「攻殻」シリーズ5年ぶりの新作は初のフル3DCGアニメーション!
『攻殻機動隊』シリーズ最新作にしてNetflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』がいよいよ2020年4月23日(木)より配信スタート。1995年以来『攻殻機動隊』の名を冠したアニメ作品は多数制作されてきたが、本作は5年ぶりの新作となる。
本作の注目点は2つ。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズ(2002年)を手掛けた神山健治が、荒牧伸志(『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』[2017年]ほか)と共同で監督を手掛けるということ。もうひとつは本作が『攻殻』シリーズ初のフル3DCGアニメーションになることだ。また『SAC_2045』は“SAC”の文字が入ってはいるものの、『STAND ALONE COMPLEX』シリーズの続編とは銘打たれてはいない。
物語の舞台は2045年。Great4(米帝、中国、ロシア、ヨーロッパ連合)が始めた“持続可能な戦争(サスティナブル・ウォー)”の結果、世界同時デフォルトが発生し、仮想通貨や電子マネーが無効となった世界。公安9課を去った草薙素子たちは、傭兵集団ゴーストとして北米で“仕事”をしている。一方、日本では荒巻課長が、民間警備会社に転職したトグサに接触。こうしてシリーズ前半は「公安9課」が再結成されるまでを描く。そして次第に謎の事件が浮かび上がる……。
時代が「攻殻」の世界に近づいた! 今こそリアルに実感できる物語
本作で主題となってくるのは、やはり人々とネットワークの関係。『STAND ALONE COMPLEX』では、いち早く大規模匿名掲示板を念頭においたネット会議のシーンが描かれていたが、本作も現在のSNSが当たり前になったネットの状況を踏まえつつ、作中の事件が設定されている。
そもそも“STAND ALONE COMPLEX”という言葉は、草薙素子が「独立した個人が、結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象」に与えた造語だ。これが具体的にどのような現象かは、『STAND ALONE COMPLEX』が放送されていた2000年初頭よりも、SNSが浸透した現在のほうがはるかにリアルに実感できるはずだ。そう考えると今回のタイトルにある“SAC”は、続編という意味合いよりも、主題の継承とアップデートを象徴していると考えたほうがいいかもしれない。
一方、本作はフル3DCGでもかなりユニークなスタイルを目指している。キャラクターは、実線を入れることを極力抑えて、イラスト的な質感で立体化。そして、そのキャラクターをモーションキャプチャで演技させている。キャラクター性と実写のようなニュアンスの演技を融合しようという試みだ。この手法は手描きと比べると、かなり複雑なアクションシーンを作り出せるというメリットもある。神山・荒牧両監督は前作『ULTRAMAN』(2019年)でタッグを組み、漫画に近いキャラクターの3DCGをモーションキャプチャで演技させるというスタイルで制作している。今回のスタイルは、その経験も踏まえての挑戦といえそうだ。
国産の3DCGアニメは現在、各社が「量産性」と「次のビジュアル」を求めて次なるステップへの挑戦を始めている。そうした大きな動きの中の1作という捉え方も、本作を楽しむ補助線となるはずだ。
文:藤津亮太
Netflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』は2020年4月23日(木)より全世界独占配信スタート
『攻殻機動隊 SAC_2045』
2045年。全ての国家を震撼させる経済災害「全世界同時デフォルト」の発生と、AIの爆発的な進化により、世界は計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー”へと突入した。だが人々が、AIによる人類滅亡への危機を日常レベルで実感できるまでには衰退の進んでいない近未来――。
内戦・紛争を渡り歩き、廃墟が横たわるアメリカ大陸西海岸において、傭兵部隊として腕を奮っている全身義体のサイボーグ・草薙素子とバトーたち元・公安9課のメンバー。電脳犯罪やテロに対する攻性の組織に所属し、卓越した電脳・戦闘スキルを誇っていた彼女らにとって、この時代はまさにこの世の春である。そんな草薙率いる部隊の前に、“ポスト・ヒューマン”と呼ばれる驚異的な知能と身体能力を持つ存在が突如として現れる。彼らは如何にして生まれ、その目的とは。大国間の謀略渦巻くなか、いま再び“攻殻機動隊”が組織される――。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
声の出演: |
2020年4月23日(木)よりNetflixで全世界独占配信スタート