• BANGER!!! トップ
  • >
  • 映画
  • >
  • 低迷からの復活! ブレンダン・フレイザー抜擢理由は?『ザ・ホエール』アロノフスキー監督が明かす【アカデミー賞3部門ノミネート】

低迷からの復活! ブレンダン・フレイザー抜擢理由は?『ザ・ホエール』アロノフスキー監督が明かす【アカデミー賞3部門ノミネート】

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook
ライター:#佐藤久理子
低迷からの復活! ブレンダン・フレイザー抜擢理由は?『ザ・ホエール』アロノフスキー監督が明かす【アカデミー賞3部門ノミネート】
『ザ・ホエール』© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.
1 2

D・アロノフスキー監督@ロッテルダム国際映画祭

第95回アカデミー賞3部門ノミネート(主演男優賞/ブレンダン・フレイザー、助演女優賞/ホン・チャウ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞)を果たし、とりわけブレンダン・フレイザーの奇跡のカムバックが話題の、ダーレン・アロノフスキー監督最新作『ザ・ホエール』

たしかにそれだけでもめでたいが、作品そのものはもとよりアロノフスキー監督自身もノミネートされないとは何事か! と言いたくなるほど、本作の演出は素晴らしい。そもそも誰も信じなかったフレイザーの復活をもたらしたのも、アロノフスキーの慧眼があってこそだ。

心にトラウマを負い、引きこもりで重度の肥満症となった主人公チャーリーの最期の5日間を描いた本作について、ロッテルダム国際映画祭(IFFR)を訪れた監督をキャッチして、話を訊いた。

『ザ・ホエール』の上映で、ロッテルダム国際映画祭(IFFR)を訪れたダーレン・アロノフスキー監督。撮影:佐藤久理子

「映画において大事なのはエモーションだ」

―サミュエル・D・ハンターの原案、脚本である本作は、彼の戯曲の芝居をあなたが鑑賞し、映画化したいと思ったことが発端だそうですね。彼の戯曲のなかで何が、それほどあなたを引きつけたのでしょうか。

芝居を観て、ただただ心を打たれたんだ。感情を揺さぶられた。それで、すぐにサム(サミュエル)にコンタクトを取った。惹かれた点は、ブレンダン演じるチャーリーという主人公だけではない。チャーリーの娘(セイディー・シンク)や、看護師リズ(ホン・チャウ)をはじめ、すべてのキャラクターが豊かで、とても深く描かれていて、とても人間的だったから。自分のイマジネーションを膨らませて、この戯曲をいかにスクリーンに移し変えられるかと考えるのに、もってこいの題材だと思った。

『ザ・ホエール』© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

―室内劇で、しかもほとんど動かない主人公を描くことは、映像的にかなりチャレンジだとは思いませんでしたか。

もちろんチャレンジだった。でも僕の考えでは、物語を語るのはストーリーとキャラクター、そして役者の演技に負うもので、ロケーション自体はそれほど重要ではない。映画において大事なのはエモーションだ。

たとえば今や世界のどんな場所も、グーグルで見られる。でもグーグルでエモーションを得ることはできない。でも映画なら、それを観客に与えることができる。それが映画の素晴らしいところだ。なぜなら映画とは、人間について、僕らの経験、感情についてのものだから。

撮影において制約があっても、それによって、どう撮ればいいのか触発される。いかにそのなかで演技とセリフにフォーカスするか。この二つの要素こそ、僕にとってはもっとも大事なもので、あとはすべてエクストラのようなものだ。

ダーレン・アロノフスキー監督 『ザ・ホエール』メイキング© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

次ページ:「超巨体の特殊メイク」は何時間かかる?
1 2
Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

『ザ・ホエール』

恋人アランを亡くしたショックから、現実逃避するように過食を繰り返してきたチャーリー(ブレンダン・フレイザー)は、大学のオンライン講座で生計を立てている40代の教師。歩行器なしでは移動もままならないチャーリーは頑なに入院を拒み、アランの妹で唯一の親友でもある看護師リズ(ホン・チャウ)に頼っている。そんなある日、病状の悪化で自らの余命が幾ばくもないことを悟ったチャーリーは、離婚して以来長らく音信不通だった17歳の娘エリー(セイディー・シンク)との関係を修復しようと決意する。ところが家にやってきたエリーは、学校生活と家庭で多くのトラブルを抱え、心が荒みきっていた……。

監督・製作:ダーレン・アロノフスキー

出演:ブレンダン・フレイザー
   セイディー・シンク ホン・チャウ
   タイ・シンプキンス サマンサ・モートン

制作年: 2022