ヤンキーもギャルも消滅! 令和ドラマの不良像
「ヤンキーもギャルもいない……」2021年4月25日(日)スタートの新ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)に出演する“東大専科クラス”の生徒が発表された時、SNS上ではこのような声が飛び交った。
確かに、2005年に放送された『ドラゴン桜』の生徒は、男子は長髪をワックスで固め、女子は巻き髪にミニスカート。今作にも出演する長澤まさみをはじめ、山下智久、小池徹平、新垣結衣、中尾明慶、紗栄子が務めた主要キャストは、6人中4人が派手髪で、いわゆる「ヤンキー」「ギャル」と呼ばれるスタイルだった。
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しかし、今作のキャスト陣は全員が黒髪。いかにも、「勉強なんてしたくねえ!」と言いそうな前作のキャストに対し、“勉強が好きな優等生”といった雰囲気の学生たちが多い。主要キャストを務めるKing & Princeの髙橋海人や、平手友梨奈も、爽やかなヘアスタイルで制服を着崩していない。
そもそも、令和版『ドラゴン桜』の原作、三田紀房氏の『ドラゴン桜2』に出てくる学生は、ヤンキーもギャルも消滅。桜木健二(阿部寛)が全校集会で「東大に行け!」と叫んでも、前作のようにバスケットボールを投げつける生徒もいないし、それ以前に大人に刃向かおうとする生徒がいないのだ。分かりやすい“不良”がいないのが、令和らしいなと感じた。
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「桜木のノウハウを引き継いで、龍山高校が進学校になっているから……」と言ってしまえばそこまでだが、『ドラゴン桜』以外にも近年の学園ドラマに登場する“不良”は、だんだん分かりづらいものに変化していっているような気がする。“平成”から“令和”になり、舞台は“底辺高”から”進学校”へ。そして、“不良”から“優等生”にガラッと変化した学生たちを見て改めて実感した。
SNSが普及した現在の学生たちは、どう悩み戦っているのか
平成の学園ドラマに出てくる“不良”といえば、前作の『ドラゴン桜』や、『ごくせん』(2004年:日本テレビ系)など、服装も派手で教師に反抗的な目を向けて……という、いわゆる“分かりやすい”キャラクターが多かった。そして、ある意味真っ直ぐで素直だ。しかし、令和の学園ドラマでは分かりやすい不良は減少し、表面的には良い生徒に見えるのに、実はSNSでイジメをしている……といった“分かりづらい”不良が増えている。ただ髪が派手で、制服を着崩すだけが不良ではなくなってきているのだ。
例えば、2020年放送の『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)でも、表では優等生を演じているが、教師を追い詰めて壊していく様をゲーム感覚で楽しんでいる“不良”が登場した。それも、自分の手を汚すことはしない。
今作の『ドラゴン桜』の生徒陣も、いかにも聞き分けが良さそうで、桜木に「やれ」と言われたことは素直にやりそう。ただ、それではドラマが生まれないので、実は……という裏の顔が明かされていくのだろう。前作が放送された2005年には、TwitterもInstagramも、LINEだってなかった。SNSが普及した今の学生たちは、どのようなことに悩み、戦っているのだろう――そして、桜木はそんな彼らにどう語りかけるのだろうか。令和版『ドラゴン桜』の放送開始を楽しみに待ちたい。
文:菜本かな
『ドラゴン桜』は2021年4月25日(日)より放送(初回25分拡大)
『ドラゴン桜』
かつて、落ちこぼれだった龍山高校から東京大学合格者を輩出し、一躍時の人となった元暴走族の弁護士・桜木建二。その後、法律事務所を設立し、学校再建のエキスパートとして順風満帆な弁護士人生を歩んでいた──。
時は令和。偏差値32で経営破綻寸前の龍海学園で、教頭・高原浩之(及川光博)が桜木による再建案を提案する。しかし、自由な校風を理想に掲げる理事長・龍野久美子は進学校化に反対し、意見が割れていた。果たして桜木、そして彼の元教え子であり法律事務所で一緒に働く弁護士の水野直美は東大合格者を出し、学園を再建できるのか……。
そして彼らを待ち受けるのは、姉思いだが将来に不安を抱え、姉と2人で両親が残したラーメン屋を手伝う瀬戸輝、何をやっても長続きしない今どき女子高生の早瀬菜緒、バドミントンのトップ選手の岩崎楓など、それぞれの悩みや問題を抱えた龍海の生徒たち。桜木や水野と出会うことで、彼らの運命は大きく動き出そうとしていた──。
制作年: | 2021 |
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出演: |
2021年4月25日(日)より放送(初回25分拡大)