インド創世期の物語
インドの時代劇テレビドラマ『戦神デヴセナ -愛と宿命の2人-』の原題は、「アーランブ(始まり):カハーニー(物語)・デヴセナ・キー(デヴセナの)」で、少し意訳すると、『国の始まり:デヴセナの物語』となる。ここにある「始まり」という言葉が示すとおり、インドという国の礎ができる頃が舞台となっており、アーリア人とドラヴィダ人の出会いが描かれる。
モヘンジョダロやハラッパといった都市が建設され、インダス文明が栄えたのは紀元前2000年前後。今から4,500年前で、日本ではまだ縄文時代だが、この文明は現在のパキスタンからアフガニスタン、そしてインドのグジャラート州、パンジャーブ州あたりまでを含む広大な地域に広がった。
"Priest-King" (2200-1900 BC), Mohenjo-Daro, Indus Valley Civilization :
— Archaeo - Histories (@archeohistories) October 15, 2023
In 1927, a seated male soapstone figure was found in a building with unusually ornamental brickwork and a wall-niche, in Mohenjodaro, Sindh (now in Pakistan). He is the iconic representation of Indus Valley… pic.twitter.com/uoggcvDUog
だが西からは、中央アジアから南下してきたアーリア人が押し寄せ、やがてインダス文明を築いた人々はアーリア人に追われて東へ、さらには南へと移動し、現在の南インドに達する。これがドラヴィダ人である、という有力な説があり、原作ならびに脚本のヴィジャエーンドラ・プラサードは、そこから着想を得たようだ。
敵対するドラヴィダ人とアーリア人が恋したらどうなる?
本作は、当時北インドに王国を形成していたドラヴィダ人と、西から攻め入ってきたアーリア人とが出会ったら――という発想のもと、物語が展開していく。筆者はまだ最初の2話を見ただけだが、アーリア人側の物語とドラヴィダ人側の物語が交互に展開し、それぞれに複雑な事情が次々と語られていく。アーリア人の中心人物は勇者ヴァルンデヴ(ラジニーシュ・ドゥッガル)で、他の戦士と共にカヤスト将軍に従い、司祭アグニミトラの導きを受けながら、雪山を越え、東へと歩を進める。隊の中にはヴァルンデヴの父や親友もいれば、彼をうとましく思う者もおり、前途は多難だ。
一方、ドラヴィダ人の主人公は王女デヴセナ(カールティカ・ナーイル)で、女王としてこの国を治めていた母親チャームンディが亡くなり、父親に育てられたデヴセナは、王座の後継者と目されていた。ところが、叔母ダヤリニが王座を狙っており、さらにこの国には、ハフマ(タヌージャー)という占い師で王座を守護する老女がいて、国事のすべてはハフマの指示によって決められる。ハフマの年は何と400歳を超えており、身には数匹のコブラをまとうという恐ろしい姿で、凶兆を見極め、命令を降す。
このあと、デヴセナ王女とアーリア人の将軍となったヴァルンデヴが出会い、恋に落ちる物語なのだが、二人とも誇り高き戦士であり、敵対する立場とあっては、単なる甘い恋には終わりそうにない。北インドにはアーリア人、南インドにはドラヴィダ人が住む現在のインドが、どのように成立に至ったかが語られていくのである。
『戦神デヴセナ -愛と宿命の2人‐』
古代インド。アーリア人の戦士ヴァルンデヴは将軍の後を継ぎ、ドラヴィダ王国の征服を誓う。一方、ドラヴィダ王国では女王が逝去、娘デヴセナが王位を継いだ。デヴセナとヴァルンデヴ、やがて二人は戦場で出会い、敵対する民族であることを知りながらも恋に落ちてしまい・・・。
脚本:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
監督:ゴールディ・ビール
制作年: | 2017 |
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