました。周囲の目を気にして生きている日本人が多いなか、自分をさらけ出して闘っているなと。
―金子さんご自身は動画配信をやろうとは思いませんか?
難しいですね。もし僕が配信しても絶対に人気は出ないだろうな、と思いながら演じていました(笑)。
―もし金子さんが「正義マン」に相談するとしたら、どんな悩みでしょうか?
相談しないです(笑)。明るくなれるとは思いますが、とんでもないことになりそうなので遭遇したくないですね(笑)。
「俳優を目指したのは、オーディションでチャンスを掴んだ瞬間から」
―2021年は映画初主演作『猿楽町で会いましょう』(2019年製作)を初め、映画からテレビまで数々の作品に出演し、俳優として飛躍の年になったかと思います。やはり『おっさんずラブ』(2018年)の麻呂役が、ひとつのターニングポイントになったのでしょうか?
そうですね、麻呂役で僕を知ってくださった方は多かったと思います。素晴らしい役を演じさせていただいた作品です。
―この数年で本当に様々なキャラクターを演じられていますね。
毎回、楽しく演じています。今回のミツル役は大変でしたが(笑)。
―金子さんは「アミューズオーディションフェス2014」で芸能界入りを果たされましたが、どの時点で俳優を目指されたのでしょうか?
オーディションに合格して、チャンスを掴んだ瞬間からです。とても嬉しかったですね。
―今後、挑戦してみたい役はありますか?
まずはオファーしていただいた役を、一生懸命に演じていきたいです。
―再度ミツル役のオファーが来たら?
ミツルはもういいかもしれないです(笑)。でも白石監督の長回しは、もう一度挑戦してみたいですね。
―これから『未来世紀SHIBUYA』を観る皆さんへメッセージをお願いします。
YouTube動画のような感覚で、気軽に観ていただけたらと思います。スマホの長回しで撮られた作品はまだ多くないと思うので、新しいドラマとしてスマホで観ていただいても楽しめると思います。
取材・文:加賀谷健
撮影:落合由夏
HM:吉田太郎(W)/STY:千野潤也(UM)
シャツ:¥44,000(ユウキ ハシモト)、パンツ:¥67,100(セブン バイ セブン/共にサカス ピーアール TEL:03-6447-2762)、シューズ:¥71,500(パラブーツ/パラブーツ 青山店 TEL:03-5766-6688)
Huluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』は2021年11月26日(金)より全6話一挙独占配信
Huluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』
2036年、シブヤ。高層ビルが立ち並ぶ表の顔に対し、スラム化した裏シブヤをホームグラウンドに活動するWeTuber〈正義マン〉は、ミツルマンことミツル、カケルマンことカケル、カメラマンの田中からなる3人の動画配信ユニット。孤児として一緒に育ったミツルとカケルは、家族も学歴も金もない底辺の生活を送っていたが、人気WeTuberとなってテラガネ(大金)を手に入れるという、人生の大逆転を夢見ていた。憧れは、脳内チップを搭載済みのハイスペック&大人気カリスマWeTuber・キリタとその妹・アコだ。そんなある日、女性のマネキンを抱えた通称マネキンおじさんに遭遇する。暗号めいた謎の言葉を叫ぶ挙動不審なおじさんとの絡みを配信すると、正義マンのチャンネルの再生回数が一気に増加。これを機に視聴者から「父が失った記憶を取り戻させたい」「息子をAI恋人と別れさせたい」「恋人を変な女から守ってほしい」といった相談事が届くようになり、持ち前の“バカパワー”全開で解決に向けて全力を注ぐのだが、いつしか不可解な事件に巻き込まれていく――――。
制作年: | 2021 |
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監督: | |
出演: |
2021年11月26日(金)より全6話一挙独占配信