麻薬カルテルの金をピンハネしたせいで……人生どん詰まり!
本作の主人公は、友人と共同経営している会社で資産運用のアドバイザーとしてウハウハな生活を送っていたマーティ。実はその友人と組んで、副業で麻薬カルテルの資金洗浄もしていたのだが、仲間が売り上げをピンハネしていたことがカルテルのボスにバレ、マーティ以外は皆殺しにされてしまう。
言葉巧みになんとかその場をしのぎ命だけは助かったマーティだったが、ボスからピンハネした額=800万ドル(約8億円)を48時間以内に用意し、さらにその金を3ヶ月で資金洗浄して能力を証明しろ(できなければ即殺)と命じられ……という内容だけで第1話が終わる、しょっぱなから猛スピード・ジェットコースター展開のドラマだ。
※久保憲司氏による紹介記事はこちら
ジェイソン・ベイトマン、実は“あの名作ドラマ”の元子役だった!
主人公のマーティを演じているのは、ジェイソン・ベイトマン。マイケル・セラと共演した『ブル~ス一家は大暴走!』(2003~2006年)や『JUNO/ジュノ』(2007年)、そしてジェニファー・アニストンがセクハラ上司を演じて話題になった『モンスター上司』シリーズ(2011~2014年)など、どちらかと言うとコメディ系のイメージが強いかもしれない俳優/監督だ。しかし『オザークへようこそ』では、無口で笑わず何を考えているのかいまいち分からない絶妙な演技で、一家の長を黙々と演じている。
実はベイトマンは子役出身で、往年の名作ドラマ『大草原の小さな家』(1974~1983年)でインガルス一家に養子にもらわれる、かわいいジェームズくんを演じていた人。そんな立派な芸歴を持つベイトマン、この『オザークへようこそ』でも主演だけでなく製作総指揮と監督を務めていて、2019年の第71回エミー賞では監督賞を受賞したのだからスゴい。
クセモノ揃いのキャラクターを演じるのは地味だが芸達者な俳優陣!
主人公マーティの妻で、夫が資金洗浄をやっていることを知りつつもその恩恵にあずかって優雅な暮らしを謳歌し、こっそり浮気までしているというウェンディ役は、アカデミー主演/助演女優賞ノミネート常連のローラ・リニー。麻薬カルテルのボスには、超人気クライム・サスペンスシリーズ『クリミナル・マインド FBI行動分析課』(2005年~)のシーズン9~10で頼れる上司を演じていたイーサイ・モラレスだ。
そんな中で誰よりも推したいのが、ピカイチのオーラを放ちまくっているルース役のジュリア・ガーナー。彼女はベイトマンが監督賞を受賞した第71回エミー賞で、大本命の『ゲーム・オブ・スローンズ』の女優陣など強敵ひしめく中、見事ルース役で助演女優賞を受賞している。
あの出会い系結婚詐欺ドラマにも出てます! イイ味出しすぎジュリア・ガーナー
ルースはオザークに住む小悪党一族・ラングモア家の一員で、若いけれど一番のキレ者。生意気で、言葉使いも手癖も悪いが、マーティの小賢しい企みや言い繕いを瞬時に見破る頭の回転の速さを持つ。相手をじっとり見つめる目や喋り方、どことなく爬虫類っぽい真っ白な肌にひょろっと伸びた細く長い手足、そしてクルクル短い金髪から目が離せず、加えてその甘ったるい喋り方の“クセになる度”が半端ない。
「他に何か出てたっけ?」と調べたところ、同じくNetflixの出会い系結婚詐欺サスペンス『ダーティ・ジョン -秘密と嘘-』(実際に起きた事件を元にしている)で、甘いマスクのペテン師にまんまと騙されて結婚してしまう主人公の娘を演じていた。
そんな『オザークへようこそ』、話せば話すほどネタバレになりかねないので解説はほどほどにしておこう。『ブレイキング・バッド』が好きだった人にはオススメという声が多いようだが、ぜひおうち時間の完走課題作品としてマイリストに追加しよう。
『オザークへようこそ』はNetflixで独占配信中
『オザークへようこそ』
財務顧問の父に連れられ、一家はシカゴからミズーリ州オザークへ。麻薬組織のボスの怒りを鎮めるため、父はここで、5年間で5億ドルの資金洗浄を行う。
制作年: | 2017 |
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出演: |