恐ろしき自然の代弁者
『ブラック・デーモン 絶体絶命』は、ちょっとヒネたサメ映画だ。正確にはメガロドン映画……いや、そんなことはどうでもいい。本作におけるサメ(じゃなかったメガロドン……だけど、便宜上サメとする)は所謂“マクガフィン”である。つまり登場人物の命を脅かすキャラクターであれば、何でもいいのである。
なぜなら、本作のサメは血に飢えた野生の生物ではなく、自然を破壊した人間に血の代償を与える存在だからだ。
予測が容易いシナリオと安易な環境問題提議はチープに感じる。だが『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年)で知られるエイドリアン・グランバーグ監督は本作で、自然の代弁者がいかに恐ろしい存在であるか? を低予算映画ならではのエネルギッシュな演出で我々を魅了してくれる(ただし、一定のB級映画愛は必要だ)。
サメと爆弾のW地獄
石油企業社員ポールは海上油田の定期チェックのため、メキシコ沿岸の島にやってきた。彼の妻と二人の子供も一緒である。さっさとチェックを済ませ、家族でリゾートを楽しもうというわけだ。
しかし、ポール一行はリゾート地ではなく地獄へやってきたことがわかる。殆どゴーストタウンと化した町、地元住民の無礼な言動……。
ポールもポールだ。横柄な態度や家族に対する無頓着さは不愉快極まりない。怪しげな住民たちがうろつくバーに家族を残して、誰が油田チェックなんて仕事に向かうというのか。当然、妻と子供たちは地元民に襲われることになる。
そんなわけでポール一家は、なんだかんだと海上油田にて再会を果たすのだが、そこでサメと爆弾のダブル地獄の幕開けとなる。
『ブラック・デーモン 絶体絶命』
崩壊寸前の海底油田に
取り残された男とその家族
旋回するのは伝説の超巨大ザメ
通信手段はゼロ
海底には仕掛けられた爆弾
爆発まであと59分
待受けるのは死か、それともー!?
監督:エイドリアン・グランバーグ
出演:ジョシュ・ルーカス
フェルナンダ・ウレホラ
フリオ・セサール・セディージョ
制作年: | 2023 |
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2023年6月2日(金)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、池袋シネマ・ロサほか全国公開