米HBOが、いまや伝説となった傑作ドラマ『トゥルー・ディテクティブ』ファーストシーズンの第1話を放送してから10年。第4シーズンとなる『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』がU-NEXTで見放題独占配信中だ。
あの大ヒット刑事ドラマにジョディ・フォスター参戦
『トゥルー・ディテクティブ』はコリン・ファレル主演のシーズン2、マハーシャラ・アリ主演のシーズン3にもそれぞれの魅力があるものの、やはり伝説のシーズン1を味わってしまった観客が求めていたものとは若干方向性が異なっていた、というのが正直なところではないだろうか。
だからこそ、ここにきてのジョディ・フォスター参戦という報に期待せずにはいられなかった。そして期待は裏切られることなく、『ナイト・カントリー』はシリーズ最高の視聴記録という大反響を呼んだ。なお本作でも引き続き、シーズン1の主演ウディ・ハレルソンとマシュー・マコノヒーがエグゼクティブ・プロデューサーを務めている。
アラスカ州エニスに冬の長い夜が訪れた時、ツァラル北極研究所に駐在していた8人の男たちが忽然と姿を消す。事件解決のため、リズ・ダンヴァースとエヴァンジェリン・ナヴァロの両刑事は、自らが抱える闇と対峙しながら、永久に解けることのない氷の下に眠る呪われた真実を掘り起こすことになる――。
異なるキャリアを持つ凸凹主人公キャストの魅力
『ナイトカントリー』の舞台となるのは極寒の米アラスカ州。しかし撮影監督いわく、撮影はアラスカ州ではなく主にアイスランドで行われたという。なぜアイスランドくんだりまで……? と思ってしまうが、ようするに撮影に協力的なアイスランドのほうが色々とスムーズなのだそうだ。アラスカの自然の脅威を“待つ”よりも、アイスランドの雄大な自然をそのまま撮ってしまったほうが話が早い、というのは理解できる。
そして主人公は、ジョディ・フォスター演じる地元警察のダンヴァース署長。どうしても『羊たちの沈黙』(1991年)が引き合いに出されがちだが、とはいえ彼女がソロでバシバシと事件をほじくっていくわけではなく、相方となる州警察官エヴァンジェリンを演じるカーリー・レイスが重要な存在であることは、第1話の冒頭からしっかり伝わってくる。
ネイティブアメリカンの血を引き、2階級制覇の元ボクシング王者という経歴の持ち主であるレイス。本格的に演技を始めたのはここ数年だが、彼女が培ってきた“個”が滲み出る唯一無二の存在感がフォスターとの凸凹ぶりを生み出し、かつ2人が共有する“ある秘密”は、『トゥルー・ディテクティブ』がシリーズを通してキープしてきた“ささくれ”を担っている。
レイスはネイティブ・アメリカンの保留地を舞台にしたサスペンスの傑作『ウインド・リバー』(2017年)の続編への出演も決定しているようで、今後のさらなる活躍にも期待できそうだ。