「韓国には教会と同じくらいチキン屋があります(笑)」
代表作の一つ『エクストリーム・ジョブ』(2019年)では、捜査のためにフライドチキン屋を偽装営業する刑事役で爆笑させてくれた“ヒョンニム(兄貴)”ことリュ・スンリョン。なんと『ムービング』で演じるジュウォンも新たにチキン屋を営むという設定なのだが、韓国では個人経営が珍しくない職業なのだろうか?
『エクストリーム・ジョブ』との繋がりはないのですが、『ムービング』では90年代の描写で教会の十字架などがいくつも映っていると思います。韓国には教会が多いのですが、同じくらいチキン屋があると言われていて(笑)、それほどまでに韓国人とチキンとは切っても切れない関係なんです。すごくチキンが好きだし、とくにスポーツを観戦するときや、それこそ『ムービング』をご覧になっている皆さんもチキンを召し上がっているんじゃないかなと思います(笑)。
若かりし頃のジュウォンを描くパートは90年代で、当時の韓国文化の描写も私たちにはとても新鮮に映る。おそらくCGも使用しているであろう『ムービング』でのレトロ描写は、スンリョン氏の記憶にある90年代韓国と比較しても、忠実に再現されているのだろうか?
まったく違和感はなかったですね。当時はアナログからITへの転換期と言いますか、そういう時代だったので文化的にも豊かでしたし、(『ムービング』では)政治的、社会的にもよく表現されていると思いました。
「“ヒーローもの”への出演は、おそらく『ムービング』が最後になるでしょう」
スンリョン氏は過去にも超能力者を演じているが、『ムービング』はウェブトゥーン原作ということもあり、役作りも比較的やりやすかっただろう。しかし、「再生能力はあるが痛みは感じる」という人物像にリアリティを持たせるために、演技面でどのような意識、または努力をしたのだろうか?
人間が“痛み”を全く感じなかったら、それほど恐ろしいことはないでしょう。ジュウォンが痛みを感じることによって人間味を表現できますし、作品を観る方々からも応援していただける、そういう“ツール”にもなったと思います。
ただ、彼の場合は“心”までは再生できないようで、なかなか癒やされない人物です(笑)。後々まで心に傷が残ってしまうような、そういった“弱さ”も作品の面白みにつながっているんじゃないかなと思います。
韓国のウェブトゥーン原作映画は、ハリウッドのMCUやDC映画のように、ますます規模が大きくなる可能性を秘めていると言えるだろう。もしスンリョン氏が再び“スーパーヒーローもの”に出演することになったら、善と悪、どちらの役に興味があるのか聞いてみた。
“ヒーローもの”への出演は、おそらく『ムービング』が最後になるんじゃないかなと思います(!)。もし本作が沢山の方々に愛されて「シーズン2」が製作されたら、私にとっての次のヒーローものは『ムービング』になるでしょう。もちろん同じジュウォン役でね。
『神弓 -KAMIYUMI-』(2011年)の大谷亮平など、日本人俳優とも共演してきたスンリョン氏。ディズニープラスの『コネクト』など日韓合作プロジェクトも増えてきているが、日本の作品にも興味はあるだろうか?
私は作品を選ぶときに、シナリオを一番に重視します。なのでシナリオを拝見して、私の心が“ムービング”する作品があれば、出ない理由はありません!
『ムービング』はディズニープラス スターで独占配信中(全 20 話/初回 7 話まで一挙配信、8話以降は毎週水曜 2 話ずつ配信、最終週は 3 話配信)
『ムービング』
1990年代、韓国の国家安全企画部は、超能力者たちによるブラック・オプスチームを設立した。極秘任務の遂行を命じられたこのエリート部隊のメンバーは、超能力を使って国を守り、不可能なことも可能にする日々を過ごしていた。
しかしある日突然、部隊は姿を消し、国中に散り散りになった。
数十年後、歩くよりも先に宙に浮くことができた少年キム・ボンソクと、再生能力により自動車事故で無傷で生き残った少女チャン・ヒスは同じ学校に通うことになる。
互いに自らの秘密を打ち明け、世の中には自分たちのような人間がいることを知り、すぐに親しくなる。
そんな彼らの日常をよそに、フランクという謎の配達員がソウル市内で能力者たちを殺害し始める。
子供たちが能力者と暴かれる前に、フランクを止めることはできるのだろうか。
【キャスト】
チャン・ジュウォン役:リュ・スンリョン『エクストリーム・ジョブ』『バトル・オーシャン 海上決戦』他
イ・ミヒョン役:ハン・ヒョジュ『トンイ』『Wー君と僕の世界ー』『ビューティー・インサイド』他
キム・ドゥシク役:チョ・インソン『その冬、風が吹く』『安市城 グレート・バトル』『モガディシュ 脱出までの14日間』他
ボンソク役:イ・ジョンハ『わかっていても』他
チャン・ヒス役:コ・ユンジョン『還魂2』『SweetHome-俺と世界の絶望-』他
イ・ガンフン役:キム・ドフン『今日のウェブトゥーン』『フェイスレス 顔のないボス』他
【スタッフ】
製作:STUDIO&NEW『キミと僕の警察学校』他
監督:パク・インジェ、パク・ユンソ『ザ・メイヤー 特別市民』『キングダム2』他
脚本:Kang Full
制作年: | 2023 |
---|
ディズニープラス スターで独占配信中(全 20 話/初回 7 話まで一挙配信、8話以降は毎週水曜 2 話ずつ配信、最終週は 3 話配信)