『網走番外地』からの『日本侠客伝』
どうもアニです。
高倉健主演の『日本侠客伝』シリーズ(1964~1971年)を観ました。高倉健の生誕90年ということで、この機会にと思ってシリーズ全部観てみました。というのも、何年か前に『網走番外地』シリーズ(1965~1972年)を観てみたら、めちゃくちゃ面白くて。大人になって、やっと高倉健のカッコよさが判ったような気がしたんですよ、『網走番外地』シリーズで。
『網走番外地』は主題歌も良くて、レコードを探して手に入れたんですが、そのバージョンよりも映画でかかるバージョンの方が全然カッコ良い。毎回、録り直してたんでしょうね。詩もレコードには入ってないのとかもあったりして、昭和の時代にはそういうの結構あったみたいで、『女囚さそり』(1972年ほか)とかもそう。映画でかかる、梶芽衣子が唄う「恨み節」もレコードのバージョンと結構違ってて、映画版の方が全然カッコイイ。あと『男はつらいよ』(1969年ほか)もレコードと映画で違います。
まぁ、そんな話はともかく『日本侠客伝』ですよ。
とにかく豪華! 娯楽の中心だった60年代の日本映画
1964年から1971年まで全11作が作られてて、9作目までは監督がマキノ雅弘。『網走番外地』シリーズは健さん演じる“橘真一”という男の話なんだけど、『日本侠客伝』はそれぞれ違う時代と場所で、各作品のつながりとかはなく(9作目の『花と龍』と10作目の『昇り龍』だけは続いてる)、時代は明治中期から戦後の昭和くらいまでの設定で、話はだいたい同じだったりするんだけど、舞台はいろいろ。
そんなわけでシリーズ全部観たんですけど、60年代の日本映画って娯楽の中心だったので、作りがとにかく豪華なんで観てて楽しいし、昔の日本の感じがやけに新鮮に映るんですよ、和洋折衷具合とかが。昔、子供の頃ってまだこんな感じだったなぁというノスタルジー的なものもあるんだろうけど。
畳の上にテーブル置いたり、洋服と和服の割合が半々だったりするのって、そのころはそれが当たり前だったんだけど、もうほぼ無くなってしまった感じに惹かれたり、昔はわからなかったけど、大人になってわかってきたんだろうな、と思ったりします。
あと自分の性質としてレアなものに引っかかるというのもあるんだと思います。古い車とかがカッコイイと思う感じとかに似てたりするのかな、あとラジカセとかのカッコよさみたいなものと同じかんじなのかも。
だからと言ってすっかり洋風になってる現代も別に悪いとは思わないし、今の方が全然便利だと思うんだけど、旧いのも悪くないなというかんじです。
昔の風俗みたいなのが垣間見れて良いです。屋号の入った揃いの半被とか普段から着てるかんじとか今じゃもう祭りの時にしか見かけなくなってるかんじだけど。セットのデカさなんかも豪華で、健さん演じる主人公が世話になる親分の家とか昔の日本家屋のでかいやつとかわざわざ拵えたんでしょうね。
当時の熱狂にも納得! な健さんのカッコよさに痺れる
1作目とか、ほぼロケなさそうでした、オールセットなんじゃないかという感じで。あと、若い頃の健さんはこの頃からやっぱりカッコいいんですよ、役柄もあるんだろうけど。カッコよくて痺れますよ。そりゃ、当時の客も熱狂するわって感じで。年取ってからの渋みを増したのもイイけど。あと健さん以外の役者もいいんですよね、みんな若くて。
長門裕之と津川雅彦が兄弟で出てて、やっぱり兄弟似てるな、と思ったり。鶴田浩二もシリーズの最初の方に健さんの兄貴分的な役で出てくるんだけど、鶴田浩二って声がすごくいいんですよね。あと、たまに出てくる潮健児って、うちらの世代からすると最初の『仮面ライダー』(1971~1973年)の地獄大使でお馴染みの人なんだけど、それが普通の格好で出てくるのが見てるとちょっと得した気分です。
藤山寛美も何回か出てくるけど、若い頃はカッコいいんです。里見浩太朗とかも。悪役で出てくる渡辺文雄(『女囚さそり』にも所長役で出てる)とか遠藤太津朗(シソンヌ・長谷川似)とかもイイんですよね。
昔は全く興味なかったんだけど、なんか歳とってくると、こういうの好きになっていくのがなんかやっと判ってきたような気がします。そしてそれも別に悪くないな、と『日本侠客伝』シリーズ見ながら令和の時代に思いました。興味があったら是非。では、また。
文:ANI(スチャダラパー)
『日本侠客伝』はAmazon Prime Videoほか配信中
『日本侠客伝』
侠気一本、争いを好まぬ木場政が小頭・長吉の除隊を待たずに病死すると、沖山運送の仁三郎、剛造兄弟の木場政への妨害は日増しにあくどくなっていた。
沖山兄弟に脅かされた馬力衆や問屋の旦那衆は、掌を返すように木場政組との付き合いを反故にしてしまう。沖山兄弟は警察署長や代議士ともグルになって木場政組を潰しにかかっていたのだ。そこへ待ちに待った小頭の長吉が除隊で帰ってきた。亡き親分の言い付けを守って、沖山兄弟の卑怯な遣り方にじっと我慢している子分たちの辛い気持ちを思う長吉であったが、木場政組が段々小さく弱くなっていくのを淋しく思っていた。
そんな折、沖山兄弟に抱き込まれていた材木問屋衆が運賃値上げの悪辣商法に危機を察し、恥を忍んで木場政組に運送を依頼してきた。それを受けた木場政組も馬力衆のほどんどが沖山兄弟に引き抜かれて運送もままならない。しかし、ここが男の見せ所と長吉に激励されて夜を徹して運送に取りかかる。だが、沖山兄弟も黙ってはいない。荷馬車に放火したり、暴動を起こしたりと、あらゆる手を使って妨害をする。じっと堪えて陣頭で指揮する長吉を見ていた客分の清治は、亡き親分への恩義から一人沖山運送に殴り込む。
凄惨な死闘の甲斐もなく沖山兄弟に刃を向けぬまま清治は息絶える。清治の傷だらけの死体を粛然と見詰めながら長吉の肚は決まった。
制作年: | 1964 |
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監督: | |
出演: |