とにかく豪華! Netflix過去最大規模のオリジナル映画
これがNetflixの「配信映画」なのだから驚く。いや、むしろ超大作こそ配信という時代か。
監督はMCU諸作を成功に導いたアンソニーとジョーのルッソ兄弟。主演はライアン・ゴズリングが務め、悪役はキャプテン・アメリカ役でルッソ兄弟と何度も組んできたクリス・エヴァンスである。製作費は2億ドル。Netflix史上最高額だという。
とにかく豪華。やっぱり夏は大作アクションが見たいという映画ファンのニーズにぴったりと言うしかない。実際、この映画に難しいところは何もない。
ゴズリングが演じるのは、やむを得ない犯罪で投獄されかけた男。CIAに救われ、交換条件として殺し屋に仕立て上げられる。コードネームは「シックス」。
暗殺を請け負い続けて18年、タイでの“仕事”でターゲットにしたのは、同じ境遇の「フォー」だった。フォーからCIAの暗部を記した極秘資料を託されるシックス。当然、CIAは奪還に動く。一転、シックスは狙われる身に。CIAが選んだ追手は残酷な拷問を得意とし、ソシオパスとも言われるロイド・ハンセン(エヴァンス)。
逃げつつ真相を追うシックス。目的のためなら手段を選ばないハンセン。その闘いは世界各国で展開されていくことになる。
無敵のヒーローじゃない、生身のアクション
見どころはといえば、もちろんアクションだ。序盤の狙撃→格闘シーンから輸送機の中でのバトル、市街地での大銃撃戦などなど息つく暇もないとはこのこと。
作風としてはダークでハード。しかしアクションはとにかくド派手だ。物量だけでなく、誰がどこで何をやっているのかしっかり把握できる計算された演出もルッソ兄弟の持ち味。
これまでの出演作からすると、ゴズリングはどうしてもアクションのイメージが薄い。特に格闘シーンとなると強そうには見えない。だがもちろん、これはコミックヒーロー映画ではないわけで、その“生身”なところもアクションのポイントになっている。決して無敵のヒーローの話ではないわけだ。
格闘シーンの中でゴズリングが連発するのはヒジ打ち。パワフルな“殴る蹴る”ではなく、相手の懐に潜り込んでのシャープな打撃。単純に言ってヒジは拳より硬い。この辺りの見せ方もさすが。
アクションに“全振り”した楽しさを味わう
ストーリーがシンプルなだけ、アクションを存分に楽しめるのが『グレイマン』だ。何かもうちょっと丁寧でもいいんじゃないかという気もするが、それも含めて作り手たちの狙いだろう。肉と米だけ、サラダなし。そういうメニュー、つまりアクションに“全振り”した楽しさを味わえばいい。
ゴズリングとは『ブレードランナー 2049』(2017年)以来の再会となるアナ・デ・アルマスも登場。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020年)でも話題になりつつアクションをもっと見たかったと言われたが、今回はアクションたっぷり。いや、ここまで見せられると彼女が主演のアクションものも見たくなるが。
偏っているけど、というより偏っているからこそ楽しい快作。スケールが大きいだけに、映画館で見るチャンスのある方はぜひ大スクリーンで。
文:橋本宗洋
『グレイマン』は2022年7月15日(金)より一部劇場にて公開中、7月22日よりNetflix独占配信
『グレイマン』
“グレイマン”ことコート・ジェントリーは。“シエラ・シックス”のコードネームを持つCIA工作員。過去に連邦刑務所で服役していたところをCIA管理官のドナルド・フィッツロイにリクルートされエージェントに転身した。組織内屈指の凄腕暗殺者となったジェントリーだったが、ある一件をきっかけに事態は一転、自分がCIAから追われる羽目に。かつての同僚ロイド・ハンセンから世界各地で命を付け狙われる中、工作員のダニ・ミランダの助けを借り、ジェントリーは過酷な戦いに身を投じていく。
監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
脚本:ジョー・ルッソ、クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー
出演:ライアン・ゴズリング クリス・エヴァンス アナ・デ・アルマス
ジェシカ・ヘンウィック ワグネル・モウラ ダヌーシュ
ビリー・ボブ・ソーントン アルフレ・ウッダード レジェ=ジーン・ペイジ
ジュリア・バターズ エミ・イクワーカー スコット・ヘイズ
制作年: | 2022 |
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2022年7月15日(金)より一部劇場にて公開中、7月22日よりNetflix独占配信