「改造人間というものは、欠陥品だから魅力がある」
ギンティ:「八州連合」という言葉を聞いたのは『座頭市』(1962年ほか)以来な気がします(笑)。
谷口:本編では「関八州連合」ですけどね。八州取締役みたいなのを出したかったんで、まぁ元ネタはそこですね。本当は座頭市みたいなキャラクターも出したかったんですよ! でも、去年(2022年)とある作品でそういうキャラを出しちゃったので、じゃあ『子連れ狼』(1972年ほか)にしようという案もあったんです。乳母車からマシンガンを撃つような。
ギンティ かっこいい!
谷口:でも子供はどうするんだ? という問題もあるので、時代劇方面を深掘りするのはやめました。
ギンティ:いろんな世界観に広げられると先ほどおっしゃっていたので、ぜひ子連れ狼が登場するクラスタもお願いします!
谷口:『剣客商売』(1998年ほか)とかもね。アニメファンは誰もついて来れないかもしれない(笑)。今回の映画も、どっちかというと普段実写を観ている人の方がついてきやすいんじゃないかと思っていて。
この10年くらいのアニメーション作品、特にテレビを中心とするアニメの作り方は、どんどん優しくなってるんです。ある程度決まったフォーマットの上で作っているし、刺激も少なくなっている。アニメーションは、もっと乱暴なものだったはずで、激しいテーマを扱っていたはずなんですよね。それが次第にソフィスティケートされて、うまくパッケージングされたものが増えてきちゃった。そういうものを否定はしないんだけど、そればっかりだとつまんないよね。そうじゃない楽しさもあるし。今回は実写の要素も入れつつ、アニメーションならではの良さも活かしていこうと。そうじゃないとアニメでやる意味がないので。
ギンティ:主人公のキサラギには、まさにアニメーション的な魅力が詰まっていると思います。個人的に改造人間のキャラクターが実写、アニメを問わず大好きなんですが、80年代以降の改造人間は『ターミネーター』(1984年)の影響から逃れられない部分があるじゃないですか。キサラギは義手や義足なので、『600万ドルの男』(1973年ほか)やライダーマンのような古き良き改造人間でありながら、機能やギミックは僕らの想像を上回っています。
谷口:無敵で無欠なキャラクターにはしたくなかったんですよ。改造人間というものは、欠陥品だから魅力があるんです。
ギンティ:しびれる言葉です!
谷口:仮面ライダーもそうです。初代ね。「サイボーグ009」では、一番つまらないのが009なんですよね。他のサイボーグはみんな楽しいのに。改造による欠陥欠落が見えにくくて。小説だけど「マン・プラス」とか漫画だと「CYBORGじいちゃんG」もいい。アイデンティティや人間とは何だということを内包しているから。それがすごく魅力的でしたね。
ギンティ:キサラギは改造人間+ヴァンパイアじゃないですか。両方の強さを兼ね備えているのかと思ったら、改造することでヴァンパイアとしての機能が低下しているところが面白いです。
谷口:「改造=パワーアップ」と捉えると、そうですよね。私にとって改造は、パワーアップすることによって大きなマイナスができることなんです。そうでなければ、ただ万能になるだけなので、それは違うかなと。一部の“なろう系”主人公というか、異世界転生もののチート能力者になっちゃう。それに楽しみを感じる人はいるかもしれないけど、私はそうじゃないので。
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— 映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』公式 (@BLOODY__ESCAPE) November 20, 2023
🔴キサラギ(CV #小野友樹)
人体実験により改造人間となった
サイボーグ・ヴァンパイア・ニンジャ。
元は普通の人間。
新宿クラスタでの社会的立場は下級奴隷。
とある理由により、東京制覇を目論む
吸血鬼集団「不滅騎士団」に“裏切り者”として
追われる身となり、逃亡の末、… pic.twitter.com/aYKFGwZHy8
※次ページ以降、ネタバレを含みます。本作をご鑑賞前の方はご注意ください。
『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』
人体実験によって改造人間となったキサラギは、ある組織に追われていた。
その組織とは、分断された「東京」の制覇を目論む不死身の吸血鬼集団「不滅騎士団」。
さらに、殺された親分の敵討ちを誓うヤクザたちも追っ手に加わり、全てを巻き込んだ大抗争へと発展していく。
「元から生きる理由は無いが、コイツらに殺される理由もない──」
改造されあらゆる武器を仕込まれた身体と自らの特殊な“血”を駆使して、キサラギの地獄の逃走劇が始まる!!!
制作年: | 2023 |
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2024年1月5日(金)より全国ロードショー