話題の本編シーンが解禁
本年度のアカデミー賞国際長編映画賞部門の韓国代表に選出、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞した、パク・チャヌク監督最新作『別れる決心』(全国公開中)より、BTSのRMもお気に入りのシーンだという吹替版本編映像が解禁となった。
『オールド・ボーイ』(2003)や『お嬢さん』(2016)など、唯一無二の作品で世界中の観客と批評家を唸らせ続けてきたパク・チャヌク監督の最新作に公開前から大きな注目が集まったが、ついに日本でも2月17日より全国公開。巨匠がエロスもバイオレンスも封印して挑んだ“大人のラブロマンス”に世界中でリピーターが続出となったが、日本でも「先が読めなくて、目が離せない」「何気ないセリフや小道具に、見終わった後も余韻が残る」「もどかしくて、何度も観たいと思わせる」などと早くもSNSなどで話題沸騰中だ。
「品はどこから来ると思う?誇りからですよ」
BTSのRMは5回も鑑賞したという程大ハマりし、韓国では公開後に脚本集がベストセラー1位を獲得するなど異例の大ヒットとなった本作だが、本作の魅力のひとつでもある一癖も二癖もあるセリフたちが観客の心を掴んで離さない。
刑事と容疑者という、惹かれあってはならないもの同士の禁断の愛を描いた本作は、過激なラブシーンは一切なく、さらに言葉の壁がもどかしさを掻き立て、なんともロマンティックでエロティックだ。パク・チャヌク監督が新境地を見せつけることとなった本作は、一見何気ない台詞やディティールに多数の伏線が張り巡らされており、見るたびに新しい謎が増えるとリピーターが続出している。RMは「品はどこから来ると思う?誇りからですよ」というセリフが特にお気に入りだというが、これは刑事らしからぬ清廉潔白なへジュンがソレに「完全に崩壊しました」と別れを切り出す際に投げかけた台詞だ。
ソレは「“愛している”と言った瞬間、あなたの愛は終わり、その愛が終わった瞬間、私の愛が始まった」という名台詞も残しているが、監督が『“愛している”と決して言わないラブストーリーを作りたかった』というように、へジュンはソレに“愛している”と告げたことは一度もない。本作では、ターコイズブルーのドレスが緑色に見えたり、波の模様が山の模様に見えたりと詳細までこだわり抜かれた小道具にも注目だが、セリフもまた、ある言葉が別れを意味することもあれば、愛を意味することもあるのだ。
「あなたの未解決事件になりたい」
さらに、ソレもへジュンに対して独特な言葉使いで愛を伝えているのだが、「あなたの未解決事件になりたい」という本作のキーでもあるセリフに込められた意味とは——?なんでも解決をしないと気が済まない性格のへジュンにとって、未解決事件とは何なのか。まだまだ紹介し尽くせないほど、本作にはトリックの込められた台詞や小道具が目白押しだ。
冒頭、夫を亡くしたのに悲しみの反応が薄いソレに対して、へジュンの後輩刑事が疑いの目を向けた際、へジュンは「悲しみが波のように押し寄せる人や、水にインクが広がるようにゆっくり染まる人もいる」と詩的な返答をしている。ソレのことを表したこの台詞のように、この映画も見れば見るほどに印象が変わり、時間が経つほどに謎が深まっていき、インクのように染み渡り、観客の心を掴んで離さない。一癖も二癖もあるセリフや小道具などにも注目して、何度でも本作を楽しんでいただきたい。
『別れる決心』はTOHOシネマズ日比谷ほか絶賛公開中