SFアニメの金字塔「攻殻」シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』がいよいよ2020年4月23日(木)よりNetflixにて配信スタート! 多くの後発SF作品に影響を与えた原作コミックから19年、劇場アニメ映画だけでなく数々のアニメシリーズが制作されてきたが、本作はシリーズ史上初のフル3DCGアニメーションとなっている。
藤津亮太氏による『攻殻機動隊 SAC_2045』レビュー
そんな『攻殻機動隊 SAC_2045』をより楽しむべく、設定違いどころか世界軸が異なる作品もあったりと混乱必至の過去アニメシリーズを超ざっくり解説したい。どうしても気が滅入ってくる自主隔離タイムを利用して、この硬派なシリーズをぜひイッキ観してはいかがだろう。
まずはここから! コミック&劇場版から違和感なく入れる『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ
原作コミック~劇場版(押井守版)の『攻殻』のイメージにもっとも近く、違和感なく観ることができるのが2002年から放送の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』だ。
主人公・草薙素子のほぼ独壇場だった劇場版よりもコミック寄りの設定で、バトーやトグサ、イシカワ、サイトー、ボーマ、パズら公安9課の面々が存分に活躍するので、エピソード毎にミッションに挑むチームものとしても楽しめる。
物語の主題となるのは“笑い男事件”と呼ばれる大規模ハッカー攻撃で、エピソードを通して犯人の狙いと謎に包まれた素性が描かれていく。シリーズ第2弾『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』では、“個別の11人”なる集団による難民への攻撃とコンピューターウイルスへの感染を軸に、国家レベルの陰謀を描く。2シーズンともエピソード数は多いが、1話/25分弱でサクサク観られるのでご安心を。
上記2作の続編となる『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』は、劇場版の展開を踏まえてか素子失踪後の9課を描く長編作品。
物語は謎多きハッカー“傀儡廻”を追う新生9課と単独行動する素子を軸に展開し、やがて傀儡廻の意外な正体が明かされていく。
キャラデザ大胆チェンジ! 前日譚かつ攻めのシリーズ『攻殻機動隊ARISE』&『新劇場版』
キャラデザだけでなくキャストも変更された意欲作『ARISE』シリーズは、公安9課設立前の素子やバトーらの物語。1話/1時間弱の計4話構成で、軍隊に所属していた素子の過去を描きつつ、疑似記憶を植え付けるファイア・スターターなるウイルスの謎を追う“9課以前”のメンバーの活躍を描く。
デザインに若干の違和感は拭えないものの、やさぐれ者のバトーらをスカウトしていく展開は往年のアクション映画のようなカタルシスを与えてくれる。
なおTVシリーズ『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』(2015年)は、上記『ARISE』に新作『PYROPHORIC CULT』(2話)を追加したもの。続く『攻殻機動隊 新劇場版』(2015年)の前に観ておこう。
ちなみにオープニングテーマを含む音楽を手掛けたのはコーネリアスで、各エンディングテーマは坂本慎太郎が作詞を務めるなど、かなり豪華なので音楽も要チェックだ。
「攻殻」25周年記念作品『攻殻機動隊 新劇場版』は『ARISE』シリーズの完結編という位置づけ。めちゃくちゃしつこいファイア・スターターや、苦笑レベルのおはだけ衣装でおなじみのクルツ中佐の意外すぎる(若干「AKIRA」っぽい)正体など見どころたっぷりで、まさにシリーズの締めくくりに相応しい内容となっている。
押井版を観ているとニヤリとさせられるラストシーンは、素子の義体(見た目)の変化と併せて要注目だ。
『攻殻機動隊 SAC_2045』はNetflixで独占配信中
『攻殻機動隊 SAC_2045』
2045年。全ての国家を震撼させる経済災害「全世界同時デフォルト」の発生と、AIの爆発的な進化により、世界は計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー”へと突入した。
内戦・紛争を渡り歩き、廃墟が横たわるアメリカ大陸西海岸において、傭兵部隊として腕を奮っている全身義体のサイボーグ・草薙素子とバトーたち元・公安9課のメンバー。そんな草薙率いる部隊の前に、“ポスト・ヒューマン”と呼ばれる驚異的な知能と身体能力を持つ存在が突如として現れる。
彼らは如何にして生まれたのか、その目的とは。大国間の謀略渦巻くなか、いま再び“攻殻機動隊”が組織される―。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
声の出演: |