ペッグが上司! フロストが……優秀な社員!?
あのサイモン・ペッグとニック・フロストが共演するAmazonオリジナルシリーズ『トゥルース・シーカーズ ~俺たち、パラノーマル解決隊~』は、パートタイムで超常現象を調査する凸凹チームの活躍を描くオカルト・コメディ・ドラマだ。本作の主人公はフロスト演じるガスで、ペッグは重要な役どころではあるが準サポート的なポジション。ともあれ、彼ら二人とエドガー・ライト監督による<ブラッド・アンド・アイスクリーム3部作>が好きな人は必見である。
まるでユルバカコメディ『俺たち』シリーズみたいな邦題の本作だが、シーズン1は1話30分弱の全8話で、サクッと軽く観られるという意味では同じかも。実際、第1話の冒頭から本格的なホラー演出でちょっぴり身構えさせつつも、終始ノソ~っとしたフロストのムーブ&ユルいギャグで緊張をほぐしてくれるので、ホラー映画が苦手な人もまったく問題なく鑑賞できる。
ミレニアルズとX世代が超常現象を軸に共闘! ガチ怖じゃない適度なスリルが心地いい
フロスト演じるガスはネット回線企業のスゴ腕エンジニアであり、プライベートでは超常現象YouTuberとしてせっせと動画を投稿しているボンクラ枠のおっさん(切ない過去あり)。ある日、新たな助手として上司デイブ(ペッグ)にあてがわれたビビりのエルトン・ジョン(もちろん、この名前にも後々ひとネタあり)は典型的な現代っ子かと思いきや、バイトを転々としてきたため意外と専門知識豊富で、それがときに真相究明の足がかりになるという設定がアツい。
このボンクラ・コンビに、謎のノイズ(幽霊?)を見てしまう身寄りのない女性アストリッドが半ば強引に合流。ガスの義父リチャード(マルコム・マクダウェル!)やエルトンの姉ヘレンを巻き込みつつ、寂しい独居老人の自宅に隠された謎や、ホラーをテーマにしたホテルにみなぎる怪電波といった超常現象を、なにかとドタバタしながらも次々と解決していく。そんな活動と並行して、ガスがライフワークとして受信している不思議な暗号無線が全エピソードを通じた謎として絡んできて……というのが基本展開だ。
「ストレンジャー・シングス」×「ゴーストバスターズ」的に楽しめる快作
いわゆる「ムー」的なオカルト情報に実は真実が隠れているのかも……? みたいな陰謀論ネタを本気で扱っているわけではなく、英国ドラマではあるものの「ドクター・フー」シリーズ(1975~1976年ほか)のようなSF/超常現象モノの系譜というわけでもない。どちらかと言うと、フロスト&ペッグ作品らしく実際のSF~ホラー映画のネタがチラホラ出てくるサブカル的な側面が強く、とはいえ思いっきり古代の呪文を読み上げたり、年齢層を上げた現代版「ストレンジャー・シングス 未知の世界」(2016年~)みたいな趣もあるので、ざっくり超常現象モノが好きならば即ハマれるはずだ。
劇中でたびたび流れるパーシー・グレインジャー「リンカンシャーの花束」のメロディが頭から離れなくなるし、ビデオカメラの起動音がJR東日本の電車接近チャイムとクリソツというのも地味に気になる本作。ガスの亡くなった妻、エルトンが必死で隠したがる過去、イケオジだが怪しいスピ系カリスマ、そして中2的ロマンを嬉々として演じるペッグなどなど、短いシリーズながら見どころは山ほどあるので、新シーズン配信前にサクッと鑑賞しておこう!
『トゥルース・シーカーズ ~俺たち、パラノーマル解決隊~』はAmazon Prime Videoで独占配信中
『トゥルース・シーカーズ ~俺たち、パラノーマル解決隊~』
ニック・フロストとサイモン・ペッグが出演する「トゥルース・シーカーズ」は超常現象にまつわるコメディー。パートタイムの超常現象調査員がチームを組み、放棄された精神科の診療所や、今まで足を踏み入れることのなかった第二次世界大戦の地下壕などを訪れ、イギリス中から寄せられるゴースト目撃例の真偽を暴いては撮影していく。超自然現象をより頻繁に体験するうち、恐ろしい陰謀に遭遇し、致命的な結果が待ち受ける。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
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