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「なぜ殺してはいけないのか」伊坂幸太郎が語る『ブレット・トレイン』原作「マリアビートル」のテーマや映画化への想い

「なぜ殺してはいけないのか」伊坂幸太郎が語る『ブレット・トレイン』原作「マリアビートル」のテーマや映画化への想い
『ブレット・トレイン』

ブラッド・ピット主演最新作『ブレット・トレイン』が、2022年9月1日(木)より全国の映画館で公開を迎える。本作の原作となった伊坂幸太郎の大ベストセラー小説「マリアビートル」を深掘り!! 世界で認められる人気小説がハリウッドで映画化されるという現実に、伊坂が海外のインタビューで語っていた本音をご紹介する!!

伊坂の人気小説「マリアビートル」を、『デッドプール2』(2018年)のデヴィッド・リーチ監督がハリウッド映画化した『ブレット・トレイン』。世界一運の悪い殺し屋のレディバグ(ブラッド・ピット)が、京都行きの超高速列車に乗り込み、ブリーフケースを受け取るだけの簡単な仕事を請け負うも、車内で物騒な殺し屋たちに遭遇!! 一つのブリーフケースを巡って壮絶バトルを繰り広げるさまをユーモアと過激なアクションで描き出すクライム・アクション・エンタテインメントが誕生した。

『ブレット・トレイン』

本作は全米公開初週末3日間で興収3010万ドル(約41億円)を記録し、初登場1位を獲得。世界で『ブレット・トレイン』旋風が巻き起こる中、8月23日には京都でジャパンプレミア試写会が開催され、デヴィッド・リーチ監督や製作のケリー・マコーミック、出演者のブラッド・ピット、初来日のアーロン・テイラー=ジョンソン真田広之マシ・オカの豪華キャストが登場し、ファンたちを熱狂させた。

原作「マリアビートル」とはどんな物語?

累計300万部を超え、伊坂屈指の人気を誇る<殺し屋シリーズ>の第2作「マリアビートル」。本書の主人公は元殺し屋の木村雄一。幼い息子を、遊び半分でアパートの屋上から突き落とし意識不明の重体にした中学生・王子慧(おうじ さとし)に復讐するため、東京駅にて王子が乗った盛岡行き東北新幹線「はやて」に乗る。 ところが、王子は木村が自分を殺そうとしていることはおろか、元殺し屋という過去も知っており、木村をスタンガンで気絶させる——。その列車には、腕利きの二人組「蜜柑」「檸檬」、そして運の悪い殺し屋「七尾」も乗り込んでおり、物騒な奴らを乗せた新幹線は疾走する!!

伊坂幸太郎が語る!! 「マリアビートル」の魅力とは

「マリアビートル」は2010年に日本で出版された後、2021年に「ブレット・トレイン」として英訳版が出版された。その英訳版が今年、世界的な権威のある推理小説賞の一つ、英国推理作家協会のダガー賞翻訳部門の最終候補作に選ばれたことでも話題になった。伊坂は小説情報サイト・Crime Fiction Lover誌のインタビューで、世界的に評価された「マリアビートル」について語り、「エンタメを重視してワクワクするような物語を作りたかった」と明かした。

伊坂は「「マリアビートル」を完成させたとき、エンターテインメントに重点を置きたいという思いで作りました。ワクワクするような物語を作りたかったんです。他の本だけでなく、映画やマンガよりも刺激的な小説を書きたかったです。先に出した「グラスホッパー」は「マリアビートル」の前日譚として読めますが、トーン的にはまったく違うので、日本の読者はその違いを楽しんでくれたように思います。日本では「マリアビートル」を読んでいる人は、私の他の作品を知っているわけですが、英語圏の読者は「ブレット・トレイン」を何の予備知識もなく読むわけですから、その体験は違うかもしれません。」と明かす。

『ブレット・トレイン』

欧米の犯罪小説の愛好家たちは「ブレット・トレイン」のどの点を気に入るのかという質問に、伊坂は「一般的にアクションスリラーは、主人公が、例えばマフィアや汚職している政治家、殺人犯などを相手にするものだと感じています。もちろん、こういった映画や小説も好きですが、自分が書くとなると、もっと違う悪、違う敵を提示してみたいと思うんです。「マリアビートル」では、それが王子と呼ばれる少年で、他者を従属させようとする、悪の欲望のメタファーとして読むことができるかもしれません。ほかの登場人物は、必ずしもこの邪悪な欲望と戦っているわけではなく、常に翻弄されているのです。このような、善と悪を単純に並べることのできないダイナミズムが、私の文章の特徴です。」と答えている。

また、伊坂は本書で問いかけたかったテーマを明かし、「物語の中で何度か王子が問いかけていることがあります。“なぜ、人を殺してはいけないのか”。この問いかけは、1990年代後半に日本で起こった、若者がテレビでその質問をしたことがきっかけで起きた議論を元にしています。私は常々、このような問いかけにどう対処すべきか考えており、この小説の中で自分なりの答えを出そうとしました。海外の読者が読んだら、なぜこのような問いが繰り返されるのかと思うかもしれませんね。」と話した。

伊坂「ハリウッド映画化は夢のよう。リーチ監督はユーモアのある素晴らしい作品を手がけている」

『ブレット・トレイン』

伊坂は、本書のハリウッド映画化について「夢のよう」と明かし、「子供の頃から、私にとって映画といえばハリウッド映画でした。まさか私の小説がハリウッド映画になるなんて、本当に夢のようです。デヴィッド・リーチ監督は、ユーモアのある素晴らしい作品を数多く手がけていらっしゃるので、とても幸運に思っています。私の小説は日本が舞台ですが、どれも現実から少し離れた寓話的なところがあるので、日本映画になると、そのズレがある種の違和感になることがあります。だから、日本以外の国で映画化されると、また違った楽しみがあるのではないかと期待しています。」と明かした。

<東京発、絶望行き!?> ブラッド・ピット主演最新作『ブレット・トレイン』は、2022年9月1日(木)より全国の映画館で公開!!

『ブレット・トレイン』

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『ブレット・トレイン』

世界で最も運の悪い殺し屋レディバグ。謎の女性から電話越しにブリーフケースを奪うよう指令を受けたレディバグは、気合たっぷりに<東京発・京都行>の超高速列車に乗り込む。しかし、それは彼にとって人生最悪な120分の始まりだった。次々と乗りこんでくるキャラ濃すぎの殺し屋たちが、全く身に覚えのないレディバグに襲い掛かる。簡単な指令を果たしてすぐ降りるだけの任務のはずだったのに…… 時速350kmの車内で繰り広げられる、決死のバトル! 予期せぬ最悪が折り重なり、終着点・京都に向けて<絶望>が加速する――

原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫刊)
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ

出演:ブラッド・ピット
   ジョーイ・キング アーロン・テイラー=ジョンソン
   ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路
   真田広之 マイケル・シャノン ベニート・A・マルティネス・オカシオ
   サンドラ・ブロック ローガン・ラーマン ザジー・ビーツ
   マシ・オカ 福原かれん

制作年: 2022