妹を失った若ミルズ、命を賭けて娘を守る老ミルズ
ドラマ版『96時間 ザ・シリーズ』で若ミルズを演じるのは、ドラマシリーズを主戦場としてきたクライヴ・スタンデン。日本ではほぼ無名の若手だが、なんだかクリス・エヴァンスとデヴィッド・ドゥカヴニーをミックスしたような絶妙なルックスの持ち主だ。
この数十年後にリーアムみたいな顔になるとはまったく思えないが、顔の重心が低くて妙に安心感がある。ちなみに劇中では結婚どころか彼女すらいない。自分と親しくなった人間に危害が及ぶことを恐れ、気になった相手がいても自ら距離を取っているから。つくづく不憫である。
映画版の老ミルズは要人警護などの仕事をして悠々自適に暮らしている。おそらく50代に差しかかったあたりだろうか。そんな彼の元妻レノーアを演じるのがファムケ・ヤンセンなのだが、慎ましかったドラマ版の若ミルズが後にどんな人生を歩めばファムケみたいなゴージャスな女性と結婚することになるのか、まったく想像が追いつかない。
とはいえ、娘が海外旅行に行くことすら許さないスーパー過保護ぶりは、ドラマ版で描かれているように諜報組織の一員として冗談みたいなミッションに挑み、数々の危険をくぐり抜けてきた経験からだろう。予想外の展開から妹を殺害されているだけに、ミルズの言うことにはどんな無理筋でも一応従っておいたほうが身のためである。
『ザ・シリーズ』時代あっての『96時間』シリーズ(と妄想するプレイ)
2008年公開の映画シリーズ1作目が大ヒットしたのは、電話の向こうで今まさに娘キムが拉致されているときの老ミルズの絶望顔芸。からの「お前が誰なのか知らないし、何が欲しいのかも分からん。もし、身代金目当てなら、払える金なんて持っちゃいない。だが俺は、お前らみたいな連中を追い詰める特殊なスキルを持っている。長年のキャリアで身につけた、お前らにとって悪夢とも言うべきスキルだ。今すぐ娘を解放するなら許してやるが、しないなら私はお前を追い、必ずお前たちを見つけ出し、そして殺す!」という、映画史上に残る名シーンのおかげだ。
マフィアの巣窟に単身乗り込んで武装した大勢の敵を秒殺する……そんな無双ぶりが、『96時間 ザ・シリーズ』の若ミルズが遂行してきた無茶なミッションによって培われたものだとしたら、こんなに燃える話はないだろう。過去にドカンとやらかしたせいで煙たがっている元同業者もいるし、あのときは世話になったと再会を喜ぶ一般人もいる。そのどちらもが、長年にわたるミルズの活動への純粋な報告なのである。
かつて家族の命を奪われ、任務を通して様々な形の家族と対面してきたミルズ。そんな彼の「もう絶対に愛する人を失いたくない!」という気持ちを想えばこそ、マフィアの膝に五寸釘をぶっ刺して電流を流したり、仏公安警察幹部の(何の罪もない)妻の腕に銃をぶっ放したりしても、無条件でミルズを応援できるというものである。だって娘を守るためだもの。
時代設定? 細かいことはスルー推奨!
シリーズ最終章『96時間/レクイエム』で、老ミルズは再び家族を失うことになる。もちろん『96時間 ザ・シリーズ』の若ミルズは、そんな未来が自分に訪れるとは夢にも思わないだろう。……というか、ミルズという名前以外に映画版とドラマ版の明確なつながりはぶっちゃけ全然ないのだが、少なくとも関係あると思って観たほうが燃えると思います! 以上!!
https://www.youtube.com/watch?v=HOf2IU7hXwc
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96時間 ザ・シリーズ
リュック・ベッソン製作総指揮、『96時間』の前日譚となるドラマシリーズ、全10話。映画版でリーアム・ニーソンが演じたブライアン・ミルズの若き日を描く。
制作年: | 2017 |
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出演: |