テディベアとユニコーンの血塗られた闘争史
テディベアとユニコーンの闘いを(比喩ではなく)描いたスペイン・フランス合作アニメ『ユニコーン・ウォーズ』が、2024年5月25日(土)より劇場公開中。スペイン版アカデミー賞といわれるゴヤ賞で長編アニメーション賞を受賞した、新鋭アルベルト・バスケス監督の最新作だ。
物語の舞台は、とあるディストピア。魔法の森に住む〈テディベア〉と〈ユニコーン〉の間には、先祖代々に渡って戦いが繰り広げられていました。テディベアのアスリンは、双子の兄ゴルディとともに軍の新兵訓練所で屈辱的な特訓の日々を過ごしています。ある日、森から帰ってこない部隊の捜索を命じられたアスリンとゴルディたちは、その森で危険な生物や無残な姿となった隊員たちを目にすることに……。
テディベアの聖書にある「最後のユニコーンの血を飲む者は、美しく永遠の存在になる」という言葉を信じるアスリンたちは度重なる苦難に耐え、ユニコーンの生息する深い森へと進軍していきます。しかし、その地で巻き起こる悲惨で残酷な出来事の行く末には、とんでもない結末が待ち受けていました――。
「カワイイ!」が秒で「エグい!」に変わる衝撃展開
『ミッドナイト・ゴスペル』のようにドラッギーな紫の色彩をベースに、『バンビ』や『もののけ姫』を想起する世界観と、『レンとスティンピー』や『スポンジ・ボブ』、『ハッピーツリーフレンズ』的なグロみを盛り込んだ本作。メインキャラクターとなるテディベアは、ピンク色の兄ゴルディと青色の弟アスリンだ。
その2人(2匹?)を含め主要キャラクターは(ケアベアみたいな)色とりどりのクマで、「ちい◯わ」的な極端にデフォルメされたデザインながら主張強めの顔面パーツによる感情表現はエグい、もとい多彩。さらに、もれなく利己的なレインボークマたちのシズル感あふれる小競り合いや、なぜかデフォルメし忘れたチ◯コなどをがっつり見せつけられる。だが、そんな序盤の小ネタに苦笑していると、やがて物語は凄まじい方向に転がってゆき……。