ルパン劇場版の礎となったオシャレかつハードな歴史的傑作!
アニメ「ルパン三世」シリーズの記念すべき劇場用映画の第1弾として莫大な予算をかけて製作された『ルパン三世 ルパンVS複製人間』。当時大きな話題となっていたクローン技術をモチーフに、神を自称する謎の男“マモー”が企む陰謀を阻止せんとルパン一味が奮闘する姿を描く。
そんな『VS複製人間』は、ついに逮捕されたルパンが絞首台から吊るされる衝撃的なシーンから始まる。しかし、ルパンの死を信じたくない銭形警部が埋葬地を確認すると、案の定ピンピンしてて軽口叩かれました! という、もはやお約束となった“ルパンLOVE”な展開が微笑ましい。
原作誕生から50年以上が経ち今なお愛され続ける「ルパン三世」。金曜ロードでは平成元年に始まったテレビスペシャルを第2弾から第26弾まで長年にわたって放送してきました。モンキー・パンチ先生への心からの哀悼の思いと感謝の気持ちを込めてお送りする劇場版第1作『ルパンVS複製人間』金曜よる9時 pic.twitter.com/QFFUYR3Dnb
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 17, 2019
リアリティよりもカタルシスを重視した超展開は相変わらずで、巨大なコンボイと繰り広げる無茶苦茶なカーチェイスや、 五エ門&次元 vs ヘリコプター&セスナ 、さらに激しい銃撃戦まで盛り込んだテンポの良いアクションシーンで観客を飽きさせない。ストーリーもかなりハード路線で、命を狙われたルパン一味の巻き添えで一般市民が死にまくったりする。ひどい。
とはいえ映画的な演出が随所に散りばめられていて、この後に続く劇場シリーズ中でもトップクラスにオシャレ。カメラワークやカット割も60~70年代のアクション映画と比べたらよっぽど豪華だ。終始そんなトーンなので、キャラ設定もルックスもブッ飛んでいるマモーはポップに映える。ちなみにイントネーションは「マ↑モー↓」。
レジェンド声優陣とモンキー・パンチ先生に敬礼……!
4月11日「ルパン三世」原作者 モンキー・パンチ先生がご逝去されました。
— アニメ「ルパン三世」公式 (@lupin_anime) April 16, 2019
生前は多くの魅力的なキャラクターを生み出し、映画「ルパン三世 DEAD OR ALIVE」ではアニメーション監督としてもご活躍くださいました。
謹んで哀悼の意を表すとともに感謝を申し上げます。
ありがとうございました。合掌 pic.twitter.com/h45Mj6c7SQ
五エ門に下心をダメ出しされたり、くだらない罵り合いから仲間割れしそうになったりと、ルパン一味は平常運転。キャラクターデザインはアニメシリーズとマンガのタッチが程よくミックスされた雰囲気なので、モンキー・パンチ原作を知らない若いファンには新鮮に感じるかもしれない。
なお本作には峰不二子以外のヒロイン的キャラクターは登場せず、そのぶん不二子のお色気を大フィーチャー。いきなりのシャワーシーンから、レザースーツを着込んでハーレーで疾走する姿はアニメシリーズ(「ルパン三世その2」)のエンドクレジットまんまでニヤリとさせられる。
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また、エジプト警察の署長を三波春夫氏が、電話で会話しているアメリカ大統領の声を赤塚不二夫氏、書記長の声を梶原一騎氏が吹き替えており、その棒読みっぷりが愛おしい。78年公開だけあって、マモー=西村晃氏、ルパン=山田康雄氏、銭形=納谷悟朗氏などメイン声優の多くも亡くなっているが、モンキー・パンチ氏の訃報を受けての追悼放送として『ルパンVS複製人間』は最適と言えるかもしれない。
物語の重要な鍵となる“賢者の石”を狙いルパン一味を執拗に襲うマモーの真の目的は何なのか? コンプライアンス的にカットせざるを得ないシーンの数々は今回どうなるのか? そして地上波でもエンディング曲「ルパン音頭」を流す尺は確保されるのか……? 気になるポイントは盛りだくさんなので、是非この機会に本作を観賞してほしい。
金曜ロードSHOW!『ルパン三世 ルパンVS複製人間』は4月19日(金)21時から放送