A24製作、ダーレン・アロノフスキー監督最新作、ブレンダン・フレイザー主演の『ザ・ホエール』が4月7日(金)より公開。このたび、本作で衝撃的な大変貌を遂げたブレンダン・フレイザーが特殊メイクで変身する様子を捕らえたメイキング映像が解禁となった。
アカデミー賞3部門ノミネート
「第79回ヴェネチア国際映画祭」でプレミア上映時より272キロの巨体の男チャーリーになり切り、圧巻の存在感を見せつけたブレンダン・フレイザーの演技に絶賛の声が寄せられた。スター俳優として『ハムナプトラ』シリーズや『センター・オブ・ジ・アース』の主演を務めるも、プライベートでの不幸が重なりハリウッドの表舞台から長らく遠ざかっていたが、本作でのパフォーマンスへの称賛はとどまる ことなく、ブロードキャスト映画批評家協会賞、全米俳優組合賞(SAG)、サテライト賞(ドラマ部門)にて【主演男優賞】を受賞し、アカデミー賞初の主演男優賞ノミネートも果たしている。
幾度となく主演俳優をオスカーノミネートの場に引き上げてきたダーレン・アロノフスキー監督とともに奇跡の大復活を遂げたブレンダンに、初オスカーの栄誉と万感のスピーチに期待が高まっている。共演は、活躍目覚ましい若手女優セイディー・シンク(『ストレンジャー・シングス』シリーズ)、話題作への出演が相次ぐホン・チャウ(『ザ・メニュー』)らが脇を固める。
ブレンダン・フレイザーが“272キロの巨体”になるまで
公開された映像では、ブレンダンがスタッフ二人の手によって次第に肉付きのよいチャーリーに変貌していく様子がタイムラプスで切り取られる。メイクの途中に寝落ちしてしまうブレンダンの姿もしっかり収められているが、なんとこのメイクにかかった時間は4時間超。撮影期間はおよそ40日間に及び、毎回スタジオに早入りし4時間かけてチャーリーになるための特殊メイクを施し余命幾許もなく身を削るような役を演じるという肉体的にも精神的にもハードな撮影を行っていた。
体重272キロのチャーリーの姿は、人間として精神の極限状態であること、命を脅かすほど深刻な状態であることが伝わらなくてはいけないと考えていたアロノフスキー監督。しかし、顔を分厚いメーキャップで覆いすぎて、様々な感情を示す表情が見えづらくなることは絶対に避けなくてはならないと考えていたアロノフスキーは、『ファウンテン 永遠につづく愛』『ノア 約束の舟』 『マザー!』でも度々タッグを組み、絶大な信頼を寄せるプロセティック・メーキャップ(特殊メイク)アーティストのエイドリアン・ モロットに相談することに。モロットは本作のために史上初の100%デジタル技術による特殊メイクを開発。役柄の身体と彼を演じるフレイザーとの境目が分からないようにし、さらにブレンダンが顔の筋肉を自由に動かせるようにするために、3Dモデリングを使ってデジタル・スカルプチャーを作成。その後、クレイを使ったスカルプチャー作りを省いて、すぐに3Dプリントを行った。すべての特殊メイクをデジタル技術で作りだす方法は今回が長編映画初の試みとなり、見事、本年度アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞へのノミネートへと繋がった。
また、ボディも同様にデジタル技術で制作が行われた。ファットスーツは5人がかりで着脱せねばならないほどの重みがあり、ブレンダンは「あれを着た状態で動けるようになるまで、徹底的なトレーニングを行った。そんなところに筋肉があったのか、と思うような筋肉がたくさん鍛えられたよ。肉体的には今まで演じてきた役の中でダントツでハードだった。若い頃、砂漠の中で走 り回ったことなんて、これに比べればなんてことないよ(笑)」と振り返る。スーツの中にはF1ドライバーのクールスーツに使われているような冷却システムも内蔵されていたが、暑いことには変わりはなかった。しかし最終的には、スーツを脱いだ際にバランスを失い、眩暈を覚えるほど体に馴染むようになっていたというエピソードも。
先日トーク番組に出演した際、「『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の撮影で死にかけたことがある」 と暴露していたブレンダンだが、その撮影よりもハードだったと語る本作でいかに過酷な撮影に挑んでいたかが伺える。
『ザ・ホエール』は4月7日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー