日本初上映作が多数 インド映画の特集上映『インディアンムービーウィーク2022 パート2』開催

日本初上映作が多数 インド映画の特集上映『インディアンムービーウィーク2022 パート2』開催
「インディアンムービーウィーク2022パート2」ポスター

インド映画の特集上映「インディアンムービーウィーク2022 パート2」が、12月23日(金)より4週間にわたり、東京・キネカ大森にて開催することが決定。日本初上映2作品、インディアンムービーウィーク初上映3作品、アンコール上映7作品の計12作品が上映される。今年は、6月開催の「パート1」、9月のアンコール作品中心の「リターンズ」に続き、3回目の開催となる。

国語が存在せず、地域ごとに公用語が並立する多言語大国インド。その映画産業もまた、言語ごとに幾つにも分かれ、それぞれが独自の映画的風土をもち、各言語を母語とする観衆から厚い支持を得ている。

「インディアンムービーウィーク2022パート2」では、ヒンディー語作品3本、タミル語作品2本を初上映。スポーツをテーマにしながら対照的な『ボクサーの愛』と『私の夢、父の夢』、男女のポジション逆転のラブコメ『キ&カ 彼女と彼』、荒くれ男の純情を描く『兄貴の嫁取物語』、マルチスター・アクション『ディシューム』。さらに『マスター 先生が来る!』の一般公開で注目のヴィジャイヴィジャイ・セードゥパティの出演作など、アンコール上映作7本も見逃せない。

日本初上映作品が盛りだくさん

カタブツ兄貴の婚活大作戦『兄貴の嫁取物語(原題:Veeram)』

マドゥライ地方の村に暮らす暴れ者の5人兄弟。長兄のビナーヤガは腕っぷしが強く、村人たちからも尊敬されていたが、異性関係では超硬派で、女性との付き合いは全くなかった。それぞれの恋人とゴールインしたいのに長兄に言い出せない4人の弟たちは、策略を巡らし、村にやってきた美術修復家の女性コーペルンデビとビナーヤガとの間に恋を芽ばえさせようとする。しかし彼女の一家は全員が徹底した非暴力主義者だった。「タラ(お頭)」の冠タイトルをつけて呼ばれるアクションスター、アジット・クマール主演のアクションコメディ。

『兄貴の嫁取物語』©Vijaya Productions Pvt. Ltd.

農村から世界を目指すスポーツウーマン『私の夢、父の夢(原題:Kanaa)』

カルール地方の農村に育ったカウシは、父の影響で少女時代からクリケットが大好きで、男子に交じって草クリケットをプレーし、豪速球の投手として一目置かれていた。しかし、成長した彼女を受け入れるチームは地元にはなく、インドのナショナルチーム入りを目指すことになる。全国から集まった選手たちの中で揉まれるカウシとそれを見守る家族や地元の人々の奮闘を描き、同時に農民が直面する困難な状況にもスポットライトをあてる。人気俳優シヴァカールティケーヤンが、タミル語映画界で注目される俳優アイシュワリヤー・ラージェーシュを主演に製作したスポーツドラマ。

『私の夢、父の夢』©SK Productions

男女の役割分担を問い直すロマンス『キ&カ 彼女と彼(原題:Ki & Ka)』

キャリアウーマンのキアと、大富豪の御曹司ながら母のような専業主婦になりたいと願うカビールが結婚する。カビールは主夫として完璧に家事をこなし家庭を築く。ビジネスで成功したキアを支える存在としてカビールに注目が集まり、彼の進歩的な夫婦観が賞讃されるが、キアはそれに嫉妬を覚えるようになる。R・バールキ監督(パッドマン 5億人の女性を救った男)が撮った、新感覚のロマンチック・コメディ。

『キ&カ 彼女と彼』©Eros Worldwide ©︎Hope Productions

マサラ強めのポリスアクション『ディシューム(原題:Dishoom)』

クリケット国際大会での決勝戦を前に、インド代表チームの最強打者が誘拐された。試合開始前に選手を取り戻すため、外務大臣の指示により警察の特殊部隊員からなる救出チームが秘密裏に結成される。優秀な警察官カビールの配下となったのは新人ジュナイド。凸凹コンビは与えられた任務を完遂できるのか。人気アクション俳優、ジョン・エイブラハムとヴァルン・ダワンが競演のバディ・ムービー。

『ディシューム』©Eros Worldwide ©︎H Films ©︎Nadiadwala Grandson Entertainment

リアルに描かれる愛と格闘技のドラマ『ボクサーの愛(原題:Mukkabaaz)』

ボクサーを目指すシュラワンは、所属ジムのオーナーであるバガワーンの姪スナイナーに惚れている。しかしバガワーンはそれを認めずスナイナーを政略結婚させようと考え、さらに自分に逆らったシュラワンを試合から締め出す。諦めないシュラワンは、信頼できるコーチを得て別の地区からエントリーして大会を目指す。鬼才アヌラーグ・カシャップ監督による、ロマンスやカースト問題が折り込まれたスポーツドラマ。

『ボクサーの愛』©︎Eros Worldwide ©Colour Yellow Productions ©︎Phantom Films

あの興奮をもう一度:アンコール上映作品

官僚の責務を追求する主人公『至高の奉仕(原題:Aramm)』

タミルナードゥ州北端の僻地の村。その村に住む被差別階級の人々は慢性的な水不足に悩まされていた。乾ききった大地には井戸掘削を試みて成果が得られず放置された掘削孔がところどころに残る。ある日、4歳の女児ダンシカがそうした穴の一つに誤って落ちてしまう。子供の胴体程度の直径しかない穴の11メートルの深さに落ちた彼女の救助は難航する。子供の両親の悲嘆、政治家による妨害、マスコミの狂奔、群衆の騒擾の中で、陣頭指揮に立つ若い女性の行政長官の奮闘と苦悩を描く。映画賞総ざらいの一作。

『至高の奉仕』©KJR Studios

空前の低予算&大爆笑コメディ『途中のページが抜けている(原題:Naduvula Konjam Pakkatha Kaanom)』

プレーム、バグス、サラス、バッジは仲のいい4人組。プレームの結婚式の前日に、暇つぶしに草クリケットで遊んでいたところ、プレームは転倒して頭を打ち、一時的な記憶喪失になってしまう。プレームと恋人のダナは、懐疑的な親族を粘り強く説得して縁組を認めさせ、苦労の末にやっと式を挙げるところまで来ていたのだが、彼はダナのことすら覚えていない。プレームの症状を明かせば結婚自体がお流れになってしまうかもしれない危機に、3人の友人たちは知恵を絞って式を挙行しようとする。低予算作品ながら、驚異のヒットとなった作品。

『途中のページが抜けている』©Leo Vision

デジタル・リマスターで蘇る古典『シャンカラーバラナム 不滅のメロディ(原題:Sankarabharanam)』

南インド古典声楽の巨匠シャンカラ・シャーストリと、彼を崇めるトゥラシ。娼家に生まれたトゥラシは神前の巫女のようにシャンカラに仕えたいと望んでいたが、残酷な運命はそれを許さない。二つの純粋な魂の彷徨の道筋を彩る古典音楽と古典舞踊の饗宴。ひたすらに芸を磨く求道と神への無私の信仰が一つになる圧巻のクライマックス。インド映画の「芸道もの」の系譜の中で一時代を画し、南インド全域でヒットした、金字塔と言われる名作。2020年に惜しくも世を去った不世出のプレイバックシンガー、S・P・バーラスブラマニヤムの歌唱もクリア音質で蘇る。
※2015年にデジタルリマスターされたタミル語吹替版にて上映

『シャンカラーバラナム 不滅のメロディ』©Poornodaya Art Creations

マフィアの右腕が警察官に『ジッラ 修羅のシマ(原題:Jilla)』

マドゥライを支配するマフィアの首領シヴァンに育てられ、その右腕として地域を仕切るシャクティのあだ名はジッラ(縄張り)。ある時シヴァンは、新しく着任した警視総監から犯罪集団の取り締まり強化を宣言される。危機感を感じたシヴァンは嫌がるシャクティを、介入抑止のため警察官にさせる。だがそれは、親子断絶の始まりだった。タミル語映画界の人気俳優、ヴィジャイ(ビギル 勝利のホイッスル)と、〝完璧俳優〟と称されるマラヤーラム語映画界の大スター、モーハンラール(ザ・デュオ)が共演。ギャングものでありながら、コメディ満載、ダンスもあり、家族のドラマにほろりとする。京都や鳥取で撮影されたソングシーンが含まれる。

『ジッラ 修羅のシマ』©️Supergood Films

タミル・ニューウェーブのカルト的作品『ピザ 死霊館へのデリバリー(原題:Pizza)』

ピザ配達員のマイケルは幼馴染のアヌと同棲中。都会の片隅でささやかな暮らしを営んでいた。ある夜マイケルがピザを届けにとある豪邸に赴くと、受取人の女性が途中で消え、不可思議な出来事が立て続けに起こり、彼はそこから逃れられなくなってしまう。その館では過去に何が起こったのか。一方、少し前に、ピザ店のオーナー宅では、少女への憑依現象が起こっていた。二つの怪異の間には関係があるのか。2000年代後半のタミル語映画界に興こった「タミル・ニューウェーブ」の潮流から生まれた作品の中で、本作はホラー作品としては突出した高評価を得た。他の言語にもリメイクされたカルト的な1作。

『ピザ 死霊館へのデリバリー』©Thirukumaran Entertainment

医療をめぐる社会派スリラー『マジック(原題:Mersal)』

チェンナイの低所得者層地域で開業するマーラン医師は、低額で患者を診る人徳者で、国際会議でも表彰される。しかしその周りで医療関係者の不審死が起こり、警察は彼を拘束して尋問する。そこで浮かび上がったのは、ヴェトリという名の彼と瓜二つの奇術師だった。V・ヴィジャエーンドラ・プラサード(『バジュランギおじさんと、小さな迷子』)が脚本に加わり、娯楽性がある社会派スリラーに仕上がっている。インディアン・シネマ・ウィーク2018上映の人気作品。

『マジック』©Sony Music India, ©Sri Thenandal Films

今は運なく無職でも、未来は俺たちのもの『無職の大卒(原題:Velaiilla Pattadhari)』

大学で土木工学を学んだラグヴァランは、職が見つからず鬱屈している。ようやくチャンスを掴むが、大手建設会社の御曹司と対決する。インド映画定番の「職のない若者」をダヌシュが好演。「職のない若者」というインド映画の定番テーマを、ダヌシュならではのキレのあるアクションとダンス、恋愛、ファミリー・センティメントで彩った、爽やかで痛快な一作。初のセルフ・プロデュース作でダヌシュの持ち味が最大限に活かされている。

『無職の大卒』©Wunderbar Films

【開催日程・上映劇場】

期間:2022年12月23日(金)〜 2023年1月19日(木)
劇場:キネカ大森
チケット料金:1,900円(税込)均一

インディアンムービーウィーク(IMW)とは

インド映画に特化した映画配給会社「SPACEBOX」がセレクトした作品を、日本語字幕付きで上映する特集企画。映画大国として知られるインドから日本未公開作品を中心に紹介し、インド映画の多様性を味わえる企画を組んでいる。2019年に第1回を開催し、それ以降毎年10作品前後を紹介してきた。他方、コロナ禍により劇場に足を運べない方々に向け、配信サービス「インディアンムービーオンライン」にて過去の上映作品を有料配信するほか、上映作品のDVDも販売している。

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