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マシン・ガン・ケリー×ケヴィン・ベーコン!『ワイルド・ロード』は冷や汗必至な超密閉型クライムサスペンス

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ライター:#BANGER!!! 編集部
マシン・ガン・ケリー×ケヴィン・ベーコン!『ワイルド・ロード』は冷や汗必至な超密閉型クライムサスペンス
『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

絶好調マシン・ガン・ケリー

MGKことマシン・ガン・ケリーというアーティストをご存知だろうか。ラッパーとして2012年にデビューしたMGKはいきなり全米チャートTOP10入りを果たし、190センチ超の高身長とイケ面ぶりで白人ラッパーとして世界的な人気を手にする。

https://twitter.com/machinegunkelly/status/1306979526979670016

しかし、2020年リリースのアルバム「Tickets To My Downfall」から楽曲の方向性をガラリと変えて、というか完全に00年代なポップパンク・シンガーに変身。皮肉にも同作で初の全米1位を獲得し、プライベートでは女優のミーガン・フォックスと交際~婚約するなど、ゴシップ誌も大喜びのイケイケ人生を歩んでいる。

プライベートも充実させる好フィルモグラフィ

そんなMGKのもう一つの顔が、黙って突っ立っているだけでも目立ちまくる存在感を最大限に生かした俳優業だ。途中打ち切りになったドラマ『Roadies(原題)』(2016年)で演じたウェスリーはハマり役だったが、マブダチのピート・デヴィッドソン主演の『僕が大人になる前に』(2019年)ではまんま素のようだったし、ブルース・ウィリス主演の『ミッドナイト・キラー』(2021年)はミーガン・フォックスと急接近するきっかけになった。なお『バード・ボックス』(2018年)と『プロジェクト・パワー』(2020年)というNetflix映画2作にも出演している。

ルパート・ワイアット監督の社会派SF『囚われた国家』(2019年)では、ジョン・グッドマンを筆頭にアシュトン・サンダーズやジョナサン・メジャース、ヴェラ・ファーミガらと共演し、チョイ役ながらトラッシーでかなりイイ味を出していた。そんなミュージシャンMGK改め俳優コルソン・ベイカーの主演最新作『ワイルド・ロード』は、なんとケヴィン・ベーコンとの共演作だ!

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

悲壮な逃亡クライムサスペンス『ワイルド・ロード』

『ワイルド・ロード』でMGKが演じるのは、犯罪組織から大金とコカインをネコババしたチンピラのフレディ。冒頭からヒーコラ言いながら“恐ろしい何か”から逃げている様子で、息を切らして長距離バスに乗り込む。要するに、組織の怖いボスから追われているのだ。しかも脇っ腹をがっつり撃たれていて……。

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

バスでは家出少女レイチェル(『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』[2021年]、『透明人間』[2020]のストーム・リード)や、何かと絡んでくるソーシャルワーカーの男ウィル(トラヴィス・フィメル)などと同乗することになるが、その間にもネコババ仲間たちの様子が気になるし、どうにかして確実に逃げる方法を考えなければマズい。血が流れ続ける銃創も手当てしなければ、このままでは死んでしまう。

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

じわじわと遠隔でフレディを追い詰める組織のボス、ヴィック(『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』[1999~2007年]のドレア・ド・マッテオ!)はフレディを可愛がっていたが、裏切り者をすんなり許すとは思えず……。

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ギリギリの悲壮感と予想を裏切る展開

映画ファンとして気になるのは、やはりベーコン演じる不良親父がフレディにどう絡んでくるのか? だろう。詳しいことはネタバレになるので書けないが、とりあえず超が付くクソ親父ということは言っておきたい。紆余曲折を経て感動の和解! みたいな展開もあり得ないくらい、本当にウザすぎる父親なのだ。

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

寵愛をくれた女ボスと、クズ親父への復讐、疎遠になっている妻と娘に何も遺してやれないことに対する内省など、ヒリヒリした逃亡劇はサフディ兄弟の『グッド・タイム』(2017年)などに近いものを感じさせる。物語のほとんどがバスの車内で展開するという低予算作品ながら、緊張感を維持させるアイデアには目を見張るものがあり、青白く冷たい映像の質感は主人公の冷や汗を疑似体験させられる。

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

邦題は「ペインフル・ロード」とかのほうが正確だったかもしれないが、クライムドラマかつ会話劇でもあり、地味ながら映画的な見どころも多い本作。MGKのファンでなくとも一見の価値アリな、お先真っ暗系サスペンスである。

『ワイルド・ロード』© 2022 INSPIRED CREATIONS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『ワイルド・ロード』は2022年12月2日(金)より全国公開

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『ワイルド・ロード』

組織の金を奪い、長距離バスに乗り込んだフレディ。女ボス・ヴィックの執拗な追手が迫る。停車するターミナルごとに待ち受ける罠。怪しい乗客たち。助けに来た父親の裏の顔。撃たれた傷から出血が止まらない。もう、意識が途切れる―。

監督:アンドリュー・ベアード
脚本:ベン・コンウェイ

出演:コルソン・ベイカー
   ストーム・リード ドレア・ド・マッテオ
   メーガン・ホルダー トラヴィス・フィメル
   ケヴィン・ベーコン

制作年: 2022