ブロック、テイタム、そしてブラピ
サンドラ・ブロック主演で、相手役がチャニング・テイタムのロマンチック・アドベンチャー・コメディって、これはもう企画自体がギャグかと思う。ハリウッドを舞台にした作品に出てくる“ベタな企画”みたいな。
しかしベタというのは、言い方を変えれば“王道”だ。スケールが大きくて、みんなが見たいものを見せてくれる。
ブロック演じる主人公ロレッタは冒険ロマンス小説の作家。夫を亡くしてからは家に引きこもっている。ところが、新作のプロモーションツアーの際に誘拐され、本物の“失われた都市”探しを強いられることに。彼女はもともと考古学者で、小説に出てくる古代都市は実在するという。
こうして孤島でのアドベンチャーが始まる。ロレッタを誘拐する大富豪はダニエル・ラドクリフ。彼女を助けようとする小説の表紙モデルがテイタム。さらにブラット・ピットまで“参戦”するからオールスター状態だ。
作品の魅力は、まずテンポのよさ。次から次へと話が進み、なおかつ随所にギャグがぶち込まれる。笑っているうちに、あっという間にクライマックス。
今こそ「劇場で楽しめるポップコーン・ムービー」を
特に目を引くのはテイタムだ。マッチョなアクションスターのイメージを逆手に取り、本作では“見た目だけ”で大して役に立たない色男を演じている。が、そんな男にも秘めた想いがあり、むしろ“見た目”に隠されてしまっている魅力もあった。
テイタムがイメージを裏切る形で“ヒーロー”になっていくことで、ロレッタも解放されていく。彼女もまた、強い男に守られているだけの“ヒロイン”ではない。ベタな設定をズラし、ひっくり返したところに『ザ・ロストシティ』の本領がある。ド派手なんだけれども可愛さ、愛嬌があると言ってもいい。
まあもちろん、こういう映画なのでハッピーエンドは約束されたようなもの。大船に乗った気持ちで、気軽に見ればそれでOKである。それこそが製作陣の狙いでもあるのだ。
この企画は、コロナ禍だからこそのものだったようだ。映画館で映画を見よう。大スクリーンにふさわしいスケールと楽しさを持つ映画にしよう。「劇場で楽しめるポップコーン・ムービーが作りたかったのだ」と語るのは製作のライザ・チェイシン。
映画マニアを喜ばせるような作品じゃない。でも気楽な暇つぶしでいいじゃないか。それこそが今、必要なのだという認識が豪華スター共演にもつながっているのだろう。ということで気楽に、ポップコーン食べながら見てほしい。もちろん映画館で。
文:橋本宗洋
『ザ・ロストシティ』は2022年6月24日(金)より全国公開
『ザ・ロストシティ』
人生に後ろ向きな恋愛小説家ロレッタ。ロマンティックな冒険モノの新作がようやく完成したが、新刊の宣伝ツアーにイヤイヤながら強引に駆り出されてしまう。そこでは、彼女の作品の主人公「ダッシュ」を演じるセクシーカバーモデル、アランの薄っぺらな態度が鼻につき、イライラ絶頂! そんなロレッタの前に謎の億万長者フェアファックスが現れ、突然南の島に連れ去られることに。なんと、彼はロレッタの小説を読んで、彼女が伝説の古代都市【ロストシティ】の場所を知っていると確信したのだった。そんなロレッタ誘拐事件を知り、南の島に真っ先に駆けつけたのは、目の前で助けられなかったことを悔やむあのウザいモデルのアラン。精鋭を味方に島へとたどり着き、ロレッタを探し出せたまでは良かったが、まるっきり好対照な性格の2人。この南の島から脱出するためにしぶしぶ手を組むも、大自然の過酷な環境に予測不能のハプニングが連続!果たして、億万長者が狙っているロストシティとは何なのか?彼らはこのロストシティに隠された「謎」を解き明かし、無事に抜け出すことができるのだろうか!?
監督:アダム・ニー アーロン・ニー
脚本:オーレン・ウジエル デイナ・フォックス
アダム・ニー アーロン・ニー
出演:サンドラ・ブロック チャニング・テイタム
ダニエル・ラドクリフ ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
オスカー・ヌニェス パティ・ハリソン ボーウェン・ヤン
ブラッド・ピット
制作年: | 2022 |
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2022年6月24日(金)より全国公開