映画監督・俳優のショーン・ペンが、ウクライナに対するロシア軍事侵攻を描くドキュメンタリー映画を制作するため、ウクライナの首都キエフに到着したことがわかった。
Sean Penn is on the ground in Ukraine filming a documentary about Russia’s invasion, Vice Studios confirmed https://t.co/BFVztcRk8j
— Variety (@Variety) February 25, 2022
ショーン・ペンが、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナでドキュメンタリー映画を制作する。2021年11月、ペンはウクライナを訪問し、同国の軍隊を訪れドキュメンタリー映画制作の準備を始めていた。ペンは24日、ウクライナの首都キエフで、同国のゼレンスキー大統領とともに記者会見に出席した。
ゼレンスキー大統領は「ペン監督は、現在ウクライナで起きているすべての出来事を記録し、ロシアによるわが国への侵略について世界に真実を伝えるために、特別にキエフに訪れました。ペンは、ウクライナを支援している人々の1人です。我が国は、このような勇気と誠実さを示してくれた彼に感謝しています。彼は多くの人々、特に欧米の一部の政治家に欠けている勇気を示しています。自由のための戦いを支持するウクライナの真の友人が多ければ多いほど、ロシアによるこの凶悪な侵略をより早く止めることができるでしょう」と米ニューズウィーク紙に声明を発表。
現時点でペンのコメントは発表されていない。ペンは2010年に発生したハイチ地震の被災者支援を行ない、近年では100万人以上を対象にしたPCR検査の無料提供を行なっており、社会貢献を精力的に行う俳優のひとりとして知られる。
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2014年から始まっていたロシアのウクライナ侵攻
ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ政府が親露派地域への攻撃を激化させているとして、親露派武装勢力が制圧したウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」と名乗る地域の独立を承認し、平和維持を名目にロシア軍の派遣を命じた。同大統領は、ウクライナ軍と親露派武装勢力による内戦が激化したのは、沈静化できていないウクライナの責任にあり、ロシア側はあくまでも独立した親露派地域の住民を守るために手を貸すという立場を貫いて正当性を主張したが、欧米諸国はその一方的な決断を非難した。
ロシア軍は24日、ウクライナ東部のみならず全土で軍事侵攻を開始、首都キエフを含む複数の地域で爆撃を開始した。各国はロシアを非難する声明や制裁を表明している。今後、ロシアに対するNATOの出方に注目が集まるが、「核兵器の使用も辞さない」と威嚇したプーチン大統領は、NATOが動けない、動かないと見込んでいるという意見もある。
ウクライナ情勢の悪化は今に始まった話ではない。2014年に親露派だったウクライナのヤヌコビッチ大統領が失脚してからというもの、ロシアはウクライナ東部に軍事介入、クリミアを併合した。その当時、両国の宣戦布告もなく、ロシアによる侵略が一方的に進められた形だ。2021年にはロシアがウクライナ国境近くで兵力を結集しており、欧米諸国はロシア軍による侵攻を警戒していた。ここまでウクライナの内戦が激化する事態に陥ったのも、ロシアが秘密裏に親露派への軍事支援を続けていたことにほかならない。
ペンが滞在する首都キエフは陥落の危機が騒がれているだけに、無事に製作が進められることを願いたい。
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